完全教祖マニュアル (ちくま新書, 814)

  • 筑摩書房
4.07
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感想 : 225
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065131

感想・レビュー・書評

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  • よし、教祖になろう。

  • 第64回アワヒニビブリオバトル「共存」で紹介された本です。
    2020.05.05

  • アホみたいな内容

    教祖になるためにはどうすればいいか、宗教の基本構造などが書かれている
    再現性は無さそう。暇つぶしにはなる。

    宗教は承認欲求や寂しさを満たしてくれるもので間違いない。信者は基本弱者。

  • <学生コメント>
    宗教と関わるなら、やはり信者より教祖になりたいですよね。叶いますよその願い。なにせ序章が「キミが教祖になろう!」ですから。本書では作り手側から考える宗教について学習できます。野望などなく単なる好奇心で読んでも、身を守るために読んでもためになる内容になっているのでぜひ。

  •  凡人凡俗である読者が、いかにして国教にまでなりうる宗教を興すか、教義の作り方、信者の獲得の仕方、資金の集め方、奇跡の起こし方などを解説した「完全宗教マニュアル」。すでにある世界三大宗教や新興宗教の歴史や現状を紐解き分析しながら、「科学的に」有効と証明された方法で開宗し、布教するためのハウツー本。最後には「感謝の手紙」ということで、実際にこの本に従って開宗した教祖の方々からのメッセージまで寄せられており、説得力がある。
     …という、「本書もまた宗教であり」(p.229)という、最後の最後でちょっとだけ種明かしされるという本。宗教を「『作る側』からの視点に立つことで、今まで不合理や理不尽なだけだと思っていたアレやコレやが、意外と機能的なことに気付いてびっくりした」(p.227)というのがポイントで、面白い。これと似た本に、岡田斗司夫の『世界征服は可能か』という本があったが、凡人はそもそも絶対に考え付かない壮大なことを、過去の実例を踏まえて真面目に検討していくというのが笑える。合理的というか説得力があって、確かにそうだよな、と思うところも多く、著者の巧みな分析の信者となってしまうのを楽しむ感じが面白い。例えば、「人間は良いことをする時にも悪いことをする時にも、とにかく『理由』が必要だからです。『理由』のない行為はなんだか気持ち悪くって、たとえ善行でもやりたくないのです。私たちが無償のボランティアに抱くある種の気持ち悪さもこれに依るものでしょう。ですが、これが宗教ならどうでしょうか?宗教なら『教義』により、その『理由』を用意することができ、人々に素直な善行をさせることができるのです。」(p.59)という、「無償のボランティアに抱くある種の気持ち悪さ」を取り上げるという部分が鋭いと思う。ある種怒られそうな、デリケートな部分だし、もしかしたら今時こういう意見を表明するのはタブーかもしれないけど、それだけに。あとは、過去の事例ということで、イスラム教の話が色々出てくるが、スンニ派とシーア派、ってちょっと本読んだくらいでは全く覚えられないのだけれど、「この二波の違いをすごく簡単に言うならば、『誰をムハンマドの後継者にするか?』という点で二者に意見が分かれているのです。スンニ派はムハンマドの血脈にこだわりませんが、シーア派は血脈を継ぐもの(これをイマームといいます)が後継者になるべきと考えているのです。『血脈なんか気にスンニ(すんな)、血脈を気にシーア(しな)』と唱えると覚えやすいです。」(p.94)という、受験参考書みたいなお勉強ができるのも面白かった。
     ということなので、全ては著者の術中にはまることをいかに楽しめるかという本だけど、こういう、知的に面白くて笑える本というのは貴重だと思う。おれは教員をやっているが、この本の中身がちょっと学級経営に役に立ったりして。(22/10/02)

  • 面白くて、一気に最後まで読んでしまった。
    作者にノセられて、教祖になって多くの人をハッピーにしたくなる。

  • 面白い!
    しかし非常にもったいない。テーマ設定と展開は非常に面白いが、もう少し真面目に書いて欲しかった。高級肉をホットプレートで焼くような悲しさを感じた。
    現代では仕事の他に育児家事、更に自己啓発と副業に加えて、資産運用などもやることを求められている時代だ。その中で一般の庶民は、答えを求めている。その中で生まれたのが、現代ではインフルエンサーという教祖ではないだろうか?

