- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488023546
作品紹介・あらすじ
父親で所長の浩一郎、長女で短大卒業後、父親の許で女性調査員として働き始めた加代子、次女で美術の方面に進みたい希望を持っている高校生の糸子、それに前作で蓮見一家と親しくなった好青年、諸岡進也…お馴染みの人たちが遭遇する五つの事件。本書は、そこに登場する様々な人間たちの実像に、あくまでも真っ向から立ち向かおうとする彼らの活躍をマサの目を通して語る、初短編集である。
感想・レビュー・書評
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宮部みゆきさんの溢れる動物愛が感じられる元警察犬マサと蓮見探偵事務所の活躍を描く動物ハードボイルド中短編集。用心犬マサが人間に意思を伝えられずにしばしば(柴犬じゃなく)じれったい思いをする場面を読んでとても気の毒な気持ちになりましたね。「マサの弁明」の宮部さんの自虐ネタには苦笑しましたが、やはり「マサ、留守番する」が一番の力作ですね。愚かな人間どもに虐げられる動物達に対して申し訳ない気持ちで一杯になりました。悪い人間が知ったらもっと虐めるでしょうから動物達は実は賢いという事実は秘密のままがいいでしょうね。
用心犬マサの名前を読むと関西人の私はどうしても漫才師のトミーズ雅を思い出してしまいますね。また作中にヤク中毒の芸術家・雅史が出て来たのは、さだまさしファンの私は気分が悪かったですね。『心とろかすような』天使のような悪魔に御用心。『てのひらの森の下で』まだ間に合うから手相を信じて人生をやり直そう。『白い騎士は歌う』最悪の親バカ。正直者が馬鹿を見る世の中が哀しい。『マサ、留守番する』人間と動物が仲良く暮らす平和な世界が続く事を願います。『マサの弁明』これを読んだ刑事が作者を来訪して、なんて事はないでしょうね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小学生が好みそうな文章。
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探偵事務所で飼われている引退警察犬マサが語る短編集その2。
再読だと思うのですが、相変わらずすっかり忘れてたので、楽しく読めました。
マサらぶ♪
陰惨で悲しい話が多いのですが、終始楽しく読めちゃうのはわんこたちのおかげでしょうか。 -
「パーフェクトブルー」続編。元警察犬マサの視点から語られる短編ミステリ。マサの語り口がなかなかに可笑しくて微笑ましいです。
お気に入りは「白い騎士は歌う」。なんともやりきれない物語ではあるけれど、こういうのは好きです。
ラスト「マサの弁明」はなんだかにやりとさせられてしまうなあ……(笑)。遊び心のある一編です。 -
先に読んだのはこちら。
パーフェクトブルーがこの作品の前作だったのですが、図書館で借りられていてこちらを先に読みました。
マサかわいい。これでシェパードなのか…もっと雑種のイメージが湧いてきます。
マサが話せたら、こんなにややこしくならないだろうに…と思う話も。
読んでいて、マサも何かアピールしろよ~とヤキモキしたりしてました。そこがまた面白いのでしょうけど。
これを先に読んだので、前作も短編集だと思ってたら違ってました。 -
面白かったな〜。宮部さんのものを読むと毎度毎度感じる事だけど、子どもの書き方、動かし方、うまいな〜。ヒールでもベビーフェイスでも、うまいなあ。
あとがきで、北村薫とデビューが一緒だったって知りました。今まで知らなかったのが恥ずかしい。そういう事情とは全く関係無く、この作品、北村薫が書いたと言われたら、ホウソウカ、と思うくらい、似てるように思いました。
パーフェクト・ブルーも読んでみなくちゃ!
これは面白いオススメの一冊。 -
短編集。
読んでいて、犯人の動機やそのときの状況に胸がちくちくとするかと思えば、なんとなくほろりときたり。
痛快な勧善懲悪ものではない、限りなく人間臭い「犬」が語る人情物語です。
お休み前の読書タイムに。 -
(収録作品)白い騎士は歌う/てのひらの森の下で/マサ、留守番する/マサの弁明/心とろかすような
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図書館の棚でふと目にとまり、そういえば読んでなかったよなと借りてきた。安心のミヤベ印。もと警察犬で探偵事務所で飼われている犬が語り手という設定も、飄々とした語り口ですんなり入っていける。じんわりぬくもりのある宮部ワールドだが、いつも通りしっかり人間の悪意も書き込まれていて厚みがある。考えてみたら作者は超売れっ子ベテラン作家となっているんだけれど、今でもフレッシュな感じがする。デビューからしばらくこの人からは目が離せなかったのを思い出した。