- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480842909
感想・レビュー・書評
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「時間をかける、つまり忘却の網をくぐらせることによって、美しいものが生まれる。忘却は美化の原理である。」
この一文だけで、本著の値打ちは決まった。 -
なかなかおもしろい
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知的便秘
知識と思考の量は反比例
思考に最適 三中、三上
馬上、枕上、厠上
原稿は風をいれて、ひととき寝かせてやらないと、うまい推敲にならない
書けば忘れる。メモをとらないほうがいい -
「思考の整理学」の続編ということで興味があり購入。
”な〜んだ。忘れてもいいんだ”と、軽〜い気持ちで読み進めることができる。本に書いてあることを忘れてもいいと思うと、かえってこの本が好きになる。心にやさしい本。
いずれにしても、知識をつめこむだけでなく、時には意識的に整理することが必要なのだと思う。このレビューを書くことによって、ここに書いたことは忘れてしまおう。
この本を読んだことを忘れないように…。 -
最近物忘れがひどくて…40代になると、この言葉が挨拶がわりだ(笑)。
著者も指摘しているように、我々は忘れてしまうことにマイナスのイメージがある。罪悪感を持ってしまうと言ってもいいくらいだろう。それは、受験や試験という記憶力を試される経験を繰り返しさせられてきた結果なのだそうだ。
しかし、忘却は実は大切なもので、むしろ我々の思考にとってプラスの働きがあると筆者は言っている。忘却されることで、余計な情報が整理され、その人なりの新しい発想が生まれてくるのだそうだ。
例えば、自分の研究テーマを話すようなとき、直前に新しい情報を詰め込むのはよくない。むしろ準備などしないでおいた方が、結果として、まとまりのある話ができるという。
というわけで、なかなかユニークな視点の本である。筆者独特の語り口で、豊富なエピソードも紹介されており、実に楽しく読むことができる。そして、そうだそうだと、納得することしかり。
ただ名著『思考の整理学』の続編とあるが、私はちょっと趣が違うように思った。思考の方は、どちらかというと実用書的に近い部分もあったが、忘却の方には、そういうニュアンスはほとんどない。
私としては、思考の方は大学生に、忘却の方は40代以上の方にお薦めしたい(笑)。 -
学校教育において試験とは、往々にして記憶力のチェックである。
記憶力が悪い→点数が悪い→頭が悪い
とされ、悪者のレッテルを貼られてきた「忘却」を
もっとポジティブに捉え直してみようという本。
例えば本の読み方。
「短編と長編・大作では読後感に大きな違いがあるが、それは忘却力の差に根ざしている。
短編は読み始めの部分の記憶が生々しいうちに終末を迎え、読者の受ける印象は絵画的だ。
一方、長編は後半になると初めの方のことが、
時間のスクリーンを隔ててかすかに響いてきて、その重層的印象は音楽的である。
記憶と忘却の交錯したところで心象のメロディーが生まれ、
作品は強い感銘を与える事ができると思われる」
また、
「古い友人との付き合いが味わい深いのは、
忘却によって余計な事は美化されているからだ。
忘却のかなたにあるものは、おしなべて哀切で美しい」などなど。
ふーん、なるほど。一理ある。
長編を読んだ後の、なんとも形容しがたいしみじみした読後感には、
忘却の作用も働いていたのか。
なかなか面白いアンチテーゼだった。
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吐いてから吸う事。 -
知識メタボリックだと分かって焦った