黒部の山賊 新版

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  • ブルーガイドセンター
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408610078

感想・レビュー・書評

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  • こちらの本は、アマゾンが
    「こんなのも読んだら~?」と教えてくれた。

    これが、面白いったらありゃしない!

    北アルプス、黒部源流の出入り口、三俣蓮華岳、

    ここには昔、山賊がいて…って、
    日本昔話ほど前じゃなく、戦後くらいの話!

    山賊って言ってもね、
    追い剥ぎとかそう言うのばっかりじゃなくって
    (もちろんまあまあそういうのもある!、
    何となーくぼやかして書いてあるときもある!)

    山に住んでそこで暮らしている人、の話、
    つまりは、山の常識って言うのがあるのよ。
    (読んだだけでもう知ったかぶり)

    山賊曰く、「山で餓死するやつは馬鹿」だって!
    いたるところにウサギやら熊やら岩魚やら
    食べるものだらけ、とのこと。

    狸が人間がたてた音を夜中にそっくりに真似する話、
    カワウソが女に化けて岩魚を小屋に取りにくる話、

    山で「オーイ、オーイ」と声がしたら、
    それは魔物だから、ぜったい返事をしたり
    ついていったら駄目だって、
    「ヤッホー」と答えると良いんだって。
    (大事なことだから覚えておいて!)

    でも何人もが目の前で「オーイ」の声に誘われて
    そっちに行ってしまう話、不思議だ!

    色々驚いたけれど、中でも
    埋めても埋めても出てくる白骨のところ、
    何より人間の骨をそのまま山に埋めちゃうところに吃驚だ。

    また、登山中遭難して死んだ人を
    山で火葬するところ。
    (昔はおろすのも大変だったんだね)

    山賊が熊と話し、狸に騙され起こされて、
    河童が泳ぎ、白骨に呼ばれ、
    神隠しに合い、カワウソに舌を抜かれる…

    こう書くと、ほら話にすっかりのせられてるみたいで
    笑ってしまうけれど、
    どれもこれもとても面白く、
    自然が失われていない昔の日本では
    本当にこういう事があちこちであったんだろうなあ。

  • 去年、山小屋で一緒だった人に教えてもらった本。三俣や雲ノ平の山小屋の主人が書いた本。黒部の山奥にいた最後の猟師たたちの話や、タヌキやカッパに化かされる話、遭難の話など。面白くて一気に読んだ。

  • 既に一般の書店さんでは殆ど手に入らず、雲ノ平に山行したこの夏やっと買うことが出来ました。ですので日本一遠い本屋さんから買った本です。

    中身は戦前から戦後の昭和30年台ぐらいの北アルプス南部(槍ヶ岳・三叉蓮華・雲ノ平・水晶岳・烏帽子岳等々黒部源流域)を舞台に「黒部の山賊」と恐れられた猟師達と著者(同地域の山小屋オーナー)の出会いからその交流を中心に、まるでお伽話のような話が綴られています。
    山と自然の怖さから不思議な現象の数々、そして猟師達の超人的な能力(2km先の熊を見つけたり、なかなか釣れない岩魚を一日で何十匹も釣り上げたり、常人では4日かかる山道を1日で歩いてしまったり等々)など、この山域を歩いた人にとってはその土地の偉大さと壮麗さが判るだけに、得も言えぬ幸福感に包まれながら読み進める事が出来ます。
    なので、同山域に行かれた後で読まれる事をオススメします。
    因みに山小屋では定価(1200円)で売っています。それほど重くもないのでお土産に是非。

  • また読んでしまった。もうかれこれ4回目かな?
    自分の歩いた山域の遥か昔の様子が解るので、一種の懐かしさと憧れを持って読む本。今回もいい気持になりました。
    本編の話はさておいて、ちょっとした背景の描写などに鋭く反応してしまう。
    たとえば、歩荷が当たり前の山小屋にセスナを使って荷揚げをしてみようと思ったこと。なぜヘリではないのか?と思いきや、当時のヘリは馬力がなくて荷を積んで3000mの高所にいけなかった、などなど、興味津々の話題があちこちにちりばめられているのです。
    作者の意図しなかった読み方をしています。
    数年したらまた読み返すでしょう。

  • 山小屋主人の回願録。
    黒部の猟師とオバケが特に面白い。
    北アファンならぜひ読むべし。

  •  小学五年の時、黒部五郎から三俣蓮華への縦走をやりまして(逆だったかも)、そのとき、三俣蓮華の山小屋で著者のかたから購入しました。持っているのは古いほうなのですが、こっちを登録。
    (このとき、下山途中に台風の影響をくらって、風速30mの嵐の中、13時間歩き続けたことは軽いトラウマになっています。雨って下から吹き上げてくるなら合羽なんて意味ないし、合羽の袖はもぎ取られて飛んで行ってしまうし、でも、一番衝撃だったのは、下山したら快晴だったこと。台風はまだ九州の海上にいたんだ……尾根道はあんな嵐だったのに! 自然パネぇよ!)

     それはさておき。
     この本に記されていることは、すべて著者が体験した実話です。
     黒部ダムを作るにあたり、山々に「山賊」が住み着いているというので、調査と対策を命じられたこと。
     町の人から聞いた話と、「山賊」側から聞いた話の、立場の違いによる相違点。
    「山賊」たちの山の生活、そこで起こる不思議な出来事……などなど。

     私が三俣蓮華の小屋に向かう尾根道を歩いていた時のことでした。
     そのときはまだ天気もよく、消失点まで見通せそうな尾根道を歩いているのは、ウチの家族だけでした。
     少し遅れて歩いていた私は、そのとき確かに背後から「おーい」と誰かが呼ぶ声を聞いたのです。
     振り返っても誰も居ません。私は母親から教えられたとおりに「ヤッホー」と呼び返しました。返事なし。
     空耳かな、と思って歩き出すと、また、「おーい」と聞こえます。
     振り返っても誰も居ない。
     気持ち悪くなって、急いで前の家族に追いつき、「今、誰かの声がしたよね?」と聞いても、そんな声はしなかった、と。

     そう、本の中に、まさにこの、私が体験したこととまったく同じことが書かれていたのです。該当箇所を読んだとき、私の背筋がどんなに冷たくなったことか……!

     不思議なことばかりではなく、「山で暮らすものたち」の心得、体験がみっしりつまっている一冊でもあります。TRPGをプレイするときに、いろいろと参考になりました。

  • 期待値が高すぎたかも・・・
    ふつうにおもしろいけど、それ以上ではなかった。
    黒部源流域を歩いたことがないからかな。

    著者にメールで直接購入。
    発送は小屋締め後になりますが、現物と振込用紙が同封されてきます。
    なんて良心的な(笑

    感謝も込めて☆3つです

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