- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488010270
作品紹介・あらすじ
青年作家マーカスが独自の調査をもとに書き上げた『ハリー・クバート事件』はベストセラーとなったが……。次々に判明する新事実、終盤展開に読者は翻弄されるしかない!
感想・レビュー・書評
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少しずつ謎が明らかになって来たかと思いきや、それが誰かの証言でぐるんとひっくり返ってしまったり、その人の印象が全然違うものになってしまったり。。
読みながら君もか!とか、あーなんか怪しいと思ったんだー!とか、ここでそれ出てくるかーとか思いながら、殺人事件だけど楽しく?読み終えた。
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話題作の後編です。
面白かった!
1作目が大ヒットした若い作家マーカス・ゴールドマン。
2作目が書けずに苦しんでいるとき、大学の恩師ハリー・クバートが逮捕される。
海辺の町にあるハリーの家の庭で、33年行方不明だった少女の遺体が発見されたのだ。
ハリーは34歳当時、15歳の少女ノラと恋仲で、ハリーの代表作「悪の起源」はノラとの恋愛のことを、年齢差を階級差におきかえて描いたものだった。
過去の事情を調べるマーカスには、町を出て行けという脅迫状が何度も舞い込む。
ノラには秘密があり、関わった人間は実は多かった。
マーカスは有力な容疑者を突き止め、2作目として「ハリー・クバート事件」を書き上げる。
ハリーは釈放され、事件は決着したかに見えたが‥
どんでん返しに次ぐどんでん返し!
と、見返しにあるとおり。
書き込みの説得力という点では、冷静に考えると、いやそれはちょっと、ないんじゃない‥? 私がエージェントなら、ここは書き換えさせる!という点もありますが(笑)
この若さでこれだけの内容をぐいぐい読ませてくれたのだから、大したもんですよ。
先輩作家ハリーとの友情や、新進作家の悩みなどもリアリティを増しています。
作者はまだ若く、デビュー作で評価されたが、その後6年間ボツの連続だったそう。
この作品の後はどうなるでしょうね~楽しみです☆ -
スイス人作家が描く、アメリカを舞台にしたお話。そういう微妙なバランスのズレがずっと付きまとっていた。
新人作者なので荒削りな部分は多い。中身もあまり整理されてなくて、ごちゃごちゃと散らかってる感じ。ミステリというカテゴリながら、ほとんどは作家の苦悩にスポットが当たっている。そこに殺人事件が乗っかっているだけなので、謎解きを期待して読むとムダに疲労する。
途中から『ツイン・ピークス』を連想してしまい、結局そこの枠から出てこなかった。面白くないわけではないが、引っ張ったわりにオチがショボいのでげんなりとしてしまう。映像としてイメージしやすいので、読んだそばから忘れそう。典型的なB級ミステリです。 -
33年前の少女失踪事件を調べる作家マーカスの前に次々と新たな事実が浮かび上がり、今まで見えていた様相がそのたびにがらりと変わる。小さな片田舎で起こった登場人物も少ない事件なのに、後半はどんでん返しにつぐどんでん返しで、読み始めてから最後まで止まらなかった。特に下巻は、翌日が休みの日に読み始めることをおすすめする。
あとから冷静に考えると動機やもろもろ無理な面もあるが、それを補うに足りるストーリーテリングで楽しめた。 -
恩師であるハリーを助けようとするマーカス。少女ノラをめぐる謎はさらに深まっていく。
面白かった。ミステリーとしてのオチは無理がある気がするが、マーカスがハリーから離れ成長していく所や出版業界の事情も描かれており、興味深く読むことができる。
上下巻とボリュームがあるが、スピード感のあるストーリー展開で飽きさせずに読ませる。 -
最後までどんでん返しの連続。
上巻を読み終えて、下巻の図書館の予約が回ってくるのを待ち切れず、本屋の立ち読みで最後まで読み終わった。立ち読みで一冊読み終えたのは人生初めて。それほど面白い小説。
ミステリーとは言うものの、本格的謎解きを期待してはいけない。犯人を知る楽しみが物語の一つの流れだとすれば、オーロラという街の住人はじめ この事件に関係する人々の人生の積み重ねを楽しむのがもう一つの流れといえる。
作者はまだ若いようだが、なぜこのような親子の情の妙や人間関係の綾を描き出せるのか、驚き。
でもミステリーとしてみたら、ご都合主義で荒唐無稽すぎる面もあるので、本格推理が好きな人には これはミステリーではありません と言っておきます。
最後に邦題について一言。原題の直訳である『ハリークバート事件の真実』としたほうが、この作者の意図にのっとっているだろうと思われる。なぜ「真実」を省いたのか理解に苦しむ。 -
読み終わった時のキャラクターに対してお別れする寂しさ、余韻を久々に味わった。
それほど皆が個性的。
いい読書経験でした。 -
恩師ハリー・クバートを救うために始めた事件の捜査と、事件を書くことで自らも作家として復活したマーカス・ゴールドマンだったが刊行後に大きな穴が発覚し、一転ピンチを迎える。
誰からも愛される「ノラ」。しかし穴を埋める作業が進むごとに彼女のイメージは揺らいでいく。天使と悪魔が共存するのはノラだけではなく、無実を証明したハリーはマーカスを突き放すのだが。
ガロウッド巡査部長とのやり取りについクスリとしてしまう。互いに肩をすくめながらも真実を求める目線に彼らの背中からずっと付いて回ってるような気分になる。
後半の怒涛の転回に全体相関図か年表作りたくなる、混乱する、しかしここで手を離すのは嫌だ!
…いや読む方も大変であったよ。
娘を思う父の姿が、うむ。
唯一、あのラストが余計なんじゃないだろうかと個人的には感じたんだが。それはあの人にとって救いにはならないのではないか、な。