ライフワークの思想 (ちくま文庫 と 1-4)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480426239

感想・レビュー・書評

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  • 『ライフワークの思想』
    外山滋比古

    ……自分で考えるより、こっそり教えてもらった方が手っ取り早い。どこかに書いてあるのではないかというので、本を読む。それを知的生活のように錯覚しているとしたら滑稽である。(p35)

    ★つまり自分で考えて、行動に移さなければならない。考えるとは、読むことではなくそこからもう一歩すすんだ場所にあるのではないだろうか。

    よく、落ちついてじっくり勉強がしたい、という述懐を耳にする。ソロの世界をあこがれ現実を逃避しようとしているのであろう。雑然とした多様の中においても、コンダクターがしっかりしていれば、すばらしい創造が可能である。
     人生を芸術にする——これぞ最高の知的生活である。(p45)

    ★現実の慌ただしい生活の合間に、音楽や本を読む。機会を伺っているだけでは、日々は過ぎ去るのみである。

  • 一度では足らんな。日をあけて再読要。

  • 外山滋比古さんの本は『思考の整理学』につづいて2冊目でした。書名の内容は概ね1~2章で終わり、3章以降はちょっと別のテーマで書かれているような感じでした。文化・言葉・教育・・・そこから派生したいろいろ。
    いつもこういう文体なんでしょうか。とても親近感のある読みやすいタッチです。
    底本が書かれたのが、1980年代、だったかな?扱われている事件や流行には時代を感じるものが多いですが、主張は色褪せないものですね。

    ただ、もう少し年齢を重ねてから読んでもよかったのかな。と思います。

  • 人生80年~90年。年々平均寿命は延びています。作者は、人生の折り返し点後の生き方に考えを巡らせます。昔の人は出家することで、それに区切りをつけていたそうです。
    人生をマラソンに例えれば、うっかり折り返し地点を過ぎてしまうと、頑張って前に走れば走るほどゴールから遠ざかってしまう。人生のフィナーレは定年を迎えたときではありません。われわれは最後の最後まで、レースを捨てずに走ろう、と作者は呼びかけます。

    定年より前にじっくり読み返して欲しい、そんな一冊ですね。

    詳しくはこちら http://d.hatena.ne.jp/ha3kaijohon/20120326/1332724138

  • 外山滋比古、知的生活について再考すると、知と体との手を握らせることである。よく、落ちついてじっくり勉強したいという述懐を耳にする。人生を芸術にする−これぞ最高の知的生活である。

  • 外山滋比古のエッセィ集。外山先生の著書は「思考の整理学」など日常生活の出来事を鮮やかに切って見せる独創的な中味で随分多くの人に読まれてきました。この文庫本も最近出版されたばかりですが、書き下ろしではなく、元は30年余りも前に書かれた内容に削除や加筆して出版したというからその色褪せない新鮮さに驚くばかり。
    30年も前に出された本(特にエッセィ集など)は大抵の場合絶版となっているのが常です。
    本のテーマとなっているライフワークの花という章はところどころにポストイットを張り付けていくほど、重要な語句がちりばめられています。
    曰くライフワークは文字通り生涯の仕事であって晩年になって初めて結実する。切り花ではいけない根のついた花である。自由時間とは週休2日の時間のことよりも定年後のいつまでも暮れない薄暮のような時間のこと。・・・いままでは、充電したバッテリーを使い切るまで突っ走るという形で仕事をしてきた。しかし、これからの社会では、絶えずバッテリーに充電するか、他日に備えてスペアを持っていないと危険である。・・・それは単に保険の意味ではない。自分の生きがいとして、人生の豊かさにつながるところで、能力の備蓄、可能性のゆとりを持つことである等など。 
    外山先生はいつも思うのですが、比喩がとても巧みです。人生を酒作りやマラソンや囲碁に例えて話すなど随所に見られます。発見する、新しいものを考える源泉には比喩、類推というような広義の比喩作用がとても大切だということをおっしゃっています。そして、知識を入れるだけでなく、むしろ活発に忘れることも大切と強調している。忘れることで心はいつも新しいものを迎えるゆとりを持つことができるという。この考え方、都合良く解釈し、忘れっぽい私などには大いに味方しているようで嬉しいものです。
    それにしても、1923年生まれということは・・先生おいくつですか~!?(多分この事実が一番びっくりです)
    是非とも気軽に皆さんに読んでいただきたいお勧めの本です。

  • 刊行は1978年と古いが、著者の考え方は現在にも通ずる所がある。現在我々はgoogleなどの「検索」を駆使して、いわば《切花》のおいしい部分だけを他人の力を利用して簡単に知ったつもりになっているが、《球根》的な自分で考え出したアイデアではない。これは愚かなことかもしれない。「根がなければ花は咲かない」のだ。

  • 「思考の整理学」の外山滋比古氏が同著以前の
    1978年に記述した本。

    タイトルの「ライフワークの思想」の他、
    複数のテーマについて著者なりの理論が展開されている。

    内容は「思考の整理学」の同様にやや難解。
    複数回読み込まないと理解しにく上、
    30年以上前という初稿の古さから納得感に欠ける点も多い。

    しかし、
    ライフワークは新たなるスタートではなくフィナーレに向かうもの。
    忘却は恐れる必要がない。
    等、考え方としては一般的でないものもあり、
    新しい気づきも多かった。

  • >どんなに貧しく、つつましい花であっても自分の育てた根から出たものには、流行の切り花とは違った存在価値がある。それが本当の意味での“ライフワーク”である。
    ――
     幸せに生きるためには、他人が持っていて自分が持っていないものを妬んだりせず、自分が持っているものを大切にすることが大切なのかもしれませんね・・・

  • 「ライフワークの思想」5

    著者 外山滋比古
    出版 ちくま文庫

    p62より引用
    “この世にまったく新しいものは決してなく、
    どんなに新しいものでも、何らかの意味で、
    これまでのものとかならず何らかの関係をもっている。”

    英文学者である著者による、
    生き方や言葉に関する事柄を取り上げ、
    著者独自の視点で分析・解説した一冊。
    創造の為には忘却によって調和をとる等、
    少し驚きを覚えるような考え方が目白押しです。

    上記の引用は、
    発見についての章の中の一文。
    どんなに風変わりで奇妙な物や作品であっても、
    材料がまずなければ出来上がらないと言う事でしょうか。
    この本にある通り、
    ライフワークを花咲かせる為にも、
    今はひたすら材料をたくさん仕込んでおこうと思います。
    多くの材料を用意し時々忘れ、
    いつかこれが自分のライフワークだと、
    家族達に胸をはれる物を作り上げたい物です。
    考え方の方法のひとつとして。

    ーーーーー

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著者プロフィール

外山 滋比古(とやま・しげひこ):1923年、愛知県生まれ。英文学者、文学博士、評論家、エッセイスト。東京文理科大学卒業。「英語青年」編集長を経て、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授、昭和女子大学教授などを歴任。専門の英文学をはじめ、日本語、教育、意味論などに関する評論を多数執筆している。2020年7月逝去。30年以上にわたり学生、ビジネスマンなど多くの読者の支持を得る『思考の整理学』をはじめ、『忘却の整理学』『知的創造のヒント』(以上、筑摩書房)、『乱読のセレンディピティ』(扶桑社)など著作は多数。

「2024年 『新版 読みの整理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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