野菜いためは弱火でつくりなさい (青春新書PLAYBOOKS) (プレイブックス 991)

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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413019910

作品紹介・あらすじ

プロなら当たり前に知っている料理の基本と、家庭料理の“常識”には、実は大きなギャップがあります。たとえば「火加減」。野菜炒めは強火でつくるものだと思っていませんか? 肉は強火でまず焼き固めると思っていませんか? さらに「塩加減」や「切り方」など、料理にはレシピ本には書いていないワナがたくさん。間違った常識や思い込みから脱して、いつもの料理を「おいしい!」と言わせる法則を大公開します。

感想・レビュー・書評

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  • 火加減、塩加減、切り方のルールを守る。
    料理は科学、たんぱく質が固まる温度など。
    強火は必要ない。弱火~弱めの中火。

    たんぱく質に急速に熱を加えると、細胞が収縮して水分を出す。その結果ぱさぱさになる。
    固くなるのは、筋繊維が45~50度で収縮するから。ここをできるだけゆっくり加熱する。
    低温から火を入れて、低速で調理する。

    塩加減は、0.8~0.9%=体液の塩分濃度と同じ。
    しゃきっとゆでるには、野菜内部とゆで汁の塩分濃度を同じにする。0.8%前後。

    肉は重さが8割になれば感性。
    鶏肉に塩をまんべんなく振って、低温で焼き始める。最初の水分脂分はふき取る。重さをはかる。

    野菜炒めの肉にも0.8%の塩。加熱したフライパンで肉を焼く。
    フライパンを冷やして、油をまぶした野菜を置く。弱火にかける。2~3分に一回ひっくりかえす。約8分。豚肉を入れる。最後に醤油とごま油で中火。

    パスタは、二つ折りでもだいじょうぶ。1人前80gに600㏄のお湯。茹でる前1.3~1.5%、ゆであがり1.8~2%。
    米もパスタも、1.2倍の水をすった状態がちょうどいい。

    塩析効果でパスタの表面に壁ができるので放置してもべたべたにならない。伸びない。
    吹きこぼれるのは、パスタの粉が溶けだし表面を覆うから。

    オリーブオイルを加熱しないでンニク唐辛子をいれて加熱する。
    パスタを湯切りしないで、フライパンに入れる。

    加熱する場合は、バージンオイルではなく、ピュアオイルのほうが得グミが出ない。

    オイルが乳化するためには、油と水の分量、温度、対流すること。

  • レシピ本は多く出てるが、この手の素人向けのテクニック本って少ないので非常に参考になった。

    ・麻布十番で教室をやっている
    ・料理は科学
    ・まずはキッチンスケール(デジタル表示で0.1gまで計れるもの)、計量スプーン(大匙15cc、小さじ5cc、1cc、0.1cc)

    【家庭のコンロは火が強すぎる】
    ・フライパンの温度が上がりすぎたと思ったら、火を弱めるでもなく、フライパンを持ち上げて遠火にするでもなく、「火を止める」が正解!
    火を弱めても高い温度が一定になるだけで、温度が下がらない。
    ・料理における「強火」というのは、フライパンや鍋底に当たる熱の量のこと。プロ用は火が強く見えるが、五徳の高さがあり、鍋まで距離がある。しかし、家庭用コンロは五徳が低く、直接鍋底に火があたりすぎ、すぐに高温になってしまう。
    ・炎の大きさを見るのではなく、フライパンや鍋底の距離を気にすること。
    ・強火を使うのはお湯を沸かすときだけ。
    ・「中火」鍋底に炎がちょうどついた状態、「弱火」鍋底に炎が全くつかない状態、「弱い中火」鍋底に炎がギリギリつかない状態、「強火」炎が鍋底全体に当たり、周囲にはみ出さない状態。

    【肉料理】
    ・生体の温度(おおむね40℃)+10℃の50℃が肉に変化が起こりやすい。アクが出たり、タンパク質が固まったり、縮み始める、うまみが出てくる、味が内部に入るなどの変化が出る。
    ・冷たいフライパンに冷たい肉をのせ、弱火でじっくり過熱をし、50℃前後をゆっくり通過させると肉は大きく縮まない。適度に焦げ目が出てきたところで火を止めれば成功。
    ・焼き始めは「シュー」という音を保つこと。「パチパチ」は火が強い。数分で水分が出てくるので、キッチンペーパーで丁寧に吸い取る。これはアクや臭み。
    ・重さが焼く前の約8割になったら完成。

