ボ-ドレ-ル全詩集 (1) (ちくま文庫 ほ 9-1)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480033918

作品紹介・あらすじ

詩人として、批評家として、思想家として、近年ますます重要度をましているボードレールのテクストを世界的学究の個人訳で集成。近代詩史上、つねに新しい輝きを放つ『悪の華』を中心とする韻文詩を一巻に収める。文学的香り高く、原文に忠実で読みやすい翻訳に、深い学殖が光る註解を付しておくる決定版訳詩集。

感想・レビュー・書評

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  • 「死刑囚にして死刑執行人」っていう言葉だけ知っていて、それがボードレールだと知ったので読んでみたのがこの詩集です。よくわかりませんでした。意味でとらえようとするうちは、詩なんかわからないのかもしれないです。

  • デカダンスな雰囲気よりも、ボードレールがどんなことを考えていたかという詩の内容を追いたい人向けの『悪の華』。(うっとり感重視は角川文庫の村上菊一郎訳がおすすめ)耽溺の浅い淡泊で賢明な訳。 詩的というよりも、『悪の華』を批評的な書物とする視点へ寄っている。アイロニーも重苦しさもよりあらわに感じられる。

  • あまり好みの詩が無かった。もう少ししてから再読するかもしれない。

  • 死や性を美しい詩で表現しており、まさに悪の華だなと感じた。
    原文で読むことができれば、どれほど良いことかと思ってしまった。

  • 初めは「ほほー」と読み始めたものの、たくさん続く詩にだんだん息切れが。確かに時々、「お、なかなかいい言い回し」という詩はあるのだが、ストーリーの無い詩を読むことに飽きて来てしまう。
    23「髪」を含む22「異国の香り」から29無題詩までは「恋愛詩群」とされ、恋人ジャンヌ・デュヴァルに霊感を得て書かれたものだそう。そう思って読むとなかなか面白い。
    詩の中でボードレールは恋人を熱烈に称え、その髪に麝香とルビーと真珠、サファイアを贈り、冷たさまでが一層美しくある残酷な獣と呼び、あかあかと輝く瞳を持つと賛美しています。黄金と鉄の冷たい瞳と言い、全宇宙を自分の臥所に招き入れかねないみだらな女よと言い、金属と瑪瑙の瞳を持つ美しい猫と呼ぶ。アジアの、アフリカの、異国の香りのする黒玉の瞳を持つ自由な美しい人がイメージに浮かぶ。
    解説によれば「詩の力によって恋人に不滅の生を約束する」主題なのだという。確かに、詩人も恋人も亡くなっても、そこに描かれた恋人は繰り返し詩が読まれるごとに、それぞれの読者のイメージで蘇るだろう。恋人ジャンヌは、実は半身不随になっていて入院しており、記憶の中の彼女の美しさと魅力が詩に語られているのだそう。

  • 『悪の華』の狙いについて、本人曰く「私にとって、〈悪〉から美を引き出すことは、面白いことに思えたし、仕事が困難であるだけにいっそう快く思えた」と書いている。悪から美を引き出す。とても挑戦的で魅惑的なテーマである。詩を解する感性は持ち合わせていないので曖昧な感想になるが、実際読んでいると怖気の混じった感激のようなものが時々こみ上げてきたりして、痛快な感じがする。死や老いといった醜悪なものを語る詩はやはり共感しやすかった。この辺の価値観は現代にそのまま通じているのだなと感じた。性への欲望を語る詩も割と共感できるのだが、その表明が宗教的規律への反抗も含意していただろうことを考えると、温度差は感じる。最も感動的に感じたのは悪魔への忠誠を語る詩。一方で、きょとんとしてしまうのは神への不信を語る詩であった。この辺は端的に時代の差を感じてしまうが、神を別の正義に置き換えれば同じことが現代でも通じるだろうことにすぐ想いが巡る。神は死んだが偽善的な正義は死んでおらず、悪魔は相変わらず暗い希望としてギラギラしている、みたいな。全体としては素直にいい詩集だという印象を持った。『パリの憂鬱』も読んでみようかな。

  •  悪の華が素晴らしかった

  • 川の底にふんごんだまま抜けなくなったビーチサンダル。

  • ¥105

  • 暗くゴシック的な表現の多いボードレール。
    腐敗と巣窟感、そして絢爛豪華さ。一言で魅力を語れないボードレールの全詩集。
    難しいが魅力的なボードレールの世界観を覗ける一冊。
    やや難しいのが難点だがそこを軽視できないところが本当の魅力。

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著者プロフィール

シャルル・ピエール・ボードレール(Charles Pierre Baudelaire)
1821年4月1日パリ生まれ。6歳で実父を亡くし、翌年、母が軍人と再婚。1832年から4年間をリヨンで過ごし以後はパリ在住。19歳頃からユゴー、ネルヴァル、バルザックらと交遊。1841年、インド行の船旅に出るが途中で帰国。パリのサン=ルイ島で贅沢なダンディ生活を始め、家族による民事訴訟の結果、準禁治産者となる。1845年、最初の美術評論「1845年のサロン」刊行。1857年。韻文詩集『悪の華』初版を刊行するが、全100篇中6篇が風俗紊乱の廉で削除。1861年、新作32篇を加えた『悪の華』第2版を刊行。以後はおもに散文詩の制作を中心とし、計50篇が没後『小散文詩』として刊行される。1864年からベルギー滞在。1866年、ナミュールの教会の石畳に倒れ、失語症および半身不随となる。1867年8月31日パリにて永眠。詩の他に美術評論、文芸評論等、およびエドガー・アラン・ポオの仏語訳がある。

「2018年 『パリの憂愁』 で使われていた紹介文から引用しています。」

シャルル・ボードレールの作品

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