理想の上司は、なぜ苦しいのか: 管理職の壁を越えるための教科書 (ちくま新書 976)
- 筑摩書房 (2012年9月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480066794
作品紹介・あらすじ
いい上司をめざすほど、苦しいのはなぜだろう。従来の苦労「上と下の板ばさみ」「新入社員世代との世代間ギャップ」はもちろん今もあります。でも、現代の管理職はもっと異なる事態でストレスが倍増しています。自分のやり方が後輩に伝えられない、会社は自分に何を求めているかわからない、といったジレンマによって、頑張る上司ほど疲弊してしまいがちなのです。ではこの壁をどう乗り越えて、マネジメント力をどう上げればよいか-。人事コンサルタントのプロフェッショナルが、その根本の問題点を洗い出して、解決の道筋を提示。多くの企業で実績を上げている「成長の秘訣」を教えます。
感想・レビュー・書評
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●内容
・HP人事部を経て人事コンサルとして独立した著者による管理職論。
・スタッフと管理職との違い、管理職としての苦しみの先にある喜びなど、キャリア志向の若手には大いに刺激になる。
・本書でいう「課長」は、スタッフ5~10人程度を配下に持つ者で、役所の係長に相当する。
●コメント
○著者は管理職の直面する困難を「成長の場」として示す。優秀なプレイヤーから管理職となり、プレイングマネジャーとして部下のマネジメントを求められる。そこで必要なものが違いの認識、受け入れる器量であるという。
(引用)
・部下を率いる管理職になることは、会社の中で社会人として最も成長できるステージです。管理職として成長することで成功体験の幅は広がり、自信もつくことでしょう。
・スタッフと管理職との間には役割だけではない、本質的な違いがあります。スタッフは自分の強みを活かせる仕事に配属されることが多いものです。・・・それに比べて、人を使う管理職は、まったく違う仕事です。能力も劣り、タイプも違う部下のことを どこまで理解し、使いこなせるか。部下の個性や持ち味を理解しながら、チーム全体でいかにパフォーマンスを上げるか。 自分一人がプレイヤーとして働く仕事とは次元が違って、管理職は仕事の難易度が格段に上がるのです。
・これらを乗り越え、管理職として成功をおさめるためには、自分の器を大きくしなくてはなりません。それまでの自分のやり方だけにとらわれていては、部下を理解することはできないのです。ここで自ら人間の幅の狭さや許容量の小ささに気づき、真摯に自分の弱みと向き合える人だけが、管理職として度量を大きく広げていくことができます。
○成功する管理職について。高い好奇心と、高すぎない自尊心。そして「役割」への忠誠。本社部長になる人がそこらのおっさんと違ってシュッとしているのは、ここの覚悟があるからなのだろう。
(引用)
・部長やリーダー職に求められる役割は、部員が働きやすい環境を作ることです。スタッフが高いパフォーマンスを発揮できる環境を作る。上のポジションまでに進むためには、組織を俯瞰する視点が必要です。自分が担当する部門に限らず、会社を俯瞰して各部門の最適化をしていく。そういう2つの側面を持てるのが理想的な管理職だと思います。
・管理職というポジションを得た後にスムーズに成果を出していく人たちは、接する部下への好奇心、新しい仕事や役割への好奇心が強く、それと比較すると自尊心が小さい人です。こういう人は自分を否定したり、過去の成功体験を忘れなければならないようなつらい場面になっても、この壁を意外にスムーズに乗り越えることができるのです。
・最終的に上級管理職にまで選ばれるのは、大変な役回りを引き受けながらその責任を全うしようとする人です。「他人のために働ける」人、そのことを自分の役割としてそこから「逃げない」人、そんな器の大きな人を経営者や人事部は探しています。 -
理想の上司になれるか分からんが、書いてあるようなことで悩み
乗り越えないといけないのもまた事実。
しかし、現場は今の時代ほんと余裕が全くない・・・ -
好奇心が重要
変化の時代に過去の栄光を中心に生きていくことは危険。
問題解決は目標の設定と現状の理解、目標をイメージ化すること、から課題の分析、何をどうすべきかをわかりやすくチームに配分することなど、論理思考、概念思考、コミュニケ0-ション力を総動員して行うべきもの。 -
上司の苦しさをわかりやすく解説してくれる。まず「みんなそうなんだ」と安心できる。特に苦しさの原因としては部下育成がポイントになっていて、何年かかけてやっと成果が出るものだと言っているあたりは非常に納得。小手先のテクニックではないので、そういう意味で即効性はないけれど、悩みやイライラ感を落ち着かせてゆっくり考える気にさせてくれるのは有難い。
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2013/06/25
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管理職とは、どんな役割で、部下とのコミュニケーションはどうすればいいのか。そもそも、管理職を楽しめるのか、壁を乗り越えられるのか。評価や部下の育成とは、など基本をわかりやすく、これからの時代に合わせたスタイルも提示してくれ、参考になりました。
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考えさせられる本です。
昔と今の管理職の違いや、管理職の苦労、ありがちな失敗、人を育てる喜びなど、色々な観点から管理者について語った本です。
理想の上司とは!ではなく、ヒントを出してくれる感じかな。
結局、答えなんて無いので、
自分のやり方を押し付けず、適性に合わせて「部下に結果を出させる」そのための試行錯誤が出来る人こそ、理想の上司なんでしょうね。
「良い管理者になりたい」
「管理職を通して自分も成長したい」
と思っている人にオススメ。 -
お金がなくて死ぬか、過酷な仕事で死ぬか、これからは2極化がはげしくなる。降りるのであれば地方で細々と暮らせばよいが、人を育てる喜びのある管理職を目指して欲しいと主張する。管理職が過酷で損な時代であることを再確認できたが、管理職を目指そうという気持ちも再確認できた。