    【ステーキ】
    ・ステーキのレアは中まで温かいこと。中まで冷たいのは牛肉のタタキ。
    ・焼く前にうっすらと油をまとわしておくと、表面が乾燥しにくく焦げにくい。
    ・冷たいフライパンから始める。「シュー」という音はフライパンの表面温度が100℃を超えると聞こえてくる。大体弱火で30秒ほどでなる。5分ほどで180℃になるので、焦げ目がついてくる。ここから弱火にして温度を維持していく。
    ・食べごろは、焼き時間より重さが目安。
    ・ミディアム、レアは脚付網(高さ1~2㎝)でオーブンと同じ効果を。

    【低速調理】
    ・野菜にしても肉にしても適度に水分を残すのがベスト。ゆっくり加熱することが大事。
    ・ルクルーゼのような鋳物ホーロー鍋は熱の伝導が急激ではなく、素材の温度上昇がゆっくりなので美味しくできあがる。
    ・低速調理は時間がかかるように思えるが、その間に副菜を作ったり、食器を出していればいい。弱火だから焦げることもない。

    【塩加減】
    ・ほとんどの料理は「塩加減」で決まる。テキトーにやってはいけない。必ず量る。塩をちゃんと量ることが「おいしい」の第一歩になる。
    ・人間が本能的においしいと思える塩分濃度は、食材の重さの0.8%~0.9%前後。人間の体液の塩分濃度とほぼ同じ。

    【浸透圧を利用する】
    ・野菜をシャキッとゆでるには、野菜の内部とゆで汁と塩分濃度を同じにすればいい。0.8%を計算して、このお湯でゆでると野菜の水分が外に出ず、中にも入らない。
    ・肉を焼く時も同様

    【ハンバーグ】
    ・冷たいフライパンから弱い中火で焼いて、そのまま中まで火を通す。
    ・こねる材料の合計(g)×0.008 つまり0.8%の塩を使う。

    【野菜いため】
    ・中華鍋で最も高温になるのは、底ではなく側面。
    ・中華鍋と強い火力、あおりのテクニックを必要とするものはプロに任せる。
    ・家庭では「超弱火」で作れば、野菜本来のあまみやうまみがしっかり残り、べちゃべちゃにならない。
    ・料理をするときは、とにかく材料を切りそろえておくこと。調味料も計って用意する。使う順にバットに並べておいてもよい。
    ・冷たいフライパンに切った野菜を全部入れ、油を上からかけて両手でまんべんなく混ぜる。弱火でジッと待つ。たまにひっくり返す程度。
    ・弱火でじっくり火を通すと、内部の水分が急激に失わない。ベチャベチャになるのは野菜の水分が出てしまうから。
    ・すべての野菜が色鮮やかになり、歯ごたえも残り、無駄な水分が残ってないはず。覚めても水分は出ず、シャキシャキ感が残っている。

    【ペペロンチーノ】
    ・パスタはゆでる段階でしっかり塩味をつけること。味がイマイチなのは、ほとんどパスタに塩気が足りないから。塩不足だとアルデンテにはならない。
    ・小さい鍋で茹でる時は、パスタを二つに折ってもOK。さほど支障はないし、食べやすいかも。フライパンで茹でるもあり。
    ・蒸発することを考えて、ゆでる前は1.3~1.5%、茹で上がりで1.8~2%の塩分濃度になるようにする。
    ・パスタも米も1.2倍の水を吸った時が食べごろ。
    ・塩をいれた鍋が沸騰したら、小さじ一杯のオリーブオイルを投下。「くっつき防止」「風味づけ」のため。その後、パスタをゆでる。
    ・しっかり塩をいれたお湯で茹でると噴きこぼれはない。噴きこぼれとは、パスタの粉がお湯に溶け出し、それがお湯の表面に膜をつくることから起こる現象。
    ・オリーブオイルが冷たいままにニンニクと唐辛子を弱火でゆっくり加熱。
    ・パスタは湯切りせずにそのまま鍋からソースの入ったフライパンへ。油とパスタに付随した水分が乳化する。オイル系のパスタは必ず必要な工程。

