マクルーハン (ちくま学芸文庫 ヒ 4-1)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480086686

作品紹介・あらすじ

「ポップカルチャーの大祭司」「メディアの形而上学者」と称され、認識への新しい扉を開いた20世紀の思想家マーシャル・マクルーハン。テクノロジーが社会や個人の生活に与える影響について生涯を通して刺激的な考察を重ね、かつて「旋風」をも巻き起こした、このメディアの守護聖人の思想と生涯を多数の資料とイラストでわかりやすく解き明かす入門書の決定版。痛快な理論が、あなたの脳ミソを過激にマッサージ!詳細な文献目録と年譜を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 『プレイボーイ』誌が「ポップカルチャーの大祭司」あるいは「メディアの形而上学者」と呼んだ。
    有名な標語「メディアはメッセージである」「グローバル・ヴィレッジ(地球村)」p9

    文芸批評家のマーク・デリーはマクルーハンを「初の情報の神学者」と評した。p16

    (『グーテンベルクの銀河系』)によって読者は従来的な書物の「線的構造(linear structure)」から解放されたのだ!p20

    構成の点では、マクルーハンの著書は、むしろ新聞に近い。もっとも新聞の場合、足を踏み込むとどうしても深入りしてしまうが、彼の著書は、一歩下がって、それをひとつの「環境」(environment)として理解することが、その力と効果を認識するために不可欠だと説いた。p22

    「あらゆるメディアは経験を新しい形式に翻訳する力を持つ能動的なメタファーである。新しい言葉は、人がその環境を新しい方法で把握するために、それを手放すことをかなえてくれる最初のテクノロジーである」『メディアの理解』p27

    【グーテンベルクはいかなる変化をもたらしたか】p39
    書き言葉(writing)が広まるまで、人類は話し言葉(spoken word)に満ちた空間、すなわち聴覚空間(acoustic space)に暮らしていた、とマクルーハンは主張する。この空間には無限で、方向もなく、地平線もないが、情感に満ちている。書き言葉は、空間を、有限で、線的で、秩序だった、構造的な、合理的なものへと変えてしまった。へりがあり、余白のある書物のページと、行となって延々と続いていく輪郭の明確な文字が、空間に対する新しい考え方をもたらしたのだと。
    持ち運びのできる本は、「水素爆弾のようなもの」で、その爆発の結果、「まったく新しい環境―グーテンベルクの銀河系―が現れた」とマクルーハンは述べた。そのシナリオはこうだ⇒「グーテンベルクの活字の発明は、線的で画一的で連続的、継続的な理解の仕方を人間に強制したのである」
    ↓(線的な思考が生み出した例として)
    ①(経済)組立ラインと産業社会
    ②(物理)ある物理的事象を空間と時間の中に位置づけることのできるメカニズムとしての宇宙というニュートン的、デカルト的な考え方。
    ③(美術)遠近法
    ④(文学)時間軸どおりのクロノロジカルの語り
    ⑤(政治)ナショナリズム p78

    【マクルーハンによる人類の3段階】p41
    ①文字を持たない部族的時代(The Preliterature or Tribal Era)―話し言葉が王、耳が女王
    ②グーテンベルクの時代(The Gutenberg Age)―活字の言葉が王、目が女王
    ③再部族化された(!)人間の電子時代(The Electronic Age of Retribalized Man)―あらゆる感覚(特に触覚)が力を持ち、対等に振る舞う―全感覚が王宮の道化―(王も女王もいない)

    【マクルーハン入門・前半のおさらい】p62
    ・固定された視点の否定
    ・複雑で連続的な議論の否定
    ・たくさんの章立てで展開する論文の否定
    ・線的構造からの脱却

    マクルーハンいわく、言語とは: 環境を新しい形で把握するために、人間が環境から解き放つことのできた最初のテクノロジー。p89

  • 「メディアはメッセージである」「メディアはマッサージである」と言った言葉を残した(らしい)、マーシャル・マクルーハンについての入門書。

    イラストと本文が融合した独特の本。ぜひ、書店でページを開いていただきたい。

     

    マクルーハンはメディアを「身体の拡張」と捉える。つまり、身体を介して直接行っていたことが、身体を介さなくても行えるようにしたもの、それらをメディアと捉えるのである。

    例えば、思考は脳で行うから、身体から離れられない。

    しかし、会話は「言語」というメディアを介して、「身体から離れることが可能になった思考」である、といったところが、マクルーハンのメディア論の原点にあるらしい。

  • メディアとしてのテクノロジーを学ぶ人には、ぜひ簡単にでもマクルーハンを読んでおいて欲しい。という私も、この本を読むまでは、有名な「メディアはメッセージである」他、インスピレーションを与えるいくつかの言葉や、彼に関する記事を読むぐらいしかなかった。
     彼自身の生い立ちや思想についてイラスト付きで紹介しようと試みるこの本は、入門本としていいのではないか。ただし、思想・哲学だから、読みにくいところはもちろんある。何回も行きつ戻りつ、マクルーハンの考えたことを自分なりに咀嚼することが大事。

  • CD「MEDIA IS THE MASSAGE」の流れで。同シリーズの「サルトル」と同じくわかりやすかった。「サッカーは野球に比べて分散的、集団的、無位置的であるため現代に則している」というのがおもしろかった。

  • この類の本はどれも、for beginners と言いながら、初心者に全然親切でない。読者にただ謎かけというか、投げっぱなしである。訳者の著書である『マクルーハンの光景 メディア論がみえる』を読んでから本書を読んだが、それでもわかりづらい。もっとも、マクルーハンの言っていること自体が、自分のような活字人間には解りづらいのだろうが。それでも、巻末の訳者による文献目録の4(日本のマクルーハン受容史) や年譜は、とても参考になった。

  • 【要約】


    【ノート】

  • "マーシャル・マクルーハンさんという人を紹介した本。独自のフレームワークを構築し、メディアを観察してきた人物。
    この本は、漫画でわかりやすく?解説した入門書。
    原文を読みたくなる。
    「メディアの理解」
    「メディアの法則」
    「グーテンベルクの銀河系」
    「機械の花嫁」など
    著者のW・テレンス・ゴードンさんのシリーズは、著名な思想家の入門書シリーズかな。次の人物のものも読んでみよう。"

  • 広義のメディア論。というだけでは収まらない。とにかく多くのことを述べ、メディアの昨日とその変化に伴う受け手である人、文化の変化について多くを語っている。言葉を尽くして、メディアを再認識させられる。本人の著書ではなく、イラストなどを多用した評伝のようなものなのだけれど、それらを含めたメディアについて述べた人なので、入り口としてはこういう方がわかりやすいかもしれない。今の人ではないにも関わらず、今に通じるのは、その慧眼が本質的なところを貫いているからだろうと思わせる。本人の著作も読もうかなと思わせる内容だった。

  • 一種の天才であろう.同意できるできない,とはまた違うのであるが,なんか違うレベルで凄さを感じる.発想の幅については素晴らしい.

  • イラストで内容を伝える絵本とは違う新しいやり方の本。
    マクルーハンのとても考え方が難しかったワ。
    これ原本読んだら難しいんやろな…。賛同する部分もあったけど…。

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