倫理とは何か 猫のアインジヒトの挑戦 (ちくま学芸文庫 ナ 13-2)
- 筑摩書房 (2011年1月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480093431
感想・レビュー・書評
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すごい楽しく読めた、ほとんど拾えてないのでまた読みたい
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普通の人は道徳的に善いことをするかわからない。しかし、それ以上に直接的に善いことをしているかというと、さらにわからない。
それなら、逆に、悪いことはどうだろうか?こちらは道徳的にも直接的にも、人を縛るように思う。
価値中立的なことをするのが普通ではないか?
善いこと、悪いことの内容がない限り、倫理学は何も言えないと思う。
行動主義的な立場から見れば、同じようにしていることが心の内部では道徳的に善いことをしているか、悪いことをしているか区別がつかないからだ。
犬は道徳的に善いことができるだろうか?私はできないと思う。高度な嘘を使えることが必要だと思うからだ。善いふりをして悪いことができる必要がある。今の政治家はまさにその例だ。
正直に生きることが最も人間的ではない。それがわかった。 -
この本は、
「なぜ倫理に従わなくてはいけないのか」
を古今の哲学者の学説を交えながら、
三人の登場人物が議論していく対話形式の本。
答えがないのが答えなのか、と感じた。
だが、倫理には従わなくてはいけないとも感じた。 -
哲学や倫理学を扱う本にしては、読みやすいと思います。
しかし、どこか「常識」に対して、疑問を投げかけてくれる本なので、結構頭を使います。文庫なのに、内容的にも重厚な本なので、ある程度読む力(気力)が必要に思います。
読み終わった後になぜか達成感がある本。
考えることが好きな人にはお勧めです。 -
倫理学の教科書的な内容と、それに真っ向から対立する反論を両方併せ持ったかなり変わった本です。永井均の哲学の香りがぷんぷんします。
しかし、この肯定と否定の両方を俯瞰する視点に気づかないと、結局は本質的じゃないことをいつまでも考えることになる気もします。いや、それに気づかないで淡々と世の中を良くしてくれる人がいる方がいいのかな・・・?
最後の大澤真幸さんの解説も素晴らしいです。本書を読み進めるに連れて、時々なにを言いたいのか議論についていけなくなる部分があったけど、この解説のおかげで全体像がスッキリ見えて理解に役立ちました。
「感服」という言葉が宮沢賢治からの引用で出てましたが、この本の内容の精緻さと到達点の高さにも、同じような感想を抱いてしまいます。