もうすぐ絶滅するという紙の書物について

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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784484101132

感想・レビュー・書評

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  • 小口が鮮やかな青で染めてあるド派手かつステキな装丁!

    ウンベルト・エーコは薔薇の名前の作者。
    知と知がぶつかりあって話がどんどん広がっていって面白い。
    本好きな私にはニヤニヤ楽しい読書時間でした(^0^)

  • 高尚なものも馬鹿げたものも、人間の文化であり、知の一部である。書物はそれを自身の存在によって、伝えてくれるツールなのかもしれない。

  • 印象的な装丁の本。手に取らずにはいられない魅力を秘めているようです。
    タイトルも扇情的で、著者が稀代の知識人、ウンベルト・エーコとジャン=クロード・カリエールとなれば、読まずにはいられません。

    エーコとカリエールとの対話形式で、話は進んでいきます。
    タイトルのように、二人とも電子書籍礼讃派なのだろうかと心配しましたが、ある意味逆説的なもので、むしろ紙媒体礼讃派だったので、安心しました。

    出版業界が斜陽となり、電子書籍が日に日に交流してきた現在においてなお、紙の書物の未来があるとあえて語る彼ら。
    そうはいっても、伝統的な紙出版に固執しているわけでもなく、電子書籍を否定してはいません。
    きちんと出版界の現状を把握しているため、さほどバイアスがかかっているようには感じずに読み進められます。

    本の歴史から、さまざまな側面から見た書物、ソフト面とハード面を極度に分けた、趣味人としての視線などが縦横無尽に駆使されて、二人の無限に編み出される知のパラダイムに取り込まれて陶然とするばかり。

    派手なことはまったく書かれていないのに、文章に輝きを感じます。
    そんな古今東西の書物に通じた博識の彼らが、「日本人は携帯電話で小説を執筆し、それを配信したりもしているそうだ」と話題にしていたので、なんだかおかしくなりました。
    ケータイ小説は、ほかの国では不思議に思われることなのでしょうか。

    二人の語りは広範囲に渡り、進行役の司会者も手綱を握りきれずに、どんどん話が拡散していくところに、彼らの肉声を感じます。
    ツルゲーネフとフロベールが文通していたということを、なんだか新鮮に思いました。
    互いの作品も読み合ったことでしょう。

    また、文化の蹂躙・冒涜と言えば、ヨーロッパではまずナチスが連想されますが、それよりもひどいのは、スペインが新世界でやったことだと、熱く語っていました。
    一番たくさん書物を葬ったのはスペイン人とモンゴル人だそうです。

    また、彼ら二人とも非常な古書愛好家で、古書収集談義がノンストップで繰り広げられていました。
    博学多識の彼らですが、それでも蔵書の全てを読んではおらず、読む必要も感じていないと口を揃えて言っていたので、(あの彼らでさえ読めずにいる本があるんだ)と思ってほっとしました。

    小説というよりは書誌学に関する対話。
    著名な作家というよりは、無類のビブリオマニアとしての情熱がほとばしっています。
    とはいえ、本を盲目的に愛しているわけではなく、シニカルな視点からしっかりと貶め、さげすんでいる姿勢も忘れていないのが、また心にくいところ。
    読書は害のない悪習だという説に、まったく同意します。
    めまぐるしく話題が代わり続ける、高速回転の知の空間へと誘われる一冊です。

  • 対談をベースとした内容のせいか、ちょっと内容は発散気味な感じがしたが、稀覯書のマニアックかつ魅力的な世界を垣間見たと思う。あまり本とは関係ないが、現代のあわただしい時の流れをさして、過去がものすごい勢いで迫ってきているのだというのが非常にしっくりときた。今、というときそのものは速くも短くもなっていないのだろうけど、過去の時が押し寄せるそのスピードが相対的に現時点の厚みを薄っぺらくしているのだろう。
    そして本書を読んだ後、昔みた「薔薇の名前」がまたくみたいと思った。

  • 訳されたタイトルが悪い。

    紙の書籍は電子書籍に駆逐されると世間では言われているみたいだけど、出版社としては紙の書籍がなくなっては困るし、そもそも私は紙の書籍が好きだし、ほら、この偉大なる著者たちもそう言ってるでしょと、誤解してしまうタイトルだ。

    何のことはない、本の歴史を振り返りながらつらつらと語っているだけである(ものすごく大雑把に要約しているし、ものすごく失礼な要約の仕方ですね)。
    紙の書籍と電子書籍の対比については語っていないし、そもそも神対電子と二項対立図式でしか考えられずタイトルを訳してしまう、出版社のレベルの低さに呆れてしまう。

    と、タイトルについてばかり批判を加えてしまって、肝心の内容については知的好奇心を擽られたい愛書家の皆様には是非お読みいただきたい一冊です。

    夜な夜なむふふと思いながら読める本です。

  • まるで、公開ディスカッションのビジターになったような感じ。
    タイトルからの漠然としたイメージで、お堅いやり取りが一冊にずっしり入れ込まれているのかと想像していたのですが、さにあらず。
    二人それぞれの書物に対する愛情が伝わってくる話の次に宗教に絡んだ話がきたり‥と、本の中に上げられている目次からは大きく外れたやり取りがズンズン進められている箇所も多々なのですが、そこがまたディスカッションを目の当たりにしているようで、生々しくてワクワクします。
    視野が広角に大きくなって、もっと読みたくなる、知りたくなる断片がいっぱいに散りばめられていると感じました。

  • 2012/3/6

  • (メモ)
    デジタル情報の耐久性

    近代の巨匠崇拝と、前近代のパターン繰返しの文化

    レヴィ=ストロース

  • やっと読み終えました。内容は本好きの博識二人の文化論、書籍論です。二人の書籍収集にかける情熱がよく伝わり、とても楽しく読めました。冒頭部分を除いて本書のタイトルと内容にギャップを感じ、あれっと思っていたのですが、訳者あとがきで原著の直訳が『本から離れようったってそうはいかない』とわかり謎が解けました。内容は直訳のほうがしっくりきますが『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』もとても上手に考えたタイトルだと思います。直訳よりも人目を引きますね。いずれにせよ邦題と中身のギャップに関係なくとても面白い内容でした。ただ本書に続々出てくる歴史上の人物、書籍、イベントに知らないものが多く、もし知っていたならもっと楽しめたのにと思い残念です。東日本大震災の少し前に出版されているのですが、埋め立てた核廃棄物の所在を数千年後の世界に如何にすればに知らしめられるかという議論もあり、自分でもじっくり考えてしまいました。無論答えは出せませんが。また装丁がとても美しく、汚したくないのでこの本のために初めてブックカバーを買いました。

  • この二人のような教養人になりたいw

    それにしてもこの世には色々な本があるんだな♪

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著者プロフィール

1932年イタリア・アレッサンドリアに生れる。小説家・記号論者。
トリノ大学で中世美学を専攻、1956年に本書の基となる『聖トマスにおける美学問題』を刊行。1962年に発表した前衛芸術論『開かれた作品』で一躍欧米の注目を集める。1980年、中世の修道院を舞台にした小説第一作『薔薇の名前』により世界的大ベストセラー作家となる。以降も多数の小説や評論を発表。2016年2月没。

「2022年 『中世の美学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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