- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480815118
感想・レビュー・書評
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私もシナモンロール食べながらカフェでノートにひたすら字を書きたい…その意味では「改行なし」がいいんだけど、「一九七二年のラジカセ」「舞台袖」あたりからの、調子が出てきた感じも、すごくいい…。
そう思いながら読んでいたら、3/11の震災の話になった。起きたことをありのまま書く、という形式のものが出版されて、もう、3/11の話が出てくるんだなあ…と年の瀬にそんな気分。
"そのときの自分は、小説を書くことは孤独という言葉を使わずに孤独を書くことだと思っていた。
ーーあとがき詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
吉田篤弘さんが、なんか、とっても変なエッセイを書いちゃってます!(*^_^*)
「つむじ風食堂の夜」で出会った吉田篤弘さん。
ちょっと第一線から引いた人物たちの落ち着いた描写が好ましく、また、装丁家としても著名な方だけあって、それぞれの本の佇まいがとても素敵。
でも、このエッセイを読んでみたら、吉田さんという人はなかなか面倒な(#^.^#)人みたいだぞ、という意外性が面白かったです。
吉田篤弘さんって、良くも悪くも江戸っ子、なんですね。
なんていうか、しゃかりきに何かやるのはご自分の美学に反していて、だから、どうしてもものごとを脇から眺める癖がある。皮肉な人ではないみたいなんだけど、自意識過剰なんじゃないの?なんて思っちゃうほど、自分のことを他人の目で見つめて、恥ずかしがってみたりね。
小学校四年生のころ、一年ほども1人で壁新聞を作り、教室に貼りだしていた、というお話が面白かった。きっかけは、教室に模造紙のあまりがあったので、その大きな空間を文字や絵で埋め尽くしたい衝動にかられたということから、と言われているんだけど、装丁家であり小説家である、今の吉田さんの原点を語るエピソードのように思える。小学生が自発的に壁新聞を作る、ということに加えて、それを良しとしてくれた教室の雰囲気もまたいいなぁ、と。
そういえば、1人でご飯を食べる楽しさの考察、みたいな章もあったけど、吉田さんは基本的に群れることの対局にいる方、なんでしょうね。
「皆の声の輪から逃れ、舞台袖のようなところを抜けて背中で皆の声を聞く」という文章があったけど、そんなご自分がお好きなんだろうな、と、これは悪口ではないんですよ、ホントにそう思うんだから。(#^.^#) -
吉田篤弘さんとの出会いは
「小さな男*静かな声」という本
その時からその世界に引き込まれて、
今に至る。
今回は初エッセイ。
エッセイとはいえ、小説に負けず劣らず、
やっぱり吉田ワールドは全開で
夢か現か、あっち行ったりこっちへ行ったり、
木挽町でお寿司屋をやっていたひいおじいちゃんの話を軸に
江戸や歌舞伎やジョン・レノンや…
あれやこれやで面白かったのに、
突然失速。あれれ?
時期で言うと
ちょうど3月11日の大地震があった時くらい?から
ぐっと落ち込んだというか、
ふわふわしなくなっちゃった、というか
なんだか、なんだろう?
ふざけなくなっちゃって、ねえ。
まあ、たしかに、そうか。
しょうがないか。
あと実際にいる人を出して、
その人が読んだら喜ぶようなことを
書いているところに
私は、ちょっとあざといというか
わざとらしい印象を受けた。 -
曽祖父は音吉さんで、木挽町で鮨屋だった。
吉田音ちゃんを産み出してくださった篤弘さんの初エッセイ。
「圏外へ」で味わったゆるゆる感が漂っていてうっかりまた篤弘ワールドにさらわれて行ってしまうのじゃないかと錯覚。
もったいなくて読んでない「おかしな本棚」をまた自分の本棚から出してみました。「らくだ書房~」の方もまた読み返してみましょう。
地震以降の文章、一緒に泣きたくなりました。
東京お散歩マップ的に読んでも可。
ダイエットの指南本としても可。