真実の10メートル手前

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  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488027568

感想・レビュー・書評

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  • ストレスなく読める。各章、結末を楽しみにしながらワクワク読んだ。

  • フリーライター太刀洗万智さんが出てくる短編集。苦しくなるようなミステリーだけど彼女の存在があって救われる気持ちになる展開だった。

  • ジャーナリスト「太刀洗万智」の取材を通した短編集。私たちが知ることはメディや媒体のうわべだけ。底に隠された真相を知ることは時に痛みを伴う。その痛みを引き受けていく万智の強さを感じた。それが万智の記者としての矜持なのだろう。

  • ミステリ
    かかった時間 2時間半くらい?

    米澤穂信の短編集。太刀洗万智という女性記者がさまざまな事件の裏に隠された真実を明らかにする。本を選んだ理由は短編で読みやすそうだからであり、実際に短編で読みやすかった。暇な時になんとなく読むのにちょうどよかった。

  • 「さよなら妖精」、「王とサーカス」に続く、大刀洗万智シリーズの短編集。
    謎解きだけでなく、大刀洗がジャーナリストとして事件や仕事とどう向き合っているかが各短編の事件を通して描かれており、仕事小説としての側面も感じた。
    また、特に後半の3編では事件の背景や関わった人々の思いの謎が明らかになり、1つ読み終えるごとに起きたことの重みや報道することの功罪を考えさせられ、余韻が残る短編集だった。

  • ★どこかに情報があるという状況は作ることができる。(p.293)
    ▶短編が六編。▶ちいさな理屈を積み重ねて真相に近づく感じです。▶「妖精」も含めこのシリーズにはかなしみが、というか、なんらかのつらさを感じます。▶行方不明の美人広報を捜せ。▶「正義漢」に出てきた友人は誰だろう。▶高校生心中事件でマチと組んだ週刊誌記者は事件の様相が不愉快なものになっていくのを感じる。▶死んだ老人の日記に書かれていた「名を刻む死」の意味は。▶マーヤの兄と思われる人物がある事件、姉の娘を殺したとされている少年の事件を追っているマチと一日をともにする。▶ジャーナリストとは真実とは情報とは。
    【一行目】いつになく早い雪が日本の東半分をまだらに覆った朝が明けて、わたしは名古屋駅にいた。

    ▼簡単なメモ(『さよなら妖精』と『ベルーフ・シリーズ』合わせて)