    うーむ、深掘りすればまだまだ味わえる面白いテーマだ。実にもったいない。。。

  • 人をくったタイトルで何事かと思うが、本文もトーンを変えず、教祖になるためのポイントや考え方が書かれている。
    しかしこれは固くなりがちな宗教本にとっつきやすくするための工夫と思われ、著者の宗教論や歴史に対する理解の深さは、本書を読む中で多く垣間見られる。
    本書では主要な宗教(キリスト教、イスラム教、仏教など)の事例を用いて、宗教を確立するための方法を説明してくれるので、既存宗教への理解を深めることができる。

  • 宗教というものを通じて心理学を学ぶ一冊。以下まとめ。

    ❶思想編

    ①大切なのは信者をハッピーにすることであり、神が実際にいるかどうかはどうでも良い。

    ②今の新興宗教なんかもそうだが、仏教、キリスト教、イスラム教なども元からある宗教で使われた教義を焼き直して使っている。

    ③キリスト教はユダヤ教の焼き直しだし、キリスト教自体もカトリック、プロテスタント、その他諸々の宗派がある。仏教も然り。上部座仏教と大乗仏教は別物だし、日本の中でもいろいろな宗派に別れた。時代の要請により、柔軟に教義を変えるというのが宗教である。

    ④宗教の性質というものは反社会性にある。イスラム教、仏教、儒教みなそうである。社会の負け組になる人たちにスポットを当てて、新しい価値提案をすることで負け組の人たちに受け入れられるものを作るのが大事である。今の政党でいうと、れいわ新撰組なんかはこの要素が強く出ている。

    ⑤ロジックがしっかり構築された高度な哲学があればインテリでも釣れる。例えば、仏教であれば輪廻転生という概念があるが、これも概念が分かるとインテリが食いつくようになる。

    ⑥大事なのは輪廻転生のような『前提』と『社会の問題点』をつなぐこと。そこをつなぐロジックはインテリが作ってくれる。キリスト教も、キリストをメシア(救世主)という前提にして、死後に弟子たちが福音書を作って教義を広めた。

    ⑦教義で大事なことは大衆に迎合すること。極限まで簡略化した教えと現世利益が絶対に必要。

    ⑧人が宗教を意識するのは困った時、メンタルが弱い時。そして、宗教で大事なのは『あなたは困っている』という感覚を強く植え付けること。

    ⑨人は社会的な動物でヒエラルキーが叩き込まれているので権威に従うことを苦とせず、むしろ自分で考えたくない人間は好んで権威に従う。

    ❷実践編

    ①まずは弱っている人を探して布教する。病気の人や死にかけの老人など。メンタルの弱っている人や社会的弱者も対象。

    ②金持ちも重要な対象。物質的な充足より、精神的な充足はむしろ金持ちの方が飢えている。

    ③コミュニティ作りも重要。同じ価値観や目的意識を互いに持ってもらうことにより強固な絆を作る。創価学会は単身の若い人間をターゲットに、会合に連れて行くことで信者を増やした例もある。キリスト教の日曜礼拝は実は教義的には必要ないが、これもコミュニティ形成による仲間意識作りが目的である。

    ④他教団との差別化にはディスることも大事。これは、政治家の常套手段でもあるし、マーケティングにおいても日常的に使われている。

    ⑤甘い汁を吸うのにオススメなのは本の出版である。教団の教義や歴史、自叙伝でも良い。これをビジネスにしているのが幸福の科学。イケイケのベンチャー社長も名刺代わりに自費出版で出しているやつもいる。

    ⑥詐欺の常套手段に使われているところでは不要品を高値で売りつけるという手段もある。信者ビジネスでは話題の統一教会もそうだし、化粧品のビジネスも半ばそれに近いのではないか。

    ⑦寄附を受けるために、制限を設けるのも手。『一定の財力と教義の理解ができている』のような。組織論的には寄附をした人をヒエラルキーで上位に持っていくような仕組みは必須。

    ⑧集めた金は寄附に回す。マキャベリも君主論で『他人から集めた金はケチらず使え』と言っている。

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著者プロフィール

1980年生まれ。広島県出身。作家。著書に『仁義なきキリスト教史』『完全教祖マニュアル』(辰巳一世との共著)など多数。

「2020年 『仁義なき聖書美術【新約篇】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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