奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)

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著者 : 辻惟雄
  • 筑摩書房 (2004年9月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480088772

奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 日本美術史家の辻惟雄先生が40年ほども昔に書かれた名著。80歳を越えた大御所の先生にも若くて熱い頃があったんだなぁ、と微笑ましく読みました。この本が書かれていなかったら、今、これほどまでに江戸絵画に注目が集まっていなかっただろうと言われています。なにしろ、先生の筆の走ることといったら、スーパーカーのよう。今すぐにでも実物を見たくなる気持ちに駆り立てられる力に溢れています。
    先日、京都国立博物館でその奇想に身の毛がよだった狩野山雪も取り上げられていて、より興味深くその人物像を知ることができました。6人の中では岩佐又兵衛にもっとも興味がわきました。山中常盤、いつか、じっくりと見てみたい。

  • 著者の辻先生について、
    自分が結婚を世話した弟子に「早く身を固めろ」と言ったとか
    伊勢神宮で迷子になったとかの
    天然エピを目にしてからずっと気になっていた本。

    読んでみたら、面白かった!
    内容はもちろんなんだけど、語り口というか文章の切れ味にやられました。メロメロになりました。
    こんな文才迸ってる人が伝説級の天然ボケとは…萌えるじゃないか…

    取扱い作家は、岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳。
    『日本美術応援団』が好きな人には絶対オススメ!

    へうげものには岩佐又兵衛が出てきますが、
    村木道重の子だっていうのは絶対へうげ設定だと思ってた。ゴメンナサイ。

  • この本を手に取ると、はじめての研究の題材に国芳を取り上げたいと言った時の先生の苦笑いを思い出す。

    この本は、学生時代にはじめてまともに読んだ日本美術の本だ。
    なんとなくの興味で決めた配属先“芸術学研究室”で、研究テーマを決めるために図版をめくっていたら、
    国芳の浮世絵に目を奪われた。
    その文献として、最初に手に取ったのがこの「奇想の系譜」だった。

    辻惟雄のこの著書は、それまで日本美術史においてあまり評価されていなかった
    岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢芦雪、歌川国芳らを「奇想の画家」として取り上げ、
    再評価をうながした本として有名な一冊だ。

    わたしがこの本を手に取るころには、上記の画家たちは日本美術史のなかで主役級の座にすわり、
    この本も美術史を学ぶ上での基本の一冊として定着してしまっていた。

    その有名さゆえ、まずこの本を選んだのだが、
    美術史の知識などまったく持ち合わせていない当時のわたしが読んでも、この本はおもしろかった。
    日本の美術に少しでも興味のある人、ひねくれたものやヘンテコなものが好きな人なら、
    特別な知識がなくても十分に楽しめると思う。
    芦雪の虎や、国芳の三枚続きスクリーンの怪物は、今見ても目を見張るものがある。

    日本の美術に関心のある人にはぜひ読んでほしいし、
    興味関心を広げるはじめの一冊としてもオススメしたい。
    しかし、それだからこそ、この本で日本美術史に興味をもったなら、
    これまで美術史の本流とされてきたものに目をむけてほしい。
    1970年、この本を読んで目からウロコをおとした人々と同じ感動を味わうために、
    また、「奇想」の「奇想」たる所以を知るために。

    わたしは相変わらず不勉強なので、まだこの本のほんの一部も理解できていないのかもしれないが、
    3,4年ぶりに読んだこの本に、再び新鮮なおどろきをもらった。

    自分の裾野が広がるたびに、何度でも楽しめる一冊。

    図版がカラーでないのが残念。
    できれば、傍らに大きなサイズの図版をおいてみるのがオススメ。

  •  70年代にこの本を出したのは本当にすごいと思う。現在の若冲・蕭白ブームの立役者。(いいぞもっとやれ)
     あっさりすっきり地味にこぎれいにまとまって侘び寂びであることが特徴のように思われてしまいがちな日本美術ではありますが、決してそんなことはない! と判りやすく面白く導いてくれる入門書。

     そしてこれを読んだら、是非に是非に、近くの美術館へ出かけることを勧めたいのです。まったく違った世界がそこにはあるはずですから!

