せどり男爵数奇譚 (ちくま文庫 か 33-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 952
感想 : 110
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480035677

感想・レビュー・書評

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  • 「せどり」というと古書店で掘り出し物を見つけて、それを他の古書店で売るというイメージから、セコセコしたかんじなのかと思ったけれど、本書に登場する「せどり男爵」はスケールが大きい。けっこうおもしろかったです。

    • takkarubiさん
      私も大好きです。いまや書店で買える数少ない梶山季之の著作
      私も大好きです。いまや書店で買える数少ない梶山季之の著作
      2010/09/18
  • 梶山季之は初めて読みましたが、古さはあまり感じず面白くさっと読めました。
    ちょっと最後の話はグロテスクてしたが、実際にあったとしたら頷けるところもあり。

  • (借.新宿区立図書館)
    昔のいわゆる「トップ屋」さんらしい作品か。ちょっと古書ものらしくない「いやらしさ」も感じる。

  • せどり男爵の異名を持つ人の半独り語りもなかなか面白い。本の背景がそれぞれに異なり、いろんな趣向を楽しめるのもいい。ただ、第六話の装丁の話だけはどうもグロテスクで下品で好きになれない。

  • 笠井菊哉自身にまつわるエピソードも面白かったのですが、第六章の狂気にゾッとしました。古本を題材に人間の心理についても面白読むことができます。

  •  古書業界の舞台裏や、古書の魔力にとり憑かれた者たちの妄執の様を描いた、連作短編集。
     古書店で安値の掘り出し物を発掘し、他店へ転売する「せどり(背取、競取)」を生業とする男の語りを、小説家である主人公が聞き取る形式で進められる。
     時代の風俗を反映し、昭和の世相が色濃く漂う世界観の中、猟奇的なまでに強烈な癖のある蒐集家たちの姿が、赤裸々に記述される。
     古書に群がる魑魅魍魎たちの生態に、嫌悪を抱くか、共感を呼ぶか。
     特に、エログロに特化した最終章は、かなり読者を選ぶ作品だろう。
     決して誰にでも勧められる本ではないが、怖いもの見たさで覗きたいという好奇心を止めはすまい。

  • 短編六話。かなり面白いです。一話目から引きつけられ、最終話は完膚無きまでやられました。わたしら普通の人でも、(なんらかの)狂気を抱えているものと思いますが、その手の話となり、「せどり」ストーリーのピークを迎えます。いやあ、しばらく寝かせてた本ですが、見事、熟しました。

  • 古書に魅入られたせどり男爵が、時には騙し合いであったり、偶然が重なった奇跡であったり、あるいは狂気に満ちた人間になってしまったり。そんな古書にまつわる逸話を筆者に語るミステリ短編集。

    ビブリア古書堂にちらりと出てきていた本が、古書店のレジ横に並んでいて胸が踊った。
    なにかに取り憑かれた人たちは魅力的でもあり、恐ろしくもあり、特に最後の短編は読みながらゾッとした。
    たった1冊の古書のためにここまでのことができる人々を理解できないうちは、わたしはただの読書好きだなあ。

  • 古本テーマのミステリと聞いて読んでみた。戦争はさんだ時期の古書業界の話とかまあ面白いんだけども、読み進めるにつれて昭和のおっさんの嫌~な部分にがまんならなくなってきて・・・。

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著者プロフィール

梶山 季之(かじやま・としゆき):1930-1975年。小説家、ジャーナリスト。現在のソウルに生まれる。広島高等師範学校(現・広島大学)卒業。53年上京、国語教師、喫茶店経営などを経ながら、「新思潮」の同人となり作品を発表。58年より「週刊明星」のトップ記事を担当。59年「週刊文春」の創刊に参画。71年月刊「噂」を創刊。作家としては62年「黒の試走車」を発表後、話題作を続々刊行する。75年取材先の香港で客死。産業スパイ小説、経済小説、時代小説、風俗小説など数多くの著作を発表した。ちくま文庫では『せどり男爵数奇譚』がロングセラーになっている。

「2024年 『犯罪日誌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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