つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫 よ 18-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 6471
感想 : 798
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480421746

感想・レビュー・書評

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  •  ゆるく穏やかな時間がこの小説には流れています。今の時代は直ぐに答えを求めようとするけど、別に答えなんかなくてもいい。ただ過ぎゆく時間に身を任せていたら、後から意味がついてきて、後々幸せだったなあと思えることもある気がします。

     一つ言えるのは、その意味がついてくる時に、やっぱ人が絡んでいるということ。利害なくフラットに出会える人間こそ、自分に豊かさをもたらしてくれるんじゃないかなと思いました。
     
     何か理由がなくても、人が集まることの意味を感じさせてくれるストーリーです。

  • いつぞや どなたかのレビューを読んで本棚に登録していた本。

    ふと読みたくなり、図書館で借りた。

    バタバタジタバタと日々過ごし、
    忙しくしている割には、何も残らない。
    そんな風に感じている自分に
    時が処方してくれた本のようだ。

    たまたま休みとなった平日の暖かい昼下がりに
    のんびりとした気持ちでページをめくり、
    なんとも言えない懐かしさと
    ゆったりとした時の流れを感じることができ、
    癒された。

    この雨降り先生のように
    本当にやりたいことを右の机に積み上げて、
    日々生活のための左の机にかかりきり
    という気がしてならない。

    月舟町の小さな食堂で
    常連客が掛け合うたわいない話が
    何か哲学的で、宇宙の謎をとくような
    不思議な味わいがある。


    「もし、電車に乗り遅れて、ひとり駅に取り残されたとしても、まぁ、あわてるなと。黙って待っていれば、次の電車の一番乗りになれるからって」

    というバリスタ、タブラさんの言葉が心に響いた。
    2022.3.14

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/764838

  • 恐らく再読。
    自分が役者志望なのもあり、じんわりしてしまった。果物屋の主人が好き。
    二重空間移動装置とオセロなど、モチーフが重なっているんだろうなという小道具が端々に登場する。
    昔見た夢の続きを一歩踏み出そうとすれば偉大なるマジシャンの父は消え、オノレが同化した。
    夢を守ること、見ること、わたしたちはつむじ風の巻き起こる交差した道の上であるここで 雨が止むのを待った。

  •     

  • こぢんまりとした物語だった

    おばあちゃん家の近所の商店街が頭に浮かんでた
    シャッター街であんまり人気はない場所やけど、昔馴染みの気のいい人が暮らしてる場所……

    静かで、押し付けがましくなくて、じんわり存在してる感じ

    主人公の部屋のイメージは、古民家で夜は電球のオレンジの光が灯ってる部屋って感じ……
    夜中に温かいコーヒー入れてなんか作業してそう……
    すきま風が入り込んで寒いけど、心は満ち足りてて暖かい印象……
    まあなんかそんな感じ

    「奇跡」が好きだった
    『…私は夢を見ているのかもしれない…。…夢なら覚めるな。覚めるな。もう少し。』
    『…もし、電車に乗り遅れて、ひとり駅に取り残されたとしても、まぁ、あわてるなと。黙って待っていれば、次の電車の一番乗りになれるから…』
    というセリフが好き。込み上げてくる。

  • ふわふわと温かくゆっくり穏やか。
    そんなお話でした。

  • 独特で素朴な世界観だなぁと思った。
    つむじ風"食堂"だけれど、店の主人がパリで修業していたこともあり、メニューが欧風なところが少しちぐはぐだけれど、妙に美味しそうな雰囲気を醸しだしている気がした。
    時代の設定は分からないけれど、何だか昔懐かしい気持ちになった。

  • 登場人物も場所も日本なのに、どこか外国の映画みたいな不思議な物語たち。

    ふわっと掴みどころがなく、だけどそこに温かさがあったことは憶えている。読んだ後に、さっきまで悩んでいたことって何だっけ?と思うような短編集。

  • 夜に車窓から眺める街の光みたいな本。幾度となく通りすぎるから、特に目覚ましいわけではないけど、なんとなく温かさが胸に残るような読了感。

    私も誰かもマンションの、街の、地球の、宇宙の1角。そう思うと果てしないけど、思いを馳せたくなる気持ち、わかるなあ。エスプレッソが無性に飲みたくなる。

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著者プロフィール

1962年、東京生まれ。小説を執筆しつつ、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作、装丁の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂とぼく』『雲と鉛筆』 (いずれもちくまプリマー新書)、『つむじ風食堂の夜』(ちくま文庫)、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『モナリザの背中』(中公文庫)など著書多数。

「2022年 『物語のあるところ 月舟町ダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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