忘却の整理学

著者 :
  • 筑摩書房
3.43
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本棚登録 : 721
感想 : 82
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480842909

感想・レビュー・書評

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  • 417

    2017年では51冊目

  • 「時間をかける、つまり忘却の網をくぐらせることによって、美しいものが生まれる。忘却は美化の原理である。」
    この一文だけで、本著の値打ちは決まった。

  • なかなかおもしろい

  • 知的便秘

    知識と思考の量は反比例

    思考に最適 三中、三上
     馬上、枕上、厠上

    原稿は風をいれて、ひととき寝かせてやらないと、うまい推敲にならない

    書けば忘れる。メモをとらないほうがいい

  • 「思考の整理学」の続編ということで興味があり購入。
    ”な〜んだ。忘れてもいいんだ”と、軽〜い気持ちで読み進めることができる。本に書いてあることを忘れてもいいと思うと、かえってこの本が好きになる。心にやさしい本。
    いずれにしても、知識をつめこむだけでなく、時には意識的に整理することが必要なのだと思う。このレビューを書くことによって、ここに書いたことは忘れてしまおう。
    この本を読んだことを忘れないように…。

  •  最近物忘れがひどくて…40代になると、この言葉が挨拶がわりだ(笑)。

     著者も指摘しているように、我々は忘れてしまうことにマイナスのイメージがある。罪悪感を持ってしまうと言ってもいいくらいだろう。それは、受験や試験という記憶力を試される経験を繰り返しさせられてきた結果なのだそうだ。

     しかし、忘却は実は大切なもので、むしろ我々の思考にとってプラスの働きがあると筆者は言っている。忘却されることで、余計な情報が整理され、その人なりの新しい発想が生まれてくるのだそうだ。

     例えば、自分の研究テーマを話すようなとき、直前に新しい情報を詰め込むのはよくない。むしろ準備などしないでおいた方が、結果として、まとまりのある話ができるという。

     というわけで、なかなかユニークな視点の本である。筆者独特の語り口で、豊富なエピソードも紹介されており、実に楽しく読むことができる。そして、そうだそうだと、納得することしかり。

     ただ名著『思考の整理学』の続編とあるが、私はちょっと趣が違うように思った。思考の方は、どちらかというと実用書的に近い部分もあったが、忘却の方には、そういうニュアンスはほとんどない。

     私としては、思考の方は大学生に、忘却の方は40代以上の方にお薦めしたい(笑)。

  • 学校教育において試験とは、往々にして記憶力のチェックである。
    記憶力が悪い→点数が悪い→頭が悪い
    とされ、悪者のレッテルを貼られてきた「忘却」を
    もっとポジティブに捉え直してみようという本。

    例えば本の読み方。
    「短編と長編・大作では読後感に大きな違いがあるが、それは忘却力の差に根ざしている。
     短編は読み始めの部分の記憶が生々しいうちに終末を迎え、読者の受ける印象は絵画的だ。
     一方、長編は後半になると初めの方のことが、
     時間のスクリーンを隔ててかすかに響いてきて、その重層的印象は音楽的である。
     記憶と忘却の交錯したところで心象のメロディーが生まれ、
     作品は強い感銘を与える事ができると思われる」
    また、
    「古い友人との付き合いが味わい深いのは、
     忘却によって余計な事は美化されているからだ。
     忘却のかなたにあるものは、おしなべて哀切で美しい」などなど。

    ふーん、なるほど。一理ある。
    長編を読んだ後の、なんとも形容しがたいしみじみした読後感には、
    忘却の作用も働いていたのか。
    なかなか面白いアンチテーゼだった。

     
     


  • 吐いてから吸う事。

  • 知識メタボリックだと分かって焦った

  • 今まで記憶すること覚えることを優先してきた。 書いて覚える、読んで覚える。 途方もない時間を使い、覚えることに専念してきた。 忘れるやつは能力の低いやつとの認識があり、常に疎んじてきた。 それがこの本では一巡され、忘却の必要性を重要視している。 まず、忘れ空いた余白に必要な記憶を残していく。 空ける箇所が多ければ、必要な記憶領域も多くなり、より優秀と言うわけだ。 アンチテーゼである。

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著者プロフィール

外山 滋比古(とやま・しげひこ):1923年、愛知県生まれ。英文学者、文学博士、評論家、エッセイスト。東京文理科大学卒業。「英語青年」編集長を経て、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授、昭和女子大学教授などを歴任。専門の英文学をはじめ、日本語、教育、意味論などに関する評論を多数執筆している。2020年7月逝去。30年以上にわたり学生、ビジネスマンなど多くの読者の支持を得る『思考の整理学』をはじめ、『忘却の整理学』『知的創造のヒント』(以上、筑摩書房)、『乱読のセレンディピティ』(扶桑社)など著作は多数。

「2024年 『新版 「読み」の整理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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