- Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480067357
感想・レビュー・書評
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逃げることが癖になっている。
思考は停止して、現実に誠実に向き合えない。
嘘をつき、見栄を張る。
それは、自分にもうそをつくことだ。
これが病気なのか?
ただの愚かさではないのか?
もちろん、育った環境は悪い。
父親も、愛情をかけたつもりになっているだけ。
母親も、ろくでもない。
それでも、結婚して幸せだった状態を壊したのは、本人だ。
みんな、ささやかな幸せを、必死で守って生活しているのだ。
大切なものを守るために、己を律して、生活を正して、気をつけて生きているのだ。
嘘つきは泥棒の始まり。
この言葉は、本当だと思う。
自分には甘いけれど、周りを大切にすることはできない。
差し伸べられた手を、恩を、あだで返す。
はっきり言って、早苗さんのような人とは関わりたくない。
だから、離婚した時も、誰もが彼女に背中を向けたのだろう。
誰もが、彼女とは関わりたくなかったのだろう。
私は当然だと思う。
嘘をつき、周りを傷つけ、借金をし、不倫をし、自分はすぐに逃げ出して、コミュニケーションもとれない。
そんな人の世話なんて、したくない。
可愛そうな環境で育った。
人間として不安定で、未熟で、安心の欠けたまま大人になってしまった。
良き母親のモデルを知らないまま、子供を産んでしまった。
だから、犯罪を犯すのは、仕方がない。
のか??
私はこういった弱者に厳しいのかもしれない。
それでも、身近に早苗さんのような人がいたら、私は避けると思う。
関わりたくない。
彼女には他に選択肢がなかったかのような書き方だけれど、違うと思う。
子供のいる部屋に足を向けるポイントは、きっといっぱいあったはずなのだ。
せめて、毎日、パンだけでもあたえてやっていれば。
そう思うのは、やはり、早苗さんに寄り添う気になれないから、だろうな。 -
やりきれない。
彼女の弱さは自分にもある弱さだと身につまされる。
親をあてにはできないと子どもの頃に刷り込まれると、周囲に助けを求める方法がわからなくなる。
亡くなった幼い子ども達が可哀想なのは勿論だが、彼女自身もネグレクトの被害者なのに、彼女の父親にその意識は薄く感じた。
虐待の連鎖の発端は、親自身自覚せずに始まる。
だが、一度堕ちてしまうとそこから抜け出すこと(抜けさせること)がいかに困難であることか。
彼女が自分自身の価値を見いだせるようになることを望む。 -
4.5
熱心な取材に基づき、母の背景から原因を探っていった本書。母の生い立ちや周りの者たちのことなど、よく書かれていると思う。
母とは一度の面接だけ、元夫からは取材を得られなかった分、母の友人や母方祖父母、当時の勤務先の店長、マンション住民などから細かく聞き出して姿を描き出せていたと思う。
とても興味深い一冊。
簡単に「母」を降りられるように、そして子育てを母に押し付けてない世の中になるように願うばかり。 -
事件当時、ちょうど同じ年の子供達が自分の家にもいたので、暫くすごくショックを受けたのを覚えています。今一度、気持ちの整理をと思い手にとって見ましたが、やはり母親の気持ちは理解しかねます。
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鬼親のせいと個人の問題に閉じ込められがちな虐待の問題について、豊富な取材に依拠しつつ、トラウマ体験や事故率の問題と結びつけながら描いている。
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1
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「虐待」と聞くと親を責めたくなるし、私も本作を読むまではそうでした。
しかし、本作を読むと親の周りの環境が、こういった残酷な事件に繋がることもあると考えさせられました。
もちろん「虐待」(今回の場合はネグレクト)はいけないものだと私は考えます。
ただ、親ばかりが悪いのでは無い。では他の悪はなんなのか?
こういったことを考えさせられるものになっています。 -
事件から結構時間が経ったけどなぜか頭に残り続けていて、どっかがまとめてたりしないのかな〜と探してたらちょうどちくまが新書を出していた!一気に読んでしまった。被告人の周囲の人たちの証言や事件までの経緯の陳述で、少しでも理解できたのではと思うけど、果たして
報道されてたときはとにかく子供ふたり置き去りにして遊びまくって挙句死なせたってことがめちゃ衝撃で、そんなん平気でやっちまうとか悪魔の所業だな…と単純に思ってたけど事態はそう簡単ではないというか、その人の歴史を遡ってはじてて見えてくる病理の存在を知れてよかった。後味と歯切れは悪いが