マッキンゼーをつくった男 マービン・バウワー

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478321270

作品紹介・あらすじ

マービンは、人を育てることを第一に組織を設計した。だから、マッキンゼーから多くのリーダーが巣立っていったのは驚くには当たらない。マッキンゼーを離れたところに活躍の場を見出したリーダーたちは、あらたに多くのリーダーを育てていった。その源をたどるとマービンに行き着く。仕事を共にした部下やクライアントに多くの影響を与え、それがまた受け継がれていった。言わば「マービン・スクール」である。

感想・レビュー・書評

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  • マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)は、誰もが知っているコンサルティング会社だ。日本でも、大前研一氏や、勝間和代さんがマッキンゼーで働いていたことは、よく知られたことだと思う。最近でも、『マッキンゼー流入社1年目の問題解決の教科書』とか、『マッキンゼー流図解の技術』など、ビジネス書には、マッキンゼーを取り上げたものが多いように思う。

    そのマッキンゼーの基礎を築いたのが、本書の主人公、マービン・バウアーだ。1933年にマッキンゼーに入社したマービン・バウアーは、経営コンサルティングという業界を確立した。経営に、理論的、科学的な問題解決の手法を導入した。

    巷でマッキンゼーを取り上げているのビジネス書も、どちらかというと、そういう点にフォーカスした本が多いと思う。たとえば、3C分析、たとえばロジック・ツリー、たとえば、空・雨・傘。そういうフレームワークがマッキンゼーの大きな武器であることは間違いない。

    だが、本書を読むとマービン・バウアーが大切にしていたことは、それだけではないということが良くわかる。彼は企業文化を大切にした。決して、”文明”ではない。”文化”である。世界中の地域に、それぞれの文化があるように、企業にも文化がある。その”文化”こそが大切だということをマービン・バウアーは説いた。

    もう一つ、マービン・バウアーが大切にしたことは、若手に責任と権限を与えたことだ。大きな案件もいったん決心したら、若手に責任と権限を与える。未来を担うのは若い人たちであり、若い人たちを拘束し、目標を達成させることが企業が成長することではないのだ。そんなことは分かっていることだと言うかもしれないが、なかなかできることではない。

    マッキンゼーのフレームワークという武器だけでなく、その根底に流れる魂に触れるための一冊。

  • リーダーシップとは何かということを勉強しようと思って読んだ作品。
    マービン・バウワーという人物が素晴らしいリーダーシップを持っていた
    のは間違いないと思いますが、リーダーである以前に一人の人間として
    素晴らしかったのだということもよく分かりました。
    今でこそコンサルティングファームというのはメジャーな存在ですが
    (とはいえその実態はイマイチ凡人には掴みきれないですが)
    まだコンサルティングファームが存在しなかった時代に
    マッキンゼーのコンサルティングファームとしての立ち上げから
    何からすべてをマービンが中心となっておこなってきたのがよくわかりました。

    この本の中で学んだのは
    ・人の話をよく聞くこと
    ・自分の信念を曲げないこと
    ・事実に基づいて判断すること
    ・行動に移すこと
    ・職業倫理を守り通すこと
    特に職業倫理という言葉に全て集約されているのかなと思います。

    時代に応じて課題は変わるが、課題解決のための能力は
    時代によって変わるものではないという偉い人の言葉が載っていましたが
    まさにその通りで、半世紀以上昔の話でも今なお生きた言葉として
    心に響くものでした。

    明日からの仕事に生かそうと切に思っています。

  • マッキンゼーというブランドを創り上げた、マービン•バウワーについての逸話を集めた一冊。本人のエピソード、友人、同僚からのインタビューなど。

    マービン氏のことはまったく知らなかったけれど、本当にストイックで誠実な人だった。ジョブス氏もそうだけれど、高世に残るブランドを立ち上げるような人は、独善的な部分がなければいけないんだろう。ジョブス氏のように高飛車ではなかったようだけれど、やはり周りからある程度恐れられていたようだし。

    その裏には自分の明確な信念がある。レターフォーマットや服装にこだわり、世界中どこでも同じブランドだと思わせたい、というサービスに対する強い想いは、真似をしなければいけないなと感じる。

  • 自伝でも伝記でもなく、その人物がどういう人だったのかを示す評伝というジャンルなんでしょうね。マッキンゼーを築き上げたマービン・バウワー氏の信念、仕事のやり方、氏が考えるリーダーシップの要件などが記されてます。

    実際にあったエピソードがふんだんに盛り込まれ、本人のコメントや、バウワー氏に影響され、育てられていった人たちの氏に対する評価も随所に散りばめられています。彼が考える「人を育てる会社とは」「リーダーとは」どうあるべきか、というポイントは、最後まで読めばしっくりと理解できます。

