こちらあみ子

著者 :
  • 筑摩書房
3.57
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本棚登録 : 1649
感想 : 333
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804303

感想・レビュー・書評

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  • もし、あみ子の言葉を真剣に受け止めて
    応えてくれる人がいたら変わっていたのかな?

    私たちは多数派側だから
    当たり前にそうであると感じることが
    できないことが理解できないし、馬鹿にされている、
    ふざけていると受け止めてしまうことだってある。
    そうしてしまうことが理解できるし
    きっとそう振舞ってしまうんだろうけど
    もし、彼のように受け止めて、違う見え方を
    共有できる人がいたなら違った結果になったのかもしれない
    と思うのは、現実を知らない勝手な考えなのかな。

    こちらあみ子もピクニックも哀しいお話だったな。
    お兄ちゃんに声が届いてよかったな。

  • こちらも、初めまして、の作家さん。しばらく多いかもしれません。
    NHK プロフェッショナル 仕事の流儀 1万円選書のいわた書店。
    番組に登場した本を、ご丁寧にまとめてくれてる人がいました!
    けど、コメント残す画面が見当たらず、また無言でリンク張り m(_ _)m
    https://rahmaway.hatenablog.com/entry/2018/05/04/111147
    https://rahmaway.hatenablog.com/entry/2018/05/06/001648
    で知った本です。

    たいぶ変わった子のようで
    こわい、というか痛いというか
    でもかなり一気読みに近かったです。

    もう一編の「ピクニック」も不思議です

  • あみ子のような人物を、その人目線でここまで書ける才能が恐ろしい。読んでる間怖くて仕方なかった。

  • どちらの作品の主人公も世間や周囲とズレている。読み進めていて救いの兆しは感じないけど読まずにはおられない作品。
    ピクニックは特に、イントロから心拍数が上がっちゃうような感じだった

  • 二編からなる中編集です。どちらも風変わりな女性が書かれていますが…
    何だろう、胸が痛いです。

    精神年齢の低さゆえ、誰かを傷つけてしまった記憶。誰にでも一つや二つあるのではないでしょうか。
    そんな記憶も呼び起こされて、なんともノスタルジックな気分にさせられました。

  • 初読

    知的に障害があるであろうあみ子は、周波の合わないトランシーバーのように、
    周囲と繋がりを持てず、交信する事が出来ない。

    そしてそれは残酷なまでに「仕方がない」事でもある。
    お母さんも、のり君も、お父さんも、お兄ちゃんも。
    あみ子の隣の席の少年を好ましいと
    こんな風になりたいかなと思ったらそばから、
    あみ子自身があっさりと彼の事を忘れてしまう(覚えていられない?)事で
    あっさりと、その繋がりは断ち切られてしまう。
    「純粋でピュア」みたいなよくある予定調和でも
    これまたよくある露悪的な描写でもなく。
    それ故に心に引っ掛かり残る作品。

    「ピクニック」はサラッと読み流してしまった感だったのだけど
    ラストに向かって増えていく「ん?」という違和感。
    これって。といくつか感想を読んで「やっぱそういう事だよね」と。
    悪意にもグラデーションというか、あわい、があるよね。
    私は気付かなかったけど「ルミたち」と複数形を使う事によっての
    効果、という考察を読んで、はぁぁ、なるほどな!
    すごい構成だな、と。

    お噂はかねがね、でずっと気になってた今村夏子さん。
    なるほど、これは、かなりです。

  • 色々な人の感想を読んで、「これは私が読むべきもの…!」とビビビときた一冊。
    一言で言ってしまえば、発達に凸凹があるであろうあみ子の生活の話。あみ子、好きな男の子に殴られて歯が3本ないという設定がまず強烈。
    「さすがにこれはやばい」って思うことばかりのあみ子の行動だけど、頭のなかを覗いてみれば理解できる部分もあるわけで。いままでは、わたしにはわからないけどこの人のなかではつながってる、という理解をしてたけど、そういうのは理解というにはまだ足りないなって思った。仕事でたくさん触れてるけどなんかこの小説でやっとわかった気がする。
    あみ子の思いとは裏腹に色んな人とすれ違っていくのがやりきれないけど、遠くから見守る人、理解したいと思う人、結構好きな人もちゃんといて、とても安心した。現実の世界もこんな感じだったらいいな。全部が全部優しくなくても、気づかないところで守られているような。
    久々に映像でも見たいと強く思った。とくに、田中先輩の神々しい後ろ姿。けどかなり独特なお話だから難しいかな…
    なんでもかんでも菅田将暉任せなのどうかと思うけど、田中先輩は彼がいい。そしてあみ子はイモトアヤコみたいな子のイメージ。

  • 表題作はなかなか読むのが辛かったですね。痛々しいというか切ないというか。「ピクニック」には何故か引かれました。あみ子との対比かな。

  • あみ子は多分コミュニケーション能力に問題がある子。
    相手の気持ちを推し量ったり想像することができない。
    純粋で自分の気持ちに正直なあみ子の行動に全く悪意はないけれど、周りの人を傷つけ疲弊させていく。
    あみ子は悪くない。
    でも、あみ子の家族ものりくんも悪くない。
    切なくて苦しくなったけれど、
    にーっと歯のない笑顔を向けるあみ子の姿に、
    あみ子はあみ子のままでいいし、あみ子はきっと幸せなんだって思った。
    「ピクニック」にしろ「チズさん」にしろ、
    今村夏子さんの人間を見る力と表現する力が怖くなって、でももっと読みたくなった。

  • 太宰治賞受賞作品。
    何らかの障害を持っていると思われるあみ子。
    家族をはじめ、周囲の人たちの大変さがものすごくかんじられる。血の繋がっていないだろうお母さんや、好意を持たれてしまったのりくんの苦悩。
    何故かあみ子に普通に接してくれる坊主頭の男の子の存在が良かった。

    ピクニックはよく分からなかった…

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著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。

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