    【オリーブオイル】
    ・オリーブオイルには一番搾りのバージンオイルと、二番絞りのピュアオイルがある。バージンオイルは香りが強く酸度も高いけど、反面エグみにもつながる。加熱すると顕著にでる。加熱して使わず、生で使うべき。加熱するときはピュアオイルで。

  • 「熱したフライパンで焼く」「塩加減は適当で」といった常識から抜け出して、科学の観点から美味しく料理を作ろうという本。

    徐々に熱した方が食材の細胞が壊れにくい、水分が抜けてパサパサにならない、あるいは適度に抜けていく、などを根拠を挙げながら説明している。

    特に塩加減のことは参考になった。食塩の量は食材の重量の0.8%が理想(身体の塩分量と同じ割合のため)、パスタを茹でる時はまず食塩で下味をしっかりつけなければ美味しくならない、は早速実践してみたい。

    しかし手間をかけて作るのが美味しく作るために必要と理屈としては分かっていても、結局は適当でサッと済ませてしまいそうだ。

  • 家庭のコンロは五徳が低いので、弱火から強火でゆっくり調理する。
    フライパンなどを温めてから調理しない。冷たい素材をのせて調理開始。

    弱火:炎がなべ底にまったくつかない:野菜など
    弱い中火:炎がなべ底にギリギリでつかない:肉

    塩分は素材の0.8%

    胸肉
    皮側15分、返して3分(水分がはじける:火が強い/音がしない:弱すぎる/シューとなる:ちょうどいい)
    水分を取りながら焼く

    野菜炒め
    冷たい野菜に油をまぶして冷たいフライパンにのせ、8分ほど弱火でおいておく。

    パスタ
    1.5%の塩分濃度のお湯でゆでる。一人分は600cほど。
    湯切りはしない。

  • 料理を感覚ではなく理屈で説明してくれる。

  • 再読。料理は科学であることには普段から興味を持って向き合ってるのでなるほどーと再確認。
    たまに時間がかけられるときは野菜炒めとかやってみてます。最近はテレビでも似たような作り方が紹介されていたので定着してきているのかもしれません。


  • 暮らし

  • 配置場所:2F新書書架
    請求記号:Mi 96
    資料ID:C0035788

  •  とりあえず0.1gまで測れるキッチンスケールを買わないと……!ってなる。
     作ってみてからかなぁと思いつつ。料理は化学なんですね。

  • まあタイトルのままで、科学的に言ってそれが正しい。そんな本で。
    多分その通りなのだが、簡単に書いてるせいか、若干トンデモっぽい気配を感じてしまうのが、我ながら嫌。
    本当にとんでもというわけではないのだけどね。
    レシピ自体は少ない。レシピ本ではない。
    一口コンロしかなく、仕事終わって料理するわけで、火を通すのに時間かかるのは辛い。
    「普通の」調理法と使い分けかなあ。

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著者プロフィール

1967年、福岡県に生まれる。料理家、調理研究家。大阪あべの辻調理師専門学校卒業、同校フランス校卒業後ジョルジュブランで研修。帰国後、東京恵比寿「ラブレー」に勤務、1994年より3年間シェフを務める。2000年7月、恵比寿にフレンチレストラン「サントゥール」を開店。後に「エムズキッチンサントゥール」として2009年まで営業し、2010年からは麻布十番に場所を移して調理研究家として活躍を開始する。科学的調理理論を取り入れた独自の調理指導法を確立し、大学や企業の研究所への情報提供も行っている。 著書に『美味しさの常識を疑え! 強火をやめると、誰でも料理がうまくなる!』(講談社)、『今日からおいしくなる洋食のシンプルルール』(高橋書店)、『水島シェフのロジカルクッキング』(亜紀書房)、『水島シェフのロジカルクッキング2[動画付き]プロ級レシピ徹底マスター』(dZERO)などがある。

「2014年 『ロジカルクッキング[動画付き]和食定番レシピ33』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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