- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478006191
感想・レビュー・書評
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ヒトの集積によって経済が指数的に成長し、世界の格差は拡大している。その集積は、なんと、性格によるという。シカゴは外交的、ニューヨークは情緒不安定。じゃあ自由が丘はオシャレ、かというと、そこは「広域東京圏」として神奈川や千葉も一括りなのだった。
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世界はフラット化しているのではなく、スパイキー化している。
限られた“場所”に人も、情報も、創造性も集まる。
富を生み出している地域、クリエイティブな地域は、世界の中でも限られており、グローバル化が進むにつれて、その集積はますます進んでいるという。
どこに住んでもインターネットにつながれるから情報が入手できるというのも大事だが、
それ以上に、どこに住むかによって創造性は大きな影響を受けるという視点も大事だ。
どんな人がいる場所か、どんな自然があるところか、どんなコミュニティがあるか、
どこに住むかは、考えている以上に重要なのかもしれない。
“現代のクリエイティブ経済における経済成長の真の原動力とは、才能と生産性に満ちた人々の蓄積と集中化である。彼らが特定の地域に寄り集まって住むことで、新しいアイデアが生まれ、その地域の生産性は増加する。” -
とてもとても面白い。
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氏のこれまでの研究で分かったことをもとに、いかにして最高の居住地を見つけるかというテーマでまとめた本。
都市経済学者の一人としてこれまで都市の成長と人々の移動、居住などを分析してきた著者が、それらを活かしいて実際の居住地選択の方法を分かりやすく整理したといった趣きである。
分析データの説明が非常に簡略であったり、背景となる理論の説明がかなり省略されているのは、そういったこの本の特徴からくるものであろう。
詳細は氏の他の著書に述べられているのだろうが、都市経済や産業論のこれまでの研究でよく見られた地代、移動コスト、産業連関、競争優位といった視点のほかに、クリエイティブな人材を集めるための「場所の心理学」という視点を入れている点は非常に興味深い。
調査によると、「私生活における幸福感」、「仕事における幸福感」、「経済的な幸福感」と並んで、「居住地にまつわる幸福感」が人間の幸福感の向上に大きな影響を与えている。
そして、幸福感を与えてくれる場所の特質を分析するため、5つの主要な要素を挙げている。
・治安と経済的安定:犯罪と安全に対する認識、経済の全般的な方向性、雇用機会
・基本的サービス:学校、医療、住宅の入手しやすさ、道路、公共の交通機関
・リーダーシップ:官民のリーダーシップの資質と実行力、そして一般市民及び地域住民の地域への参加の可能性
・開放性:子供のいる家庭、人種的・民族的マイノリティ、高齢者、海外からの移民、ゲイやレズビアンなど、様々な人口統計上のグループに対する慣用性と受容性
・美的感覚:美観、快適性、文化的環境
まちづくり、地域の活性化を考える際に役立つ、非常に網羅的な視点を提供していると感じた。 -
2012年は日本もLCC元年だけど、さて移動して心地よい場所に住むには?ノマド、ノマドと喧伝されるが、さて「どこがいいの?」が書かれている。扉は開かれる、だろう。
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・フラット化に対抗する概念としてのスパイキー化を提唱。
人口、経済活動、特許数、論文引用数という指標が極めて一部の地域に集中している。
・フラット化とスパイキー化は二者択一ではなく、両者が同時にこっているとする。
・そのような世界の中で居住地の選択の重要さが増している。
住む場所の多様化と特殊化+移住志向の高い社会
