企業内人材育成入門

  • ダイヤモンド社
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感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478440551

感想・レビュー・書評

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  • 人材育成に纏わる諸々の理論をまとめてくれている教科書的な印象。一定期間、人事の仕事をやっていれば聞いたことのある話、読んだことのある本からの話題が多いが、それが全て頭に入って実践できているわけでは当然なく、本棚に眠っている原著、『最強組織の法則』やら金井先生の本やらを再読しようかなと思う。

    扱うテーマが多岐に渡るので、備忘がてら目次だけ記載。

    ・学習のメカニズム
    ・学習モデル
    ・動機づけ理論
    ・インストラクショナルデザイン
    ・学習環境のデザイン
    ・教育・研修の評価
    ・キャリア開発の考え方
    ・企業教育の政治力学

    章によって著者が違うので、あるときは物語風のモデルケースなど、書き方が異なるのは少々気になる。

  • 人材育成に携わる上で、基本的なことをざっと理解するにはとても良い本。
    動機づけ理論、フロー理論、ナレッジマネジメント、学習する組織…1章ごとに本が一冊書けそうなくらい濃い内容なので、人材育成に必要な知識を学ぶ入口としておすすめ。

  • 来年度のための再読❣️

  • ”szさん、おすすめ。本棚にあるので読んでみよう
    ---
    T:8/12オフィスに着くまで→×(昼休みに完)
    P:チームメンバに紹介する文面を得る
    O:次年度計画を開始する準備期間
    ---
    ・本書は、「人を育てるための心理学、教育学の基礎理論」を簡潔に紹介する入門書である。(中略)企業・組織で「人育て」に関わるすべての人々に読んでいただけるよう編集されている。(p.iii)
    ・企業の経営戦略と連動した人事諸施策を遂行していこうとする考え方を戦略的HRM(Strategic Human Resource Management)という。(p.4)
    ・オトナのための教育学“アンドラゴジー” (p.38-39)
     オトナの学習とは何か。P-MARGE。
     P…Learners are Practical.(大人の学習者は実利的)
     M…Learner needs Motivation.(動機を必要とする)
     A…Learners are Autonomous.(自律的)
     R…Learner needs Relevancy.(関連性を必要とする)
     G…Learners are Goal-oriented.(目的志向性が高い)
     E…Learner has life Experience.(豊富な人生経験あり)
    ・桃栗三年、柿八年!?
     「今の若い人、結果を早く求めすぎなんです。仕事が出来るようになる前に、辞めちゃう人多いから、君はそうならないでね」(p.53)
    ★人は一人だけでは、一人前になれない。
     そして、あなたも、一人の力で一人前になったわけではない。
     人が一人前になるとき、その傍らにはかけがえのない他者がいる。(p.58)
    ・内発的動機づけは、知的好奇心や自己の有能さ、自己決定といった人間の感情に密接したやる気である。(p.121)
    ・バンデュラは、人のやる気には、自分の行動がある結果をもたらすという「結果期待(outcome expectation)」だけでなく、その行動をうまく行うことができるという「効力期待(efficacy expectation)」をもつことが大切だと考えた。(p.133)
     #効力期待っていうのは初めて聞いたが、たしかにありそう。
    ・ADDIE…インストラクショナルデザイン(ID)プロセスのうち有名な1つ(p.157)
     - Analysis(分析)
     - Design(設計)
     - Development(開発)
     - Implementation(実施)
     - Evaluation(評価)
    ・ゴールイメージを『○○を理解する』とか『○○を学習する』とすると、どの程度学習するのかとか、どういう状態であれば理解したといえるのかがわからないことになる。(p.162)
    ★ガニエの九教授事象 (p.168)
     1.学習者の注意を獲得する
     2.授業の目標を知らせる
     3.前提条件を思い出させる(=前回の復習。目標達成のためにどのような知識を使うか)
     4.新しい事項を提示する
     5.学習の指針を与える
     6.練習の機会をつくる
     7.フィードバックを与える
     8.学習の成果を評価する
     9.保持と転移を高める(=復習)
    ★カークパトリックの四段階評価(p.175)
     レベル1 反応(Reaction)…研修に対して満足したか
     レベル2 学習(Learning)…研修で扱った内容を理解したか
     レベル3 行動(Behavior)…研修で扱った内容を実務において、活用できたか
     レベル4 業績(Results)…研修で扱った内容が業績に貢献したのか
     #レベル3以降は、後日ヒアリングや要因分析が必要。
    ・正統的周辺参加(Legitimate Peripheral Participation:LPP)
     新人が共同体のなかで学習し、一人前のメンバーになっていくような参加の仕方。
    ・学習環境デザインとインストラクショナルデザイン
     企業の人材育成者には、どちらか一方だけではなく、二つのデザイン理論のいずれをもうまく使って学習をデザインすることが求められている。(p.214)
    ・富士通の成果主義が失敗した原因は、成果主義が一部の人にとって都合よく運用され、それ以外の人にとっては正当な評価とならなくなったことにあったとされている。(p.221)
    ・現実には、研修や学習の効果をアンケートですべて判断してしまおうという企業は少なくない。それは、アンケートを信頼しているのではなく、アンケート以外の手法を知らないということに起因していることが多い。(p.239)