  • 若冲や蕭白のブームの火付け役はこれが犯人。
    あまりに奇怪でグロテスクで異端・・・そんな理由から疎まれ忘れられた(と言っても過言では無い)江戸時代の画家達に再評価を与えた。その後の長沢蘆雪や伊藤若冲や曾我蕭白の注目のされ方といったら、まるで手のひらを返した様。
    著者の辻惟雄も、もはや日本美術史の大権威。
    この本はそうした偉大な功績があるのです。

    内容に触れてみますと、若冲も蕭白も研究がそれなりに進んだ現在になってみると、内容は普通のように思えなくもない。「あ、知ってるわー」みたいな。
    しかし、繰り返しますがこの著書がこうした研究の端緒であるのです。(ちょっと盛ったかも)

    確かに若冲は、まさにthe most eccentric artist in Japan!!yeah!!とでも評したくなるような本当に面白い画家だと個人的には思います。ってことはぼくも知らずのうちに多くこの著書の恩恵にあずかっているということでしょう。

  • この本は歴史的な背景や位置づけをわかってないとホントの評価はできない。若冲などがすでに十分に再評価された現状においては、どの程度価値があるのか判断が難しい。<br>
    しかし解説を読むと、その価値は高そうだ。淡々と既知のことが書かれているように見えて、当時一般にはほとんど知られていなかったことであったりする。そこには著者と読者の知識に相当のギャップがあるのだろう。<br>
    自分には絵を見る目はないが、若冲の絵を見るにつけ、なぜかルソーを思い出していた。思いもかけず指摘された類似性に、案外的外れじゃなかったのかと嬉しくなったな。<br>
    あと、蕭白かっけぇ。<br>
    (2007/10/3)

  • あまりにも有名な辻惟雄による美術書。ほとんどの作家を事前に展覧会などで見てからこの本に行き着いたわけだけれど、面白い。なんだか、これを読んでて思ったんですけど、この人は写真家みたいですね。あくまで表現者は奇想の画家達なわけであって。けれど、こうゆう切り取り方をすると本当に面白いという。やっぱり、ある種の表現者なんじゃないかな。

  • 岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳の作品紹介と評伝をまとめた本。1970年に、こうやって、このへんの画家をまとめて紹介したという功績は大きいだろうなと思う。俺が国芳とかを意識して見るようになった1982年くらいでも、まだ国芳の戯画のまとまった画集とかは無かったわけだし。若冲の入手しやすい画集なんて、未だに無いし、蕭白の画集も美術全集くらいしか見ない。しかし、この本に取り上げられている「奇想」の画家達に共通するのが、卓抜したテクニシャンであるというのが、何というか当たり前だけど面白い。「奇想」なんてものを形にするには、相当な技術が必要なのは当たり前というか前人未到に説得力を与えるのがテクニックというか、それを思い知らされる。日本画のイメージって、未だ固定的な気もするから、この本の役割はまだ終わってないのだと思う。

  • いまでは大人気の絵師たちの、はるか昔の評論書。
    当時の関心のなさといったら、現代のそれと比較できないレベルだろうところで、目をつけて仔細に述べている著者の審美眼には唸る。

    巻末の書評に図版が豊富とあったが、カラー写真に見慣れている自分たち世代では、物足りない印象もあったが、文庫だから仕方ないのかも。

    又兵衛、山雪、若冲、蕭白、蘆雪と国芳、どの作家も個性的で、また作品を観たくなった。

  • 岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢芦蘆雪、歌川国芳という6人の画家について、書かれています。そして、これらの画家に共通する性格を的確に浮き彫りにするような、「奇想」(奇なる発想)という言葉で括られています。
    しかし、「奇想」こそ近代絵画史における主流であり、彼ら6人の画家も「異端」ではなく、そうした主流の中での前衛として理解されるべき、と書かれていたのが印象に残っています。

    彼らの作品はどれも個性的で、魅力的で、文章と図版両方が載っていることで、作品のおもしろさがよく伝わってきました。読んでいると、どんどん作品と作者に興味を持ち、本物を見て感じたくなりました。

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