・メガリージョン(夜間の衛星写真において光量が集中してる地域)という新しい経済単位。世界は4つの地域に分けられる。
・ボヘミアンやゲイが多い地域は寛容度が高い、など。 -
グローバル化、ボーダーレス化と言われる中、
「どこに住むか」によって、
仕事や生活、創造性に大きな影響があるか、
場所の選択の重要性を説いた本。
第1章 住む場所の選択
第2章 スパイキーな世界
第3章 メガ地域の台頭
第4章 集積の力
第5章 移動組と定着組
第6章 才能の集まる場所
第7章 ジョブ・シフト
第8章 スーパースター都市
第9章 輝ける幸せな場所
第10章 人々の欲求を満たす場所
第11章 都市の性格心理学
第12章 最高の移住地を見つける方法 -
それぞれの場所の持つ特殊性に着目し、重視する議論。
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「スマートナレッジシティ」スマートシティにナレッジが加わった考え方のブログを読み、以前読んだ「クリエイティブ都市論(2009年2月発売)」を再読してみた。まぁ、殆ど始めて読むがごとしでしたが。。。
大都市または大都市圏がひとつ以上あり、夜の地球で光が集中し、一定以上の経済規模のある地域を「メガ地域」と定義している。そして世界最大のメガ地域を「広域東京圏」とし、人口は5500万人、経済規模は2.5兆ドルだ。世界第2位米国東海岸のボストンからニューヨークを経てワシントンDCに至る「ボス=ワッシュ」で人口は5400万人、経済規模は2.2兆ドルだ。
メガ地域が成り立つ要因を次のように挙げて考察している。1.人口が2倍になった場合、必要な資源は2倍にならないがクリエイティブな生産活動や経済活動は2倍より大きくなる。2.勤勉かつ有能な人々はお互いに寄り集まる、そして生産性の高い企業は同じように生産性の高い場所に引きつけられる。3.社会経済的流動性と地理的な流動性は相互依存の関係にあり、必ずしも無関係なものではない。4.今日の社会でもっとも重要ななのは、大勢の人がどこに集まるかではない。「高い能力を持った人々がどこに集まるか」である。5.企業はその活動を拡大することで規模の経済を利用しようとする。だが企業はお互いに隣接し会うことによる集積の経済によっても利益を獲得できる。6.人間同士のネットワークは、スタンフォード大学の社会学者、マーク・グラノヴェッターの言うところの「弱い紐の強さ」の影響を受ける。
また、メガ地域といえどもその特徴は集まる人間に左右される。人間の性格は五つの主要な因子(「ビッグファイブ」と呼ばれる)で大別され、それは「経験への開放性」、「誠実性」、「外向性」、「協調性」、「情緒不安定」から構成されているそうだ。その中で、「経験への開放性」が地域の経済状況に確たる役割を果たしており、コンピュータや科学技術に関連した雇用数、地域の人的資本水準、ハイテク産業、所得、住宅価格そしてゲイ指数やボヘミアン(芸術家)指数との相関が大きいとのことだ。米国では前述の「ボス=ワッシュ」、シアトル、ロサンジェルス。サンフランシスコなど、東西の海岸線に集中している。
「弱い紐帯」とも呼ばれている「弱い紐の強さ」そして、異文化や芸術、新しいモノやコトへの好奇心そしてその体験を楽しめる「経験への開放性」がもっとも求められているようだ。冒頭で、「広域東京圏」が世界最大とメガ地域と述べた。今やその光にも文字通り陰りが出ていることと思う。今、私たちにできることは弱い紐帯を張り巡らし、未知の情報を得て新しい創造に結びつけていくことではないだろうか。 -
■都市
1.「何を」「誰」と行うかという2つの選択は人生で大きな意味をもつ。その次に、「どこで(居住地)」も大きな意味を持つ。
2.世界はフラットではなくスパイキーである。
3.生まれてから死ぬまでの人生の可能性は居住地次第である。(研究者ベサン・トーマス:シェフィールド大学)
4.書籍メモ:「幸せはいつもちょっと先にある」心理学者ダニエル・ギルバート
5.持ち家はアメリカンドリームの象徴だと信じているが、借家に住む人の方が、持ち家に住む人より満足度が高い。:ティナグリの分析