ダブル・ミステリ (月琴亭の殺人/ノンシリアル・キラー)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027414

作品紹介・あらすじ

名探偵・森江春策が〈日本のモン・サン・ミッシェル〉に聳える館で遭遇した殺人を解き明かす王道の犯人当て「月琴亭の殺人」。元恋人の死をきっかけに、殺人とも事故ともつかない不気味な事件の連鎖に気がついたジャーナリストの捜査行を描くサスペンス「ノンシリアル・キラー」。前者は縦書きの右綴じ、後者は横書きの左綴じ、つまり一冊の本の前からも後ろからも読めるのです――驚愕の解決篇は、本の中央にある「袋とじ」を切ってお確かめ下さい。本格ミステリの極限に挑む、芦辺拓一世一代の大仕掛け!

感想・レビュー・書評

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  • 満潮により閉ざされたホテルでのクローズドサークルでの殺人、連続無差別殺人を追う女性記者のブログ、そして袋綴じの解決編という挑戦的な構成。
    とはいえ、折原一さんでも同じ仕掛けの小説はあったかと思うが、こちらの方が狙いが明確でわかりやすい。なるほどと頷ける。
    惜しいのは、二つ目の中編を読み終わった段階で、一段目の真相がほぼわかってしまうこと。二段構えなので、それでも裏切りはあるが。ミステリとしてはチープとみるか、アンフェアとみるか。どうでしょうか。

  • 左右両開き。どちらから読んでも袋とじで解決。

  • 最初はややドタバタした感じででしたが、途中から謎が深まり、もう一つのミステリも「どうつながるんだろう?」と訝りながら読み進めていました。
    最後には2つのミステリを1つに絡ませて、一気に締めくくっていたのが印象的でした。

  • 人は多面性のある生き物だ。
    同じ人間でも、ある人にとってはこの上もなく親切で善良な人であり、ある人にとっても冷酷無比を絵に描いたように鬼のような人かもしれない。

    「月琴亭の殺人」では、弁護士である森江が偽の招待状で月琴亭におびき出されるところから始まる。
    そこで森江は、かつて苦々しい思いをした裁判関係者と再会する。
    森江の他にも偽の招待状で館に集められたのは5名の男女。
    状況的に大きな密室となってしまった館で殺人事件が起きてしまう。
    「ノンシリアル・キラー」ではある人間が綴るブログに書かれた記事が描かれている。
    電車内のトラブルで死亡してしまった女性にまつわる記事は、ある人への深い感謝と、どこの誰ともわからない人間への怨みが込められていた。
    解決篇では、ふたつの物語を結びつける事実が明らかにされていく。
    善良なだけの人間もいないかわりに、悪意だけの人間もいないのでは・・・と思う。
    理不尽に虐げられた思いは、やがて危険な方向へと人を突き動かしていく。
    どこが?と聞かれると困ってしまうのだけれど、何とも既視感のある物語だった。

  • こっちで悪人があっちでは善人。あっちの事件のほうが不愉快極まりない。

  • 前から読んだら密室ミステリー、後ろからはノンシリアルキラー真ん中のページで解決するという凝った作り。

  • 探偵 森江春策を含む5人が偽の招待状で陸の孤島になる館に集められる「月琴亭の殺人」。
    元恋人の死と連鎖したような事件を追う記者「ノンシリアル・キラー」。

    どちらから読んでもよくて、解決編は真ん中の袋とじに―という面白い仕掛けにワクワクした。(どちらも読んでからでないと解決編に不明な部分が出てくる)
    ミステリー部分は上手く行きすぎな感はあるけど、こういう意欲作はガンガン出されて欲しいな。

  • 吃驚するほど駄作。文章は稚拙だし奇をてらってるだけで人物に深みもない。まるで前衛的だと信じてるつまらない小劇団の旗揚げ公演みたい。
    作者の年齢とキャリアを見て二度吃驚。ウソでしょ。

  • ミステリーの定型に則ったような小説。火曜サスペンスを見ているような。

  • ふたつの不幸な出来事が重なる時…

  • 「月琴亭の殺人」というクローズドサークルものと「ノンシリアル・キラー」というサスペンスミステリを表裏からどちらも途中まで読み進めると真ん中の袋とじが両方の解決編になっているという凝った作りです。一つのミステリを二つの別視点から追うのとどこが違うんだろう?と思いながら読み進めましたが、読み終わってみるとちゃんと違いました。○○的で賛否はあるでしょうが、伏線の張り方等はちゃんとフェアだったと思います。帯の「ただ瞠目せよ! 」という煽りは期待値を必要以上にあげてしまって勿体ないですね。

  • ※図書館

  • 本の前後両方から別々の物語を読み、真ん中の袋とじでその二つが合体した解決編という面白い仕掛け本。後ろから読む話はウェブページという設定で横書きである。
    心意気のわりにミステリとしての驚きは微妙だが、人間の二面性が面白かった。
    これ、電書もあるようだがどうなってるんだろう。

  • ミステリ2作品が前後に分かれて収容されており、解決編は袋綴じ。ミステリ好きには堪らない装丁になっている。
    面白い設定であり解決編もそれに基づいた趣向になっている。意外な犯人ではあるが片方を読んだだけでは解らない点にアンフェア感がある。
    充分に楽しめる内容ではある。

