- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784418965281
感想・レビュー・書評
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星野さんの遺作。南東アラスカを舞台にその地に住む人々との関わりを神話をベースにまとめたエッセイ。1万年前と変わらない景色、口語で伝わる物語は古代の世界そのまま。世界観に圧倒される。
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彼の本を読んでいつも思うことは、「消えゆくものに対する慈しみ」に満ちているということです。私が彼の著書に惹かれる一番の理由もそこにあるように感じます。
アラスカの大自然とそこに生きる人々、その大地と人間が背負ってきた歴史(=物語)に寄り添って、それを記録(自分の言葉と写真)にとどめること、それが彼のライフワークでしたが、この「森と氷河と鯨」が彼の最後の作品となりました。
カムチャッカで野営中クマに襲われたことは、当時新聞で読んで知っていましたが、それはワタリガラスの伝説(=アラスカに生きる人々のルーツ)を求めてアラスカからシベリアに渡った旅の途上だったことをこの本で知りました。彼の人生そのものがアラスカをめぐる物語のひとつだったように感じてしまいます。 -
たくさんの初めて聞く、横文字たちや、初めての神話、動物と人間が交わる自然。すべてが壮大すぎて、私が考えている自分の哲学論なんて本当にちっぽけなんだと感じた。文章に横入りしてくる写真の質があまりにもよすぎて、邪魔になったくらいだ。(良すぎて逆に邪魔なのだ。なんて贅沢だ。)
彼が撮った写真集も熟読(よく見て、よく読む)したい。 -
アラスカに伝わる神話は、ワタリガラスを主人公にした物語が多い。神話を追い求める著者が一人のインディアンに会い、それがやがてモンゴロイドの偉大な旅につながっていきます。