     #ドキッ!
    ・実践共同体のような場をつくり、人と人とを結びつけようとするナレッジ・マネジメントの第三の波もまた、新しい課題に直面している。それは、どのようにすれば人は実践共同体に参加するのか、という課題である。(p.246)
    ★(ダグラス・)ホールはこれらをまとめて、キャリアを「一生涯にわたる仕事関係の経験や活動とともに個人がとる態度や行動の連なり」と定義した。(p.257)
    ★キャリア・アンカーに気づくための問い by エドガー・シャイン (p.265)
     ?能力・才能についての自己イメージ
      「自分は何が得意か」
     ?動機・欲求についての自己イメージ
      「自分はいったい何をやりたいのか」
     ?意味・価値についての自己イメージ
      「どのようなことをやっている自分なら、意味を感じ、社会に役立っていると実感できるのか」
    ・節目における支援 (p.274)
     メンタリングを制度化し、各人の悩みや相談に対応する
     #例えば、新任PLや新任管理職にメンターをつけたら???
    ★計画された偶然理論(planned happenstance theory) (p.278)
     「計画」と「偶然」という、相反する意味の言葉が組み合わされているのは、運もまた自分自身にその機会をうまく活かそうとする準備がなくては活かすことができないからである。一見偶然起こったように見える出来事も、こうした意味では「計画されている」ともいえる。
     クランボルツは、幸運は出来事(アクシデント)ではないという。そして、偶然に出会いそれをうまく自分のキャリアに活かしていくためには、次の5つの行動が必要であるという。
     ?好奇心(Curiosity):新しい学習機会を探索すること
     ?粘り強さ(Persistence):失敗に挫けず努力すること
     ?柔軟性(Flexibility):態度と環境を変えること
     ?楽観性(Optimism):新しい機会を可能で到達できるものだとみなすこと
     ?リスク・テイキング(Risk-Taking):不確実な結果に直面しても行動をとること
    ★最近では、こうしたコンピタンシーはより広義に「人間力」とよばれている。(p.281)
     #この分野は、花田光世さんが第一人者?
    ・発達的ネットワーク(developmental network) (p.285)
     個人のキャリア開発にとって、メンタリングより幅広い人的ネットワークが重要である、という考え方
    ・企業の側にも、個人のキャリア開発を支援するために、制度的な支援策はもちろんのこと、こうした実践共同体を社内に構築していくことが求められよう。「若手を育てる企業文化」とは、職場のなかにもう一度実践共同体をつくることから始まるのかもしれない。(p.288)
    ★企業教育が行われる場は、教育と学習に関する理論が純粋に実現されていく“無菌室”ではなく、多様なステークホルダーが利害をめぐる交渉・争い・妥協を繰り返す“アリーナ”である。(p.301)
     #わかるけど、ちょっと怖い (^^;)
    ・研修のアクターネットワーク (p.308)
     #★H22新人研修についても、ステークホルダーをすべて登場させたネットワーク図をつくってみよう!
    ・(研修で)“いい評価”を得るための振る舞いを見抜く (p.322)
    ・ビジネスパーソンか、共犯関係か
     教育社会学者・ブルデューが指摘するように、本来の学びの妨げとなることを知りつつも、自分たちの利益を守るために行動する多様なステークホルダーの“共犯関係”が、ここには存在している。(p.329)
    ・企業文化と企業DNA (p.334-336)
     違いはそれぞれのメタファーが効果を発揮する文脈にある。
     - 企業文化…企業の一体感について語る
     - 企業DNA…環境変化への適応について語る
    ★ミッションの再定義を迫られている人材育成の実務家は、このチャレンジにどう呼応していくのか。“研修・セミナーの専門家”と“知的生産性向上の専門家”、その視線の先にあるのはどちらだろうか。
     どちらの道を選ぶかは、実務家一人ひとりの考えによる。(p.349)
    ★初学者が手にとるのにふさわしいブックリスト (p.351-356)
     教育のプロフェッショナルになるためには、これらの知識領域をある程度、幅広く知る必要がある。
     #よさそうなので読んでみたい本
      『教材設計マニュアル』(鈴木克明 著)
      『「未来の学び」をデザインする』(美馬のゆり、山内祐平 著)
      『組織行動の考え方』(金井、高橋潔 著)”

  • 企業における人材育成に関する広範囲な基礎理論が紹介されている。
    各種学問だけでなく、政治力学や評価などにも言及がある。
    この本で広く体系的に知ることができ、詳しく読むべき本も紹介されているため、
    企業での育成に関わり始めた教育担当者やマネージャー、研修講師におすすめしたい。

  • 企業内の人材育成担当向け入門書

  • 人材育成をされてた先輩に紹介してもらい手にとった本書。
    もっと早くに出会えば良かったというのが率直な感想。
    「よい理論ほど実際に役に立つものはない」を体現した一冊。

  • ものすごく良書。
    様々な教育理論が、歴史的背景や相互の関係を整理しつつ、どのような場面でどんな理論たちを動員すればいいのかが整理して頭に入れられる。
    成人教育やキャリア開発に携わる人には必携書だろう。

  • 人材育成に関する理論を、実際に研修を行う担当を主人公とした物語を主軸に説明していく。各理論に関して詳しくはやらないが、大枠をさらいたい場合の一冊に最適。

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著者プロフィール

立教大学経営学部教授

「2021年 『中小企業の人材開発』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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