脳のエシックス: 脳神経倫理学入門

著者 :
  • 人文書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409041017

作品紹介・あらすじ

進展がめざましい脳科学の分野では現在、脳と医療科学技術をめぐる倫理のあり方が問われている。歴史の浅い議論ながら、急速な技術発展とともに、その問いの圏域は拡大し、世界的に緊急のテーマとなっている。本書は、多様なトピックから脳神経倫理学(ニューロエシックス)の輪郭を描き出す入門書であると同時に、ラディカルな批判書である。

感想・レビュー・書評

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  • 副題の通り脳神経倫理学入門の本だけど,著者の興味のあるネタを著者自身のためにまとめたような本だった.脳神経に対する倫理なので,これからの話が多くなるのはしょうがないけど,もう既に問題となっている話(鬱病の薬をエンハンスで使う問題など)からまだまだ初期研究段階の話(サイボーグ化など)まであって,整理しながら読んでいた.
    序盤で,脳神経倫理がなぜ他の医療倫理と区別しなければならないのかを語ってから本編に入るのはよかった.第4章の植物人間と第5章のBMIの話は個人的に面白かった.最後のミラーニューロンは初期研究段階の仮説から話を広げてて,締めはフワフワしている.一応,基本的な医療倫理ネタ(informed consentとか)は基礎知識として持っていた方が読み易いと思う.

  • あくまでニューロサイエンスに関連した倫理的問題のoverview。個々の問題はさらりと流している印象。この薄さでこの値段は医学書なみ!

  • ニューロエシックスの本のはずなのだが、あちこちの文章を集めて一冊にまとめたという構成のせいもあり、まとまらない。前半はともかく、後半はひどく衒学的で上滑り。倫理は倫理であり、バイオエシックスがあればニューロエシックスはいらない、なんで脳だけ特別扱いするのか、という意見はあるが、現代の脳科学がエンハンスメントやマインドスキャニングなど、プライバシーの最たるものである我々の意識にまで踏み込んできているという気持ち悪さにはやはり一線を画す必要があるように思った。・米国神経学会では、リタリンやアリセプトのスマートドラッグとしての使用は、適応外使用であることを了解の上であれば合法であるとしている。もちろん、努力なしで達成された成果に対する批判心から、こうした姿勢に反対する意見もあるが、治療とエンハンスメントの境界ははっきりしない(低身長に対するGH投与?うつはともかく、疎外感・不快感に対するプロザック?)

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著者プロフィール

美馬達哉(みま・たつや) 立命館大学先端総合学術研究科教授/脳神経内科医師。脳神経内科の臨床と同時に、社会学の手法で、医療や生に関わる人文学的研究を行う。近年は救急現場での患者選別(トリアージ)を調べている。著書に、『生を治める術としての近代医療―フーコー『監獄の誕生』を読み直す』(現代書館、2015年)、『感染症社会――アフターコロナの生政治』(人文書院、2020年)など。

「2022年 『自由に生きるための知性とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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