夏目漱石全集 (2) (ちくま文庫 な 1-6)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480021625

感想・レビュー・書評

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  • koboで読んでいる青空文庫の底本(親本)。

    ■倫敦塔
     漱石のダークな空想が割って入って面白かった。それを台無しにする近代的ロンドン市民のご意見はごもっともだけど、それゆえに、漱石は孤独だな、と思う。

    ■カーライル博物館
     小説じゃなくて、漱石観光日記、みたいなもんなのだろうか。霧深いロンドンと、過ぎ去った過去への隔絶感があいまってそこはかとなく物悲しい。

    ■幻影の盾
    ガチでファンタジーでビビった。文語調な文章はきれいだけど、こういうのは漱石にそれほど求めてなかった。

    ■琴のそら音
     京極夏彦の『姑獲鳥の夏』はこれを下敷きにしてるんじゃないかと思った。帰り道の不安な感じとか。
     狸に化かされるという現象を心理学的に考察してるところが、面白い。

    ■一夜
     純粋に小説の書き方として上手くない気がする……。髯あり・髯なしの区別がつきにくくて困った。雰囲気は上質だったが、最後は楽屋オチ風で、これはあまり面白くなかった。

    ■薤露行
     「薤露」とは、挽歌の一種だそうだ。曹操も「薤露行」という詩を詠んでいる。ニラまたはラッキョウの葉の上の露のことなんだって。へー。
     アーサー王物語の二次創作的な作品。やはり文語調なんだけど、こういう漱石には、あんまりよさを感じなかった。

    ■趣味の遺伝
     ザ・脱線おじさん漱石の本領発揮。序盤に気負いすぎて、途中からやる気をなくしたのがありありと分かってウケる。
     漱石は科学にも興味を持っていたんだな。

    ■坊っちゃん
     たぶん4回目の通読。いい加減、違う読み方もできないかと思い、赤シャツや野だいこが実はフツーのいいやつだったりしないか? とか考えてもみるんだけどどうもダメだった。坊っちゃんの目から見た世界は偏りすぎている。

  • 青空文庫の「坊ちゃん」を読んだ。読んだあとにwikipediaをみて、見方が単純でないことを知った。主人公による単純な勧善懲悪ではないというところが面白い。田舎の学校の雰囲気はここまで荒れているかどうかはちょっとわかんないが世界観としてはとても面白い。

  • いくつかの短編と「坊っちゃん」が収録されています。短編は文体をこねくり回しているようで、読みにくいです。

  • 「倫敦塔」「カーライル博物館」 ランドン紀行。ふーんって感じ。(2008)「幻影の盾」 夏目先生的ファンタジー。つまんね。(2009)「琴のそら音」 ふとしたきっかけで急に不安になるけど,杞憂でした.まあよくあることですね.(2010.5.30)「一夜」 全体が詩みたいな感じ。全然意味分からなかったけど、リズムが大事な気がして取りあえず一気に読んだ。(2011.01.14)「薤露行」 【かいろこう】と読むらしい。まえがきみたいなのを読むと,マロリーって人の書いたアーサー王の話を,もっと面白く書き直してやったぜ,ということらしい。しかしながらアーサー王物語には僕は興味を持たないので,飛ばしちゃえということになった。冒頭の脚注に今流行りのEnochが出てきました(笑) マロリーというと,普通は登山家の方ですなあ。(2011.01.16)「趣味の遺伝」 最初から最後まで妄想だらけ。夏目漱石もこんな阿呆なことを書くのか。ところどころ、面白い言い回しがあって、この話は割と気に入った。仏教用語っぽいのが多くて、その辺は脚注がないと分からないな。脚注といえば、ハミルトンが哲学者となっていた。うーん、数学者、物理学者の中にはそう呼んでもおかしくない人はたくさんいるけど、ハミルトンは違うでしょ。(2011.01.20)「坊っちゃん」 通読するのは高校生の時以来。第1章は中学の教科書に載っていて何度も読んだけど。リズムがとてもいい。どんどん読める。『鹿男あをによし』を思い出しながら読んでた。僕の中で坊っちゃん好感度が上がった。(2011.01.25)解説を読むと、「趣味の遺伝」は駄作で、「薤露行」は良作らしい。「薤露行」読むべきかな。この全集は、大学に入るときに買った。第1巻は4月中くらいに読み終わり、このペイスなら余裕で10巻を1年で読みきることが出来ると考えたが、この巻は全然進まない。気づいたら3年が経とうとしている。ああ、大学生活はあっという間だ。第3巻も、最初の「草枕」でいきなりつまづいています。

  • 08/01/10読了

  • 「坊っちゃん」収録。勝ち負けでいったら結局負けなんだけど、負けるならこれくらいやってこうよ、ああすっきり。て気になるのがいい。

  • 「倫敦塔」「カーライル博物館」「坊っちゃん」ほか収録。初期の浪漫的短編作品が多いです。これだけなら星四つですが、「坊っちゃん」は是非読んでもらいたいので星五つで!

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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