    やっぱり仕事をするにあたっては率直であること、嘘をつかないこと、相手に自分の言い分を誤解させずに伝えることとしっかりと聞いてあげることといった、当たり前と思われることをきちんとやらないといけないんだなーと実感。というか、書かれていることは本当にそういった当たり前だし平凡だし、「どっかで聞いたことあるよ」というようなことばかりでした。

    だからこそ、それをどこまでも誠実に頑固に貫き通せるかどうかで、人の評価というものは変わるのでしょう。それができている組織や上司は、きっと少ないんでしょうね。シンプルだからこそ、実践するのが難しい。いろいろ考えさせられました。

  • マッキンゼーがまだ一流ないしは二流だった頃、高潔で真摯な態度を以って「超」一流までに導き上げたマービン・バウワーの物語。いまでこそMBAトップスクールの出身者が占めるマッキンゼーだが、その仕組を亜流のような存在であったマービン氏が作り上げたのがこれまた面白い。彼の高い能力はコンサルの地位だけではなく、ビジネスマンの地位も引き上げた。一人の偉大なリーダーがいれば全てが変わる。

    徹底して信念と志を守りぬく「プロフェッショナル指向」、服装まで気を配る「クライアント第一主義」などなど、上滑りになりがちな言葉の、本質の意味をマービン氏は改めて学ばせてくれた。

  • ■プロフェッショナル

    1.プロフェッショナルが価値を置くのは金銭ではない。金銭的利益を無視するわけにはいかないが、それを目標にしてはならないというのがマービンの口癖だった。もしそれが最終目標になってしまったら、クライアントのために尽くすことはできず、結局は利益も損なわれることになる。

    2.リーダーシップの6つの要素
     a.顧客の利益を最優先する
     b.つねに耳を傾ける
     c.事実に立脚する
     d.行動に結びつける
     e.各人に最善を尽くさせる
     f.職業倫理を徹底させる

    3.支出をするときは、クライアントの財布ではなく自分の懐から出ていると思え

  • マッキンゼー中興の祖であり、現在のコンサルティングの基礎を作った男として名高いマービン・バウアー。そのバウアーがマッキンゼーに入社するまでの経緯、入社した後に築き上げた同社のミッション・ビジョン、同社がグローバルでNo.1ファームとしてのブランドを構築していく際の事例、を綴った本。

    バウアーのビジョンは、要約すると下記のとおり:

    ①企業が失敗するのは、自社が行うべき事柄に関して正しい問いを発することができないからである(マッキンゼー入社前、弁護士として破綻企業に多く接しているうちに気づいた)

    ②正しい問いを発する条件は:1.業界の常識に染まっていないものが、2.事実に基づき、3.事業環境を論理的に構造化し、4.その結果を、反発を恐れず伝えること

    ③よって、上記2および3の方法論を身に付けた部外者(1および4を満たすには外部の人間であるのが最適)が、経営問題に取り組む必要がある。これが、コンサルタントが必要な理由である。

    ④ただし、1および4を満たす者の提言は往々にして受け入れられない(新卒上がりの若年コンサルタントのように、1および4を高度に満たす者ほど、受け入れられづらい)

    ⑤ならば、1から4を満たす者として、仕事をさせてもらうために全てを犠牲にすることを、マッキンゼーの企業文化として定着させればよい。具体的な例としては、・クライアントのために昼夜問わず働く、・明示的な形で、自社の利益よりもクライアントの利益を優先する、・少しでもクライアントがこちらを拒絶する可能性がある、非本質的な要素は、徹底的に排除する。例えば服装は、地味・没個性・安物を着ることを徹底させる。

    コンサルティングのバリューを巡る一つの立場として、非常に一貫性があり、大変興味深い。

  • マッキンゼーやコンサルタントファームについて全く無知な私ですが、たまたま手にとってみたのです。もちろんマービン・バウワー氏についても全く知らなかったのですが、経営コンサルタントという業種を定義したとまで言われる人だそうです。本書はその伝記というわけですが、出版直前にお亡くなりになった人のことです。
    氏がクライアントの利益を最優先させて、自社の(あるいは株主の)利益は2に次にするというポリシーをマッキンゼーに徹底させたことを数々のエピソードによって紹介します。その過程で(経営者ではなく)リーダーを育てていったというのが主題です。

  • 様々なエピソードを元に、「クライエントの利益の最優先」と「誠実であること」の大切さを教えられた一冊。
    仕事の基本を見直すきっかけになりました。

  • コンサルティングビジネスに携わるものとして、最高峰のマッキンゼーを作った人の話は興味津々。
    読み進めているうちに、「すごい男だ」「ここまでしたから今のマッキンゼーがあるんだな」「長生きだ(笑)」といろいろと考えさせられました。
    今までうっすら「これからコンサルティング会社を立ち上げても難しいだろうな」と思ってましたが、この本のおかげで確信しました。

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