戦場のコックたち

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027506

感想・レビュー・書評

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  • 戦場で華々しく戦う仲間を支えるための、コックとしての視点から描かれた物語。
    コックとはいえ兵士なので、戦いもするけれど、裏方仕事だからこそ見える戦争について、友や民間人との関わりが丁寧に表現されていたと思う。
    エピローグまできちんと登場人物の行く末を追ってくれていて、読了感が良かった。
    人に薦めたいと思えた一冊。

  • この作家の作品を初めて読ませていただきましたが、これは傑作!作家として自らハードルを上げてしまった作品であり、もっと多くの人に読んでもらいたい作品です。

  • 誇り高き料理人だった祖母の影響で、コック兵となった19歳のティム。彼がかけがえのない仲間とともに過ごす、戦いと調理と謎解きの日々を連作形式で描く、青春ミステリ長編。

    2016年に直木賞、本屋大賞の候補となり、文春ミステリやこのミスでも3位以内に入った作品。文章は読みやすく、戦時中の兵士のことをよく調べている。ただ肝心のミステリが日常の謎レベルで残念。佳作だろうけれど好みには合わなかった。
    (D)

  • 映画「フューリー」と妙にシンクロした。

  • 大いなる期待外れ。

    一言でいうと、戦争物なのに、地味すぎて飽きる。
    100ページ以降は流し読みでした。

    戦争の悲惨さやピリピリした空気も伝わらないし、かといって料理も大したものは出てこない。

    外国の人名と地名のせいかもしれないけど、リズムに乗れませんでした。
    ワザとかもしれないけど、翻訳物みたいな文章だ。

    ミステリーも取って付けたようだし、何でこんなに評価がいいのかわかりません。

    忍耐強くない人は読まない方がいいと思います。

    残念です。

  •  アメリカの田舎町で育った”ぼく”ことティムは、第二次世界大戦の管理部付きコックとして、他の新米兵士たちとヨーロッパの戦場を駆けずり回り、そこで起こった不可解な出来事を仲間と一緒に推理していく。

     食糧の紛失や戦場で目撃される幽霊など、些細な出来事を扱っているので、若いコックが主人公のやさしい語り口のライトミステリと思いきや、謎の発端を探っていくうちに、戦争が引き起こした悲惨な現状が容赦なく浮かび上がってくる、意外と重い小説だ。前作の『オーブランの少女』と同様、暗い闇を優しい語り口で包んでいる。
     悲しい現実を暴き立てるだけでなく、ともに戦場で戦った仲間たちとの友情も印象的で、エピローグで救われた気がする。

  • 臨場感溢れる戦場シーンは海外文学の翻訳小説を読んでいるような世界観!とても濃い内容で、まるで作者が実際に見て経験したようなリアリティに驚くと同時に、作品に引き込まれました。また、戦争が日常化した彼らにとっての”日常の謎”は、作品での戦争の闇をより濃くしています。簡単に命を失う戦場だからこそ、”食べる”という生きるための行為が映えるのだと感じました。自分の持つ戦争や兵役への印象・考えがきっと変わるはずです。ぜひとも一度、手に取って頂きたい作品です!!(学生)

  • 主人公が特殊兵の軍コックになり、戦地で戦友と過ごす日々のなかでふと沸いてきた謎を解決していく様を綴る青春戦記小説です。面白かったです。
    タイトルから受ける印象ほどコックらしいことをしていないなあと最初は思っていましたが、話が進み戦況が悪化するにつれて前の章で出てきた些細な食べ物、飲み物を思い出すことが多くなりました。
    例えばソーセージと林檎をローストしたものだったり、少女につくってあげた芋をラードで揚げてチーズと魚の缶詰をかけたものだったり、敵の兵糧を暖めるシーンだったり、塹壕のなかで飲むあたたかなコーヒーだったり、敵の将校が寒いなか背中を丸めて啜ったブランデーだったり。
    食べることは生きることだと思うので、人が紙切れみたいに死んでいく戦場でこそ食べることは映えるのだなと思いました。
    序盤はまだ軽く、皆でわいわいとやっている様がいとおしかったですがそれだからこそ終盤の悲しさが胸に来ます。
    最後主人公が親友の手を借りて成し遂げた作戦はすごくいいなとおもいました。

  • 本屋さんで手に取った時、その装丁や物語に描かれた舞台から、てっきり翻訳小説だと思った。第2次世界大戦のヨーロッパ戦線なんて、当事国の作家であろうが、日本の作家であろうが、膨大な調査の上に想像力を積み上げていくしかないだろうと、変に納得する。巻末の主要参考文献の多さにも同じく納得と敬服。

    『このミス』2位と、ミステリーとして評価されているが、青春小説として十分読みごたえがあった。僕らの青春にもクラブの仲間がいて、若い感性で物事をとらえ、情熱があふれていた。この小説の主人公の青春には、そこに戦争があり、殺す・殺されるという状況があった。戦争とはいえ人を殺すという経験は年齢を重ねるにつれダメージが大きくなるだろう。失われた命が過ごすはずであった人生を想うと押しつぶされそうになる。
    大戦40年後のおだやかなエピローグは東西体制が崩壊したからこその場面だ。東西体制が崩壊するまでにもどれだけの戦いと犠牲があったことか。その戦いと犠牲にも40年たたないとエピローグは訪れないだろう。

  • 久しぶりに読みごたえのあるものに出合いました。
    序盤のちょっとした謎解きは終盤に起こる大事件の布石だったんですねぇ。

    ミステリーとしても十分驚かされたし、人種問題や、人間の人格を変えてしまう戦争というものの真実を見せつけられた思いです。

    作者はまだ若いのに、まるで見てきたような描写には、驚くほどたくさんの参考文献を読まれてたんですね。

    初めてページを開いた時は、これは難しいんじゃないかと思ったけれど、読み始めたらもうぐいぐいいっちゃいましたよ。(笑)

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著者プロフィール

深緑野分(ふかみどり・のわき)
1983年神奈川県生まれ。2010年、「オーブランの少女」が第7回ミステリーズ!新人賞佳作に入選。13年、入選作を表題作とした短編集でデビュー。15年刊行の長編『戦場のコックたち』で第154回直木賞候補、16年本屋大賞ノミネート、第18回大藪春彦賞候補。18年刊行の『ベルリンは晴れているか』で第9回Twitter文学賞国内編第1位、19年本屋大賞ノミネート、第160回直木賞候補、第21回大藪春彦賞候補。19年刊行の『この本を盗む者は』で、21年本屋大賞ノミネート、「キノベス!2021」第3位となった。その他の著書に『分かれ道ノストラダムス』『カミサマはそういない』がある。

「2022年 『ベルリンは晴れているか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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