- Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480804303
感想・レビュー・書評
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苦しい。終始周りと交われない あみ子が苦しい。
緩やかに崩れてゆくなかで、1人宙ぶらりんな あみ子。その姿が切ない。
二編目の『ピクニック』も、よかった。
距離感がいい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いやー…もう言葉もない。
今村夏子さん、すごい。もー怖い!
「あひる」が衝撃で忘れられないと話したところ、本好きさん達にあみ子を!あみ子を!と言われて読んだのだけど、ああ…!
あみ子も「ピクニック」も、どうやって書いたのか見当もつかない。
ファンタジーやSFではない、とても現実的な世界。
でも、1時間が61分だったりはするかも知れないし、やっぱり60分かも知れない。
ここに到達するのは、一体どんな道なのだろう。
読み終えた後でタイトルを口の中で転がすと、ズシンと胃の辺りに響く。
こちらあみ子。
次回作(いつだろう…)が、恐ろしいけれど楽しみ。 -
「こちらあみ子」
あみ子は、人の気持ちを汲むことが苦手な子。それ故に思ったことをそのまま口にしてしまって行動して、疎まれてしまう。あみ子自身には悪気はないのに。むしろ良かれと思ってやったことなのに。周りを傷つけてしまう。
弟のお墓の件ではあみ子に対して怒りにも似たような感情を覚えたけど、引っ越しを決めた父親があみ子に対して、鎖骨らへんを、とん、と押してさらにもう一度押して部屋の外に追い出すところでは、これはさすがに可哀そうだとも思った。明らかな拒絶、これはキツイ。
あみ子とその家族、どちらに対しても嫌な感情が芽生えてしまって、ずっとお腹がぎゅうっと締め付けられるような鈍痛がしてました。
引っ越しをすると言った父の言葉は嘘ではなかった。でもそれは引っ越しとは少し違っていた。
これ以上、お母さんもあみ子も、お兄ちゃんも傷つかずに壊れずにいられる方法。
この作者さんはキレイごとでまとめないところがいいですね。
頭ではわかっていても、実際あみ子ちゃんのような子と暮らすというのは家族ですらも相当な精神力と理解力が必要なんだろうなぁ…。
クラスメイトの男の子(のり君じゃない方)、彼の存在がこの話で唯一救われたとこ。
「ピクニック」
最初読んだときはわからず、七瀬さんという風変わりな虚言壁の三十路か四十路の女性のお話なんだなーと思っていたら。
こちらもなんというか、穏やかな話ではなかった。。。
ほんわかした文章だから、真相がみえたときぞわっとしました。 -
今村夏子さんのデビュー作。
「あひる」を先に読んだけれど、こっちの方が好きかもしれない。
あみ子は父親と、兄と、そして習字教室で先生をしている継母と暮らしていた。
無垢で奔放なあみ子の言動は家族を崩壊させ、クラスメイトを苛立たせ、どこにも受け入れられずにどんどん孤立していく。
ただその孤立よりも、もう誰も応答しないおんぼろのトランシーバーに呼びかけ続けるあみ子の描写が痛々しかった。ここでようやくタイトルの切実さに気がつけたと思えました。
唯一まともに言葉を交わしてくれていた坊主頭の男子との、最後のやり取りも強く余韻をひきます。
あみ子の真剣は坊主頭にきちんと伝わった。
やさしくしたい、と強く思うこと。それを言葉にできないこと。
もどかしさは感じたけれど、ようやく救われた気がしました。
書き下ろしの「ピクニック」もまた絶妙に不穏で。
芸人の彼と14年付き合っているという七瀬さんも、それを応援してるまわりのバイト仲間も、どう考えても変だった。
しかしこの話の中では彼女らが常識になっている。
それを訝しがる新人があたかも冷たいかのように描かれる不可解さが面白い。
二編とも忘れられないと思う。 -
この人が勧める本は間違いないと思っている方が、激烈に良かったとおっしゃってたので即座に探しに行きました。
2編入ってますが、どちらもじわじわ痛みがやってきて不安定な気持ちになりました。感情を述べるにあたって思いつく形容詞がうまくあてはまらず、少し時間をあけてもう一度読んでみようと思っています。
2編とも生活の中でふとした瞬間に思い出してしまう話。
妹はこの表紙のペガサスを作った作家さんがずっと気になってて、欲しいと思っているそうです。-
「欲しいと思っているそうです。」
作品集で我慢?
土屋仁応「聞耳の森」(求龍堂)
http://www.kyuryudo.co.jp/...「欲しいと思っているそうです。」
作品集で我慢?
土屋仁応「聞耳の森」(求龍堂)
http://www.kyuryudo.co.jp/shop/shopdetail.html?brandcode=004000000010&search=%CA%B9%BC%AA%A4%CE%BF%B9&sort=2014/05/28
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「こちらあみ子」
生まれ落ちたままの目で見た、あみ子の世界と、外の世界との、差異。おとうとのはか。のり君にあげたクッキー。
悲しいのに、疾走感とコミカルな感じがあった。でも悲しい。
「ピクニック」
やわらかい感じの文章だが、ぷすっと刺されるようにこわい。主観がごちゃごちゃになる文章はこわい。 -
みんな純粋なこどもの心のままでいられたらいいなぁ。
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大好き。全部わかる。出会えて良かった。
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なんだか…せつなくて悲しい物語。だけど、彼女には確固とした自分の内的世界が存在している。それが他者と交点を結ぶことはないけれど。「こちら、あみ子」という呼びかけは痛切。
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あみ子は飄々としていて、気にしていないのか自覚していないのか。でも痛みは確かに在って。
ずるさと好意と嫌悪感の間でゆさぶられているような物語でした。-
「ゆさぶられているような物語」
小川洋子の「人質の朗読会」と同じ、土屋仁応の立体を表紙に使っている。何故か音の無い世界に引き摺り込まれそうな...「ゆさぶられているような物語」
小川洋子の「人質の朗読会」と同じ、土屋仁応の立体を表紙に使っている。何故か音の無い世界に引き摺り込まれそうな気持ちに、、、
実は此の本、文庫化待ち中で未だ読んでいません。。。2013/03/12 -
「まだ作家としてやっていくか決めていません」
そのようなコメントをされたとは、、、奥床しい方なのかな?「まだ作家としてやっていくか決めていません」
そのようなコメントをされたとは、、、奥床しい方なのかな?2013/03/15
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