イノベーションはなぜ途絶えたか: 科学立国日本の危機 (ちくま新書1222)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480069320

感想・レビュー・書評

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  • イノベーションと盛んに叫ばれるが、日本から失われてしまった科学的な思考とそれを育てて発揮する場をどうにかせんことには、上っ面の見えてる技術をこね回したところで仕方ない。
    ・シャープの没落から見る登った山から降りられない既存知識に頼った組織の弱さ
    ・米国SBIRの成功という科学見識の高い政府組織の価値
    ・福知山線脱線、原発事故に共通する物理限界の無理解
    科学者と一般人、理系と文系などの境界を超えた交わりが重要であり、それを推進する人材を排出していかなきゃいけない。

  • 凄い検証だ!
    日本に再生はあるのか?

  • 本書の問題意識
    ・日本の科学技術力は停滞の一途を辿っている。数十年後日本の科学技術的地位は下がる一方である。
    →イノベーションが途絶えた。新発見や役に立たない基礎研究に力を入れなくなった。
    ←経営の合理化といった、アメリカ経営をうわべだけなぞったことで「中央研究所」モデルが崩れた。
    ←アメリカではSBIR制度が有効に機能した(c.f.日本はただの中小企業救済策になった)

  • 20190816 下京図書館
    物理学の出身でありながら、ここまで視点を広げて本を書くに至る人は少ないのだろう。工学に対して理学が優位に立つ(理学部出身者が工学部出身者よりも、科学技術に対して深く考えているノダ。応用に対する基礎の優越ともいう)ニュアンスがにじみ出ているのが鼻につくかな。

  • ものづくり大国日本、技術大国日本はもはや過去。
    「日本の科学が危機に瀕している。凋落の一途をたどっている」と、決してそむくことができない事実から入る。かつて「科学立国」「技術立国」といわれた日本のイノベーションは途絶えたのか。日本の制度的・構造的な要因から原因を解明し、科学的発見からイノベーションが生まれるプロセスを明らかにしていく。そして最後には科学立国日本再興の打開策を提示する。

  • 日本社会、企業が科学技術をどうみなし関わってきたかが分かりやすく解説されている。アメリカとの制度的、およびその背景にある考え方の違いが興味深い。学問の関わりを示す「分野地図」は覚えておきたいと思う図。原発事故等の個別の案件からの詳しい掘り下げも。

  • -

  • イノベーションですっかり遅れをとってしまった日本、その原因を色々な切り口から分析しています。終始一貫しているのは、日本でイノベーションの機運が衰退しているのは、日本人のメンタリティや日本企業の文化などよりも、構造的・制度的な点を強調して指摘している点。シャープが生産技術至上主義&基礎研究軽視によりいかにしてイノベーションのマインドを失ったか、日米ともに民間企業は中央研究所モデルを次々に廃したが、米国はベンチャー育成を省庁一体で取り組んだのに対して、日本では中小企業対策に矮小化されてイノベーションの原動力となるベンチャーにつながらなかった事、JR西日本や東電の事故に見られる"技術経営"の欠如が自然独占ゆえ熾烈な競争に疎くてどうしても減点主義、リスク回避型になってしまう事に起因しているなど示唆深い洞察が多かったです。また、イノベーションが発生する原理についても演繹、帰納、回遊などの概念を用いてイノベーション・ダイヤグラムとして整理したり、コア学問重視や横断的な学問領域の重要性などの話も面白かったです。

  • 研究者育成の制度化の必要性

  • 今後の日本の技術衰退(予想)が具体的にどこに問題があって起こりうるのか、非常に興味深く読むことができた。

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著者プロフィール

山口 栄一
山口栄一:京都大学大学院総合生存学館教授

「2015年 『イノベーション政策の科学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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