表徴の帝国 (ちくま学芸文庫 ハ 9-1)

  • 筑摩書房
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感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480083074

感想・レビュー・書評

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  • この本のところどころに俳句が出てくるんですが、英訳されたものを更に日本語訳しているので変。

    古い沼。
    蛙が一匹そのなかへ跳ねる。
    おお、水の音よ。
    (古池や蛙飛びこむ水のおと)

    とか。

    おもしろいと言えばおもしろいけれど、やっぱり日本語じゃないとだめなものってあるんだなあと感じました。

  •  フランス人ロラン・バルトが見た日本とは、フランス、いや西洋とは全く異なった世界だった。合理的なだけで町が作られるわけではないこと。魂の有無という二項対立を超えた人形劇が存在すること。そして、(個人的に一番印象に残ったのが)意味を限りなく削った上で存在する、俳句というもの。

     あまりよく分かっていないので、書くべきではないだろうが、もう1度読んだときに考えなおすための材料として、上で一番最後に書いたことについて書く。

     例えば、西洋の絵というのは陰影をつけたり、距離の近遠をつけたり、とかく意味を付随したがる。
     具体的には、このゴッホの絵を見てみる。
    http://www.wallpaperlink.com/bin/0703/03200.html
    この空に対して、何かしらの意味を持たせたかったのではないか。だから、こんな風に渦が空の中に存在するのだろう。それは、自分が精神異常だと思われていたことに関係するのかもしれない(小林秀雄は(どの本だったかは忘れた)、ゴッホは自分が精神異常だということを自覚していた、という指摘をしている)。
     一方で、146、147ページにある、自害直前の乃木将軍夫妻の写真を見て欲しい。
    ※恐らく、これと同じだと思う。
    http://www.ndl.go.jp/portrait/datas/160_1.html

    表情からは、これから自害することへの想いを読み取ることは難しい。
     バルトはそこを指摘する。
     俳句しかり、日本の文化で最も西洋と異なるのは、余計な意味を取り払い、純粋というか単一の情景(上手い言葉が思いつかない)を示すものでしかないということだ。

     ふるいけや かわずとびこむ みずのおと

    という芭蕉の句を聞いて(読んで)自然と思い浮かばれるのは、「池があってそこに蛙が飛び込む情景」だけではないだろうか。蛙がなぜ飛び込んだのか(天敵の蛇が来たからだ!とか)、などといった余計なものは存在しない。

     やっぱり自国の文化を理解するために、外国人の批評を読む事は必須かな、と思った1冊。そして、そんな外国人の批評を読んで、自国の文化を考えるようになった自分が恥ずかしい。

  • 言葉の選び方、言い回しが独特でとっつき辛い。
    解説を一度読んで表徴とはなんぞやを把握してから本文に行ったほうがよさそうな印象です。

  • 10/19
    中心の不在、不在の中心。

  • 何回も読み直すうちに、少しずつわかってきたような…。むつかしいので、かいつまんで読んだり読まなかったり。
    読んでいて悪い気はしない。笑  もっとニホン人として誇り持とっと。
    彼の、日本人の目の捉え方が斬新だった。裂け目。

  • 訳があまり。。。良くないらしい。

  • 記号論の側面から日本の断面を部分部分で切り出して解釈した、小論集というかエッセイというか。難解だが禅の公案よりはだいぶマシ。文化というものを象徴に落とし込もうとしたときに非常に参考になる本。

  • 勉強不足で歯が立ちません・・・。

  • 記号を持たない我々としては。

  • バルトの日本文化論。めちゃくちゃ面白い!

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著者プロフィール

(Roland Barthes)
1915-1980。フランスの批評家・思想家。1953年に『零度のエクリチュール』を出版して以来、現代思想にかぎりない影響を与えつづけた。1975年に彼自身が分類した位相によれば、(1)サルトル、マルクス、ブレヒトの読解をつうじて生まれた演劇論、『現代社会の神話(ミトロジー)』(2)ソシュールの読解をつうじて生まれた『記号学の原理』『モードの体系』(3)ソレルス、クリテヴァ、デリダ、ラカンの読解をつうじて生まれた『S/Z』『サド、フーリエ、ロヨラ』『記号の国』(4)ニーチェの読解をつうじて生まれた『テクストの快楽』『ロラン・バルトによるロラン・バルト』などの著作がある。そして『恋愛のディスクール・断章』『明るい部屋』を出版したが、その直後、1980年2月25日に交通事故に遭い、3月26日に亡くなった。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

「2023年 『ロラン・バルト 喪の日記 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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