言葉の園のお菓子番 孤独な月 (だいわ文庫)

  • 大和書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479308843

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第二弾。

    亡き祖母・治子さんの縁で連句会「ひとつばたご」に通い始めた一葉を主人公にした、連作六編が収録されています。

    前の巻でポップライターを始めた一葉ですが、今回はその関連で、連句会のメンバー・萌さんの手作り菓子のタグ作りを依頼されたり、やはり連句会の昔からのメンバー・久子さんの紹介で、ブックカフェ〈あずきブックス〉で働く事になったり(ポップライターと兼業)、さらに〈あずきブックス〉のお菓子を萌さんが担当することになったりと、ちょっと出来過ぎ展開な気もしますが、まるで言葉と言葉が繋がり合う“連句”のように、一葉の周りも人との出会いと繋がりによって広がりを見せていきます。
    そして、注目の新キャラは連句会メンバー・蛍さんの妹の女子高生・海月ちゃん。
    基本的に「ひとつばたご」の方々は、皆大人で物腰柔らかな人達ばかりなので、海月ちゃんの個性的なキャラはスパイス的な役割をしてくれそうです。今後も登場するのでしょうかね。
    新しい出会いだけでなく、別れもあり、過去の思い出等の、そういった時の流れを語らい合いながら、言葉を紡いでいく・・・何とも素敵なコミュニティだなぁと思います。
    亡くなった治子さんの知られざる一面も明らかになってきて、その優しい人柄が偲ばれますね。
    月替わりのお菓子のチョイスも絶妙で、どれも美味しそう・・・とりあえず“一周”したのかな。
    今後の展開も期待したいですね~。

  • 大きな感動はないんだけど、日常の中での気付きとか人とのやり取りの中で心に寄せてくるものがある作品。そしてカルチャー的なものを何か始めてみたくなる。あと他人ともう少し関わりたくなる。

  • しあわせの味/砂を吐く夜/生を謳歌す/旅人の本/
    なんじゃもんじゃ/孤独な月

    「言葉の園」ってなんだろう
    それは一葉さんが出会った連句会

    月に一度の句会に彼女が持参するお菓子にほっとする
    連句に少しずつ慣れ、仲間にも少しずつ慣れていく
    静かな雰囲気の中でいろいろな事が語られていく
    亡くなった祖母を知り自分のことも知っていく
    哀しみもあるけれど、何気ない日常が静かに流れていくのに静かに寄り添っていけるのが嬉しい

  • 第1弾でも感じていたが、装丁がキレイ。でも、第2弾はタイトルが不穏?!「誰もが抱く悲しみに寄り添う」とは?
    どれも連句に関係した言葉だった。孤独な月を包み込む治子さんの役割。連句は難しそうだけれど、歳時記を片手に考える姿は美しいと思う。

  • このシリーズ2作目も言葉の面白さがよくわかり、読んでいてとても楽しめた。1作目から引き続き、お菓子が毎回登場して、それが実在しているので検索して。一つ、私の地元のお菓子が出ていたので、更にこのシリーズに思い入れが深まった。登場人物一人一人の個性も私好み。このシリーズを読み始めて、私自身の日常も、感じかたが変わってきたように思う。3作目も読み始めている。

  • 前作から気になっていたのだけど、一葉ちゃんが持っていくお菓子代は払ってもらってるんだろうか。大きなお世話だろうけど会費の話題とか出てこないから気になっちゃう。

  • 理解に想像力が要る時は自分に経験が少ないからだろう
    まだまだひよっこな事を感じる
    逆に分かる事があると嬉しい

    つながりが出来て誰かの役に立てるのはうらやましい
    自分の努力が足りないから?小説の中だから上手くつながる?

    小説の中っていう事を忘れそうになる
    それくらい人物が生き生きとしていて楽しい
    人物にあった句を考えるのも楽しいんだろうな

    いなくなった人もきっと傍にいる
    どこかで新しく生まれる命
    今はいなくなるばかりで寂しいなぁ

  • 連句はやっぱりよく分からないのですが、言葉選びのセンスが面白いなぁと思います。ブックカフェのあれこれとか手作り市とか好きな要素が多くて嬉しい。
    連句や一葉の気付き等を通して、生きていくうえでの心の持ちようを教えてもらっているようで、背中を少し押してくれる感じがします。

  • 連句を詠んでいくことを”巻く”というそうだ。端正な句、諧謔心あふれた句、色々な句があってようやく完成する。
    読みながら各人の想いを色とりどりの紐にしてくるくると巻き上げていくようなイメージを持った。
    一葉が連衆に加わることで句を詠むことだけでなく見方が広がっていく様子がよくわかる。
    このシリーズは、最初が治子さんが亡くなったことで始まっているお話だが、今作はさらに他の人の死も描かれる。複数でてくる亡き人の想いがどれも素敵だった。対比するようにお腹の赤ちゃんとか若い海月ちゃんもでてきて世界が広がる。
    形式はややこしいが連句はとても楽しそうだ。しっとりとした物語、続きも楽しみ。

  • 初めてかと思ったけど、ところどころ覚えがあった。読んでたみたい。
    つながり、人と人がつながっていく。それがいいなと思った。
    あ、連句もつながりだ、と、あらためて思った。
    全体がふんわりとやわらかい雰囲気に包まれてる。

    私の想像力の問題だろうけど、連句仲間の数人がどうも覚えられない…。この人がどの人だっけと。うむ。

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著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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