  • 平成29年12月23日読了

  • 「月琴亭の殺人」と「ノンシリアル・キラー」の二本立て……というか、二作品で一つの作品。まさしく一作でダブルに楽しめちゃうミステリです。
    実をいうと、これはそれぞれのパートだけでも事件としては成り立つのだけれど。ミステリとしてはとことんアンフェアです。だからこその、ラストでのあの袋とじなのですねえ。二つの事件が見事に結びついた解決篇にどきどき。なんとなーくというレベルでは二つの事件のつながりがわかったものの、そういう構図になっていたとは。

  • ブクログの献本でいただいた作品です!
    前からも後ろからも読めるのが特徴の本。本自体に仕掛けがあるのが面白いと思いました。
    電子書籍で発売される作品が増えたりしていますが、「ダブル・ミステリ」のように仕掛けがあると本を実際に手に取ってみたくなる気がします。
    物語は面白かったけれど、少し物足りなかった感じが…。けれど、仕掛けのある作品は見ているとワクワクするので、読めてよかったなあと思います。

  • ミステリ。サスペンス。
    前からも後ろからも読める本。折原一さんの『黒い森』を読んで以来。
    前から読むと孤島もののミステリ。後ろから読むと社会派サスペンス。真ん中の解決篇でリンク。
    それぞれの事件は正直たいしたことないが、こういう意欲的な作品は好み。

  • むーん。

  • よくわかんない

     docomoショップ待ち時間で読んだからか、なんかよくわからなかったよ。奇抜な感じなんだがなぁ。残念。

  • メタなんだかメタじゃないんだか…
    前(縦書き)からでも後(横書き)からでも読めますが、読者への挑戦状は前から読みます。なら横書き部分は1ページに収めて欲しかったなあと。
    裁判官国民審査、ってありますけど、あれ真面目にやってる人ってどれくらいいるのかしら。
    あまりにも変な判決出した人とかは、たまーに上記用にSNSで名前が出てきたりしますけど。
    でもだいたい選挙の時には忘れちゃう。あと、あれってどこまで効力あるのかしら。
    というか、あれだ。
    先人が勝手に作り上げたミステリのルールなんかどうでもいいとしか。私は面白い本を読みたいだけなんだから。

  • 発想は面白い。トリックもまあいい。
    ただ、ラストがちょっと強引。
    設定がそうゆうのだから仕方ないけど、
    もうちょっと描きかたが。

  • 【収録作品】琴亭の殺人/ノンシリアル・キラー 
     仕掛けは面白いし、冤罪を生み出す仕組み、男社会の歪さなど、現代社会の問題点が指摘されていて興味深い。ミステリ部分はあっさり。

  • 幻の映画フィルムが発掘され、その上映会を行うと招待を受けた弁護士の森江春策。海上の砂洲の先の島にある「月琴亭ホテル」に着くと他にも4人それぞれ違う招待状で集められていた客が。そして食堂には6番目の席に一人の老人が拘束されていたー【月琴亭の殺人】

    元恋人の磯島健太が死んだ。ライター事務所のINA通信社に行くとリーダーの印南が磯島の勤めていた映像制作会社ファンタスコープの、不幸続きな内情を教えてくれたー【ノンシリアル・キラー】

    ◆右開き、左開きで違う話が進み、真ん中で袋とじの解答編!私初めて!

    もう、その仕掛けだけでワクワクしちゃって、早く裏側も読みたくなってたまらんかった!…んがっ!クローズドサークルがヌルーイし、逃げられるんじゃない?携帯繋がるんデショ?そこにわざとらしくあるものがどうして嘘かも、て確かめないのー携帯繋がるならすぐ調べられんじゃーん…とか。

    でも確かに、「推理ものには登場した人物以外が犯人なんてルール違反!」ったって、誰が決めた、そのルールは(笑)ってやつだわね。本当に事件なんかあったら、その登場人物かどうか警察の捜査でだんだんふるい落とされていくんだもんねー、なんて、事件と謎解きはちょろかったけど仕掛けとリンクは面白くって、犯人よりも犯人が恨んだ奴は…本当に酷いな…恨み晴らしたくなるわ…。

  • 【ネタバレあり】



    前から読んだり後ろから読んだり、解決が真ん中に挟まってて袋とじになってたり、わくわくする構成で読む前からテンションあがりました。
    しかし、構成は極上なのですが、なぜあんな大掛かりな舞台設定が必要だったのかとか、A面とB面が自分の中でうまく一本の線に繋がらなかった部分もありました。最後に碧のブログが公開されたってことは……と考えるとぞわわっときた。
    シリーズものと知ずに読んでしまったので、主人公のキャラがよく掴めなかった。思い出したように関西弁になるのは、そういうキャラなのかな??

  • 小説の構造がうまく行ったかっていうとうーんって感じだなあ。
    二つの作品を単品ずつで読みたかったなあって部分はありますね。
    サイコミステリのは、最後に意外なミッシングリンクが明らかになる本格として芦辺拓の新たな境地を見せてくれそうだったのに。
    まあ、普通に両方面白かったけど。

  • 2016/12/24読了

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著者プロフィール

一九五八年大阪市生まれ。同志社大学法学部卒業。
一九八六年、「異類五種」が第2回幻想文学新人賞に佳作入選。
一九九〇年、『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞受賞。
代表的探偵「森江春策」シリーズを中心に、その作風はSF、歴史、法廷もの、冒険、幻想、パスティーシュなど非常に多岐にわたる。主な作品に『十三番目の陪審員』、『グラン・ギニョール城』、『紅楼夢の殺人』、『綺想宮殺人事件』など多数。近著に『大鞠家殺人事件』(第75回日本推理作家協会賞・長編および連作短編集部門、ならびに第22回本格ミステリ大賞・小説部門受賞)。

「2022年 『森江春策の災難』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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