二十一世紀の資本主義論 (ちくま学芸文庫 イ 1-4)

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  • 筑摩書房
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480089984

感想・レビュー・書評

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  •  30年ほど前の内容であるので情報が少々古いが、本書に収録される「二十一世紀の資本主義論」と「インターネット資本主義と電子貨幣」は今読んでも色あせない。現在、米ドルを基軸通貨とするグローバル市場経済であるが、今世紀において最も危惧するべきなのが米ドルのハイパーインフレーションであると著者は主張する。ドルの過剰な供給が始まったとき、覇権国家としてのアメリカは凋落するであろう。

  • 二十一世紀の資本主義論
    (和書)2009年05月30日 21:49
    2000 筑摩書房 岩井 克人


    この本は出版されてすぐに買って読まずにいました。なんだか読む気がしなかったんだよね。何故買ったんだっていうことだけど、何冊かこの著者の本を読んでいてそれなりに刺激を受けたからだけど、今回読んでみて言っていることはほとんど変わっていないなーって思う。ならどうしたら良いのかってことだけどそこが積極的に書かれていない。今はどうだか知らないけど兎に角、みんな中途半端って感じです。別に違うと思ったら意見を変えても良いと思う。柄谷行人なんて考え方が変わるからって言っていました。もっと前衛的に書いて欲しいなって思った。

    アメリカ発の金融危機といわれGMなどが破産法適用とか言われているけど、著者がいうドルの危機・ハイパーインフレーションが起こるかどうかは知らない。なんだかそんなところに啓蒙する何かがあるとは思えない。通貨・貨幣についての考察はそれなりに面白いところもある。しかし交換様式などの考察は柄谷行人を読んだ後では残念ながら見劣りする。

    特に基本的に宗教の批判(マルクス)というものに関して、この著者が前提にしている認識が甘いように感じた。学者らしいと言えば学者らしいが、悟性のかけらのない学者(カント)にならないように気を付けなければいけないと感じる。でもこの著者は良い方なのかもしれない。そんなに詳しくないから知らないけど。

  • 20世紀の終わりに書かれた経済エッセイをなぜ今ごろ読んでいるのかといえば、単にそのときに読み損ねていたからにすぎないのだが、時間をおいて読むことで、また異なった感慨がある。
    社会主義陣営が崩壊してからの世界の目まぐるしい変容を、私もまた、息を詰めるようにして見つめていたが、あれから20年近くの間に基軸通貨国がしかけた2度の悲惨な戦争とこの国で起きた原発事故を経て、私たちは今、ますます小さくなっていく成長のパイを追い求め、方向転換のきかない恐竜のような古い経済システムが転落へと向かっていくさまを、恐れとあきらめのうちに見守っている。岩井氏がくりかえし論じるように、貨幣を導入し資本制に組み入れられたときから、私たちはリスクを先延ばししながら大きなリスクを抱え込んでしまったのだが、それでもまだアジア通貨危機当時は、私たちはグローバル経済のリスクがこれほどのものとは実感していなかったし、よりよい経済統制システムをさぐろうともしていたのだ。このあとの岩井氏の議論の展開は市民社会論に引き継がれているので、遅ればせながら早く読まなくては。
    にしてもあいかわらずエレガントなエッセイを書く方である。井原西鶴の小説やギリシャ神話の「黄金の林檎」を貨幣論で読み解いたり、売と買がもともと分離した概念ではなかったというエッセイなど、とても面白い。本筋の経済理論のみならず、こんな素敵な文章を書ける経済学者は世界でも少ないに違いない。もっと活躍していただきたい。

  • 書いてあることはすごい面白いし、この前起きたアメリカのサブプライムショックが世界に波及することも予見している点ではすごい本だと思う。ただ、全体を通してずっと同じことしか言ってないから、読んでて途中で飽きる。

著者プロフィール

国際基督教大学客員教授、東京財団上席研究員
東京大学卒業、マサチューセッツ工科大学経済学博士(Ph.d.)。イェール大学経済学部助教授、プリンストン大学客員準教授、ペンシルバニア大学客員教授、東京大学経済学部教授など歴任。2007年4月紫綬褒章を受章。

「2021年 『経済学の宇宙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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