ジンメル・コレクション (ちくま学芸文庫 シ 12-1)

  • 筑摩書房
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本棚登録 : 324
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480084651

作品紹介・あらすじ

取っ手や橋・扉など、見慣れた風景の細部からモデルネの本質を読み解き、貨幣、大都市、女性、モードにいたるまで、現代社会のあらゆる事象に哲学的思索を向けた「エッセーの思想家」ジンメル-その20世紀的思考を生き生きと伝える、新編・新訳のアンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • とても脳を働かせた。
    少なからずとも時代のギャップはあるけれど。
    僕らの隣にある「意味」と言うものを深く考えるきっかけの様なものをくれた。

    ただもう、すごいとしか言いようが無い。

  • 作品それ自体、芸術作品としての、あるいは人格としての全体性。それを包摂する目的性、部分性。これらがどう共存するかということに関心を持ち、境界である陶器の取っ手や額縁、橋、扉に関心をもつ。ある程度普遍的になる、形式を取り出して描き出す。 この相克は永遠のテーマだろう。部分が全体に包括されることなどありえない。面白い。
    鈴木直が解説しているように、このような内在的な対立は様々な事象に様々な位相で現れてくる。

    批評の取っ掛かりとして読みたい。緻密さ、包括性は欠いているけれど、まさにそこから始めたくなるような鋭い図式化があるように思う。
    芸術論と貨幣論は、関連するトピックに触れたときに、あるいはそのような作品と向きあった時に読みたいものだ。

  • ジンメルのエッセーを、主に女性論・生活風景論・美学論・社会論という視座にしたがって訳出・編纂している。各エセーには強い主張はなく、それゆえに曖昧とも言えるが、彼の扱う対象に即して言えばその曖昧さは対象そのものに由来すると捉えられるだろう。水差しや橋、扉といったものを哲学的に思考するのに、単純明快さを求めるのはいかがなものか。その点で、訳者解説でも紹介されているようなジンメルに対する批判は的外れなものである。そしてこうした珠玉のエッセーが、ユダヤ人であるジンメルによって書かれていることやベンヤミンに影響を与えていることを考えると、ジンメルの面白さはなお際立つ。

  • 「読書力」おすすめリスト
    10.学識があるのも楽しいもの
    →社会学者ジンメルはセンス抜群

  • 素直に実り多いと言える読書だった。

    芸術作品における取っ手の役割についてとか、ユニークなんだけど実際的で、すごく柔軟で哲学者には珍しくなんというか優しさを感じられる。

    「生の豊かさの本質とはひっきょう、それらの相互協属性の多様性にあり、外部と内部の同時共存性にあるからだ。」という一文にしびれました。

    「近代文化における貨幣」の章とか人に広めたい。

  • 哲学エッセイ、なるものを初めて読んだ気がする。面白かったが、少しまとまりのない本ではあった。大きなテーマのひとつである美学については、ぼくの関心が今一つ盛り上がらず、ちょっと読み飛ばしぎみになってしまった。
    ただ、鋭い考察と含蓄に富んだ言葉選びは素晴らしい。一文一文の重みが違う。
    確かにあまり論理的に聞こえない部分もあるが、それを補ってはるかに余りある直観に裏打ちされている。
    ぼくの側に準備が整ったら、また読みたいと思える本だった。

  • ジンメルの社会的観点からの性風俗、男女の恋愛観、学ぶべきものは本当に多かった。

  • 夏のレポート課題に使用したゲオルク・ジンメルの本。
    この人の切り口は新鮮明快でおもしろい。在るがままを言うので頭がすっきりする。

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著者プロフィール

1858年~1918年。ドイツの哲学者、社会学者。

「2016年 『社会学(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ゲオルク・ジンメルの作品

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