こちらあみ子

著者 :
  • 筑摩書房
3.57
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本棚登録 : 1644
感想 : 333
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804303

感想・レビュー・書評

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  • コミュ障の「感じ」がよく書けていると思った。
    表題作でない方も面白かった。虚言癖の人に周りが合わせてしまって、虚言の世界が現実のようになってしまっているが、どこか平和で悲壮感がない。新鮮。

  • 普通ではないあみ子は、周りに不協和音を起こしてしまう。けれど、あみ子にとっては普通に考えてやっていることなので、怒られる理由がわからない。
    案外このようなズレは、日常に起きているのかもしれない。とすると、普通とは何なのか?
    祖母と穏やかに暮らしていることに救いを感じた。

    ピクニックの七瀬さん、若い頃にはよく居そうですが、そのまま三十代後半までというのもあるのかな。

  • こちらあみ子
    今村夏子

    ∞----------------------∞

    中編が2話。やっぱり今村夏子さんの本は面白い。そして心にじんわりと嫌なものも残る。

    「こちらあみ子」

    このお母さん、しんどい道選んじゃったなぁ。障害を持った前妻の子を育て、自分の子は死産。あみ子は全く悪気も無ければ、悪くも無いんだけど、だからこそどうにも出来ない。

    のり君は普通の子だけど、クッキーと墓標の件では可哀想な被害者。
    習字教室にいたもう1人の坊主頭の男の子、この子が「おまえ、くさいよ」と言いつつも意外にちゃんとあみ子と会話してて、引越し前のこの子とのやりとりがすごく良かった。
    だったり、不良兄があみ子のトランシーバーの片割れ持ってたようで、背に夜露死苦とか書かれてるであろう戦闘服を羽織って幽霊から守ろうと現れたとこは、なんかジーンときた。

    でもやっぱり、お母さんは離婚した方が病気治るんじゃないかな?とは思ってしまう。

    「ピクニック」

    まず、初っ端から嘘満載な七瀬。彼氏(芸能人)との馴れ初め語ってるところからもう嘘だなーって思う。

    落とした携帯電話見つけて欲しいって彼女に頼むかな?(1日2日ならまだしも)というのも気になっし、同僚たちは探してる姿を近くで見てるだけだったり、ピーナッツを投げるとか意味不明で、せめて近くまで行って口に入れてあげなよとか思ったり、タモ贈るくらいなら手伝えよとか、腑に落ちない点だらけ。
    寧ろいじめてると疑われた生意気な新人の気持ちや行いの方がしっくりくる。
    暇なのか、日常がつまらないのか、七瀬を使って自分たちの人生を潤わせようとしてるのか。
    七瀬もおかしいけど周りもおかしい、新人さんが1番まともかも。

    何故か、笑っていいともと劇団ひとりが浮かんだ。

    2023/03/04 読了 (図書館)

  • 『こちらあみ子』 
    あたらしい娘 からの改題とのこと
    太宰治賞を受賞作とのこと
    納得。
    『ピクニック』
    あみ子が重かったからか
    こちらはサラッと読み終えてしまった

  • ・こちらあみ子
    あみ子の残酷な純粋さ。そして同級生のあみ子に対する目線とか、あの頃の「違う」ものへの残酷な姿勢。心当たりがあって胸が痛む。
    ・ピクニック
    七瀬さんの話。タレントのげんきくん。
    終始、「七瀬さん 対 他の女達」で話が進むのが印象的。
    川を挟んだ向こう側でドブ掃除する七瀬さんを見ている女達が、その構図を特に顕著に表している
    嫌われていた新人でさえ、最後は他の女達の中に溶け込んでいる、、。

    2本ともに、「違うものへの残酷な姿勢」が共通していた

  • 発達障害であろう主人公「あみこ」の物語。

    障がいのある無しに関わらず、幸せな人生を歩むための教育をしたいと思っていたが
    「人の気持ちがわからない」あみこの行動に、気持ち悪さを感じてしまい自己嫌悪。

    流産した母の誕生日に、死んだ兄弟のお墓をプレゼントしようとする狂気さ…
    そして周りからどんなに引かれていようが、自分の気持ちの向くまま生きているあの感じ。

    作者もよく思いつくなぁ…

  • ちょっと自分には面白さがよくわからなかった。
    あみ子が発達障害の女の子であり、周りに理解がないのがかわいそうだなとは感じた。しかし、あみ子もルミ達も優しい人という事はとても伝わった。

  • こちらあみ子 あみ子、名前かわいい 
           お父さん、如何せんコミュ不足
    ピクニック  怖い

  • 何で読もうと思ったかも忘れてて全く無防備に読み始めてしまったら痛かった。みぞおちにくる。

    簡単に言えば発達障害の女の子の話ってことになると思うんだけど。あみ子を自分とかけ離れた存在として突き放して読める人なんているんだろうか。
    あみ子から見える世界は私も見ることができて、あみ子が感じる混乱は私も感じることができる。知ってる感覚だと思う。
    他方で、両親の絶望も理解できるんだけど、あみ子の現実が淡々と描写されてるだけインパクトが強すぎてそっちに持ってかれてしまう。
    まともに感じてしまうとしんどすぎるから薄目で読んでた反面、悲しみまじりのおかしみもあり、あみ子ワールドに妙な心地良さを感じてもっと浸っていたいとも思う。

    もう一編のピクニックはちょっと入りこめなかったので星4つ。

  • どちらも人をバカにする悪意が見え隠れして、気分のいいものではなかった。
    ピクニックはなんかモヤモヤするし、どーんと暗い気分になる。けど、本からそんな感情を得られるのは嫌じゃない。

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著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。

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