スティグリッツ教授の経済教室―グローバル経済のトピックスを読み解く
- ダイヤモンド社 (2007年10月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478000847
感想・レビュー・書評
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ジョゼフ・E・スティグリッツ博士の本。
これは2007年の本なので、まだ世界崩壊前の話である。
故に、一分現在の状況ととは違う処があるが、経済学者の政府関係者に対する愚痴として捉えると非常に面白い。
竹中平蔵が、亀井静香に噛み付くみたいなものか、いや違うな。
とにかくスティグリッツ教授は、ブッシュ政権が大嫌いで、事あるごとにチクチク理論武装して突っ込みまくる。
これはどういう事かと言うと、彼はケインズよりなのである。故にニューディール政策的な公共投資をあまりせず、金融資本だけでぶん回してきたブッシュ政権が大っきらいなのである。
よってゼーリック等も袋叩きにしている。もちろん、アラン・グリーンスパンもだ。
・・・ちょっとまてよ、と。結局この本の本文って何?
それは簡単です。ブッシュ政権が犯した過ちに対する反省文と、私ならこうしましたという論文です。
なので霞関係者の方の中にはスティグリッツ信奉者が比較的多いのかもしれません。
かく言う私もこの本は、某大学教授で某省審議官だった方から頂いたものですので(笑)、霞のかたでしたらどうしてもケインズよりになるだろうなぁと思います。
池田信夫先生と村上グーグル名誉会長はマンキュー派みたいです。
私はとりあえず、スティグリッツ理論は理解したし、親日派っぽいのでスティグリッツ教授の教科書を買いました。でも、読み終わったらマンキューも買ってみたいと思います。たぶんその頃には日本語訳された最新版のマンキューのマクロ経済学の本も出ていることでしょうから。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
グローバリゼーション、地球環境、国際貿易、中国の台頭、イラク問題…。ノーベル賞経済学者・スティグリッツ教授が世界の重要テーマを鋭く分析。間違いだらけの政策・学説を論破し、正しい考え方を提示する。(TRC MARCより)
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2007
ノーベル経済学賞受賞した経済の大家 -
(08.5.29)
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8ポンド(購入時:1,750円)
新品 -
ジョセフ・スティグリッツが「プロジェクト・シンジケート」に寄稿していた原稿を時系列順にまとめた本。なので、体系的に経済学を学ぶというような「経済教室」ではなく、それぞれのコラムで主題となるトピックについて経済学的な観点から論じられているって感じ。ブッシュ政権やIMFに対する手厳しい批判がされているが、ほとんどで対案が示されていて、建設的な批判となっているのはさすがといった感じ。また、反グローバリゼーション的な記載も多いけれど、市民団体のよくわからん抗議活動なんかよりは理性的かつ理論的に書かれており勉強になる。ただ、経済学的には基本的な経済用語くらいは知っておかないとキビしいかなぁ、と思う記載もあるので、初心者向けと思って買うと戸惑うかもしれませんのでご注意を。
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ノーベル経済学賞受賞者であるスティグリッツ先生による寄稿記事を
『週刊ダイヤモンド』誌が連載していたもの。
内容は、雑誌連載ゆえの区分そのままだったため、
安直な弱輩者は、不謹慎にも気になったトピックのみを読んだ。
第3章以降は、ブッシュ政権の経済政策全般に対する批判に終始しながら世界経済を解説。
視覚データ・図が皆無かつ縦書き体裁。
他畑からの読者としては、顰め面をしてしまうことも多い装丁だった。
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スティグリッツの2003年から2007年にかけての経済コラム集。スティグリッツは、1997年のアジア通貨危機に対するIMFの救済策内対する問題点を経済学的に明らかにした勇猛果敢なマクロ経済学者。
タイを発祥とするアジア通貨危機は、「返済能力の問題」か、あるいは「流動性の問題」かであった。IMFは通貨危機を「返済能力の問題」と認識したのである。ここが誤診の始まりで、その誤診の上に、構造解改革の要求まで付け加えた。IMFの97年の対応については後日詳細を明記できたらなと思うが・・・・・。
IMFの改革も主導したとされている。
また、フリードマン流のマネタリズムに対しても疑問を呈し、インフレターゲットに対しても「実質金利」を下げることで投資が活発になるという経路について疑問を呈して、これを批判している。実質金利は、短期国債と長期国債の相対的な供給量を変えることによって、資産の価格に影響を与え、よって長期実質金利に影響を与えることが出来るとしている。金融政策は実質金利よりも、むしろ信用のアベイラビリティー(可用性)を通じて景気に影響を及ぼすのである、としている。信用供給の方が重要だと説いている。インフレターゲット(物価安定化金融政策)については、スティグリッツは反対しており、2002年時から「転向」したようである。というのも、「スティグリッツによる日本経済再生の処方箋」として黒木氏が掲載している通り、インフレターゲットを再生の処方箋として述べているからである。
巻頭論文に「21世紀はじめの日本と世界」が掲載。これだけの紙幅があれば、十分に述べたいことが述べられるだろう。似たような経済論集にクルーグマンの「クルーグマン教授の経済入門 (日経ビジネス人文庫)」「良い経済学 悪い経済学 (日経ビジネス人文庫)」があるが、それらとの対比で言うとスティグリッツは「社民」よりの言辞が目立つ。それならそれでいいのだが、その根拠の明示が少なく、理論を説くといった風情がないのも肩透かし気味。
各コラムが、紙幅の関係もあってだろうが、短いので、それぞれに読み応えがないのが非常に残念。
とはいえ社民的なマクロ経済学が、日本のマクロ経済学者には少ないように思うので、彼のような視点からの日本経済に対する指摘は、すこぶる貴重なことであろう。マクロ経済が、あまりに「自由主義」へ傾斜しているのは、その学者が自由主義=価値観からも自由であるとの錯覚を持つことからも、正当性を過激に主張する根拠を与えることになり、「政治的」に危険でさえあるからである。 -
やっぱ勉強しなきゃなーっと思った。それだけっす。
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「経済教室」って書いてあるけど経済学について特に良くわかるようになるわけではない。スティグリッツの経済に関する意見書をまとめたようなもの。グローバリゼーションやブッシュ大統領の政策を批判している。グローバリゼーションについてはそれ自体を否定しているわけではないけど、ケインズの「長期的には我々は死んでいる」の言葉を引用して長期的には恩恵を受けるとしても短期的には人々を不幸にするんだからそこに経済政策が必要になるというようなロジックで論を展開している。最近の世界経済のトピックをおさえるという点ではすごくよい本。