    【占い】サガルいわく《当たり前だろ。占いは王さまこそ信じるに決まっている。》サーカスp.134
    【噂】サガルいわく《でもタチアライ、この街は噂でできてるんだぜ。みんな噂話が大好きなんだ。》サーカスp.133
    【大貫】「週刊深層」の『真実の10メートル手前』中の「恋累心中」時点での編集長。
    【大庭/おおば】消防団員。「綱渡りの成功例」の語り手の「俺」。マチの大学時代の後輩。
    【加上/かがみ】弓道部顧問。勝つためではなく修練としての弓道を旨とする。よって、高校三年間程度ではそれほどたいしたとこまではいけない。
    【上條茉莉/かみじょう・まり】桑岡高伸と心中したらしい十六歳の高校生。
    【完成】八津田いわく《先ほど、我々は完成を求めていると言いました。ですが、時代の変化や技術の進歩に応じて不断にアレンジが加えられ続けることこそが、既にして完成なのだと言えはしないでしょうか》サーカスp.239
    【カンティ通り】おしゃれなビルが建ち並ぶ現代風の街並み。
    【記事を書く】《記事を書くには三つのステップがある。取材し、設計し、書く。取材する時は、いずれそれを記事に書くのだということは意識しない。それを意識すれば、想定した結論に合う事実だけを取材していくことになりかねない。》《指揮者レナード・バーンスタイン曰く、偉大なことを成すには二つの要素が必要だという。一つは計画。もう一つは時間、ただし不足気味の。》サーカスp.391。《何を書くか決めることは、何を書かないのかを決めることでもある。》《記者は中立であれと言われる。しかしそれは不可能だ。自分は中立だと主張する時、記者は罠に落ちる。》サーカスp.392。《記事は派手にしようと思うところから腐っていくもんだ。》サーカスp.432
    【教師】学校関係の事件が起こったとき教師に直接取材するのは難しい。だいたい教頭を通すことになる。また、教師は一般社会に不馴れな人が多いのでヘンなことになっては子どもが迷惑することもあるので。
    【ククリ】サガルがマチにおすすめとして持ってきたナイフ。反りがあってサーベルのような感じだが刃渡りは十二、三センチなのでまあ小型のナイフと言える。
    【桑岡高伸/くわおか・たかのぶ】上條茉莉と心中したらしい十六歳の高校生。
    【経験】《きょうのことも経験にして、マーヤはまた別のマーヤになる。》妖精p.174
    【月刊深層】マチが仕事を請け負っている月刊誌。
    【結論】マチ《結論はいつも求められている。貴女の言う通りに》10メートルp.171
    【恋累心中/こいがさねしんじゅう】高校生カップルの桑岡高伸と上條茉莉が心中した地名「恋累」にちなみ名づけられた。《この事件は変質しました》10メートルp.132
    【子ども】《あいつはまだ子供だ。切り捨てるということを學んでいない。》10メートルp.192
    【ゴビン】サガルの仲間。トーキョーロッジで働いているようだ。
    【暦】ネパールの暦はビクラム暦。行事等はそれにしたがって行われる。
    【サガル】マチにアンモナイトを売りつけようとした少年。親しくなってガイドも引き受けてくれた。たくましくふてぶてしく目端が利くが少年らしい少年でもある。母は大きなホテルで働いている。父はインドに出稼ぎにいって音沙汰なし。妹たちを食わせていくために働いている。とのこと。
    【下滝誠人/しもたき・まさと】三重県立中勢高校(ちゅうせいこうこう)国語教師。心中したとされる上條茉莉の昨年度の担任だった。
    【ジャーナリスト】マチ《わたしたちは、人々が見たいと思っているものを見せるために存在します。そのために事実を調整し、注意深く加工するのです。それは実際の目が行っていることと同じことです》10メートルp.228
    【週刊誌記者】《時間の余裕がある分だけ掘り下げてねりあげた記事を書くというのが、週刊誌記者の誇りだ。》10メートルp.136
    【シュクマル】同じ宿の客。インドから来て、食器を売り、絨毯を買っていく。いつも電話をかけてるか通信している。
    【取材】《わたしが、知りたいからだ》サーカスp.223。ラジェスワルに聞かれたときなぜそう答えなかったのか不思議やなあと思った。しょせんはエゴなんやろうから開き直ってもいいんではと。《なぜ書くのか、答えられません》サーカスp.233
    【情報】マチ《わたしが記事を書いても影響は知れているけれど、どこかに情報があるという状況は作ることができる。》10メートルp.293
    【白河いずる/しらかわ・いずる】温かな印象。旅館「きくい」の娘。一時期マーヤと一緒に暮らした。
    【真実】ラジェスワル《真実ほど容易くねじ曲げられるものはない。あるいは、多面的なものはない。》サーカスp.194。ラジェスワルさんって最初の印象よりずいぶんちゃんとした人や。マチ《真実とは、そうであってもらわねば困る状態のことなのです。》10メートルp.226。事実と真実は異なるもの。
    【信念】ラジェスワル《確かに信念を持つ者は美しい。信じた道に殉ずる者の生き方は凄みを帯びる。だが泥棒には泥棒の信念が、詐欺師には詐欺師の信念がある。信念を持つこととそれが正しいことの間には関係がない》サーカスp.196
    【新聞社の資材】藤沢「空振りは覚悟してます」10メートルp.13
    【セルロティ】ドーナツに似ているが輪としてしっかり繋がってはいない。シナモン風味。
    【田上良造/たがみ・りょうぞう】遺体で発見された。息子は田上宇助(うのすけ)。彼によると良造は《自分以外はクズにしか見えない病気だったんだ》10メートルp.180
    【太刀洗万智/たちあらい・まち】『妖精』の探偵役と言え物語開始時にはすでにおおむねわかってしまっていた。マーヤのことは忘れたい。あだ名は「センドー」。ルックスは良い。背が高く切れ長の目で他者からはいつも厳しい表情に見えるらしいがそれほどたいしたことは考えてないことも多い。白河いわく「でも、懇切丁寧な万智って想像できないな」妖精p.162。『サーカス』では主人公の「私」。《太刀洗さんは説明抜きにどんどん仕事を飛躍させる人ですから》10メートルp.36
    【館川/たてかわ】甲府のタクシー運転手。
    【タメル地区】旅人が集まる繁華街。
    【探偵】ビュトールの『時間割』だったか、ミステリのラストは探偵による犯人の殺害という最後の事件で終わると書かれていたと記憶しているけどジャーナリスト=探偵ならばジャーナリストもどこかで殺害を犯しているのかもしれない。マチの悩みはその辺だろうけど探偵の記録を読者もまた楽しみ殺害に加担することになる。
    【チャメリ】トーキョーロッジの女主人。肌の色が白い。
    【チャンドラ】刑事。バランとともにマチのボディガードにつく。
    【ツルナゴーラ】ユーゴスラヴィアのレプブリカ(州みたいな感じ?)のひとつ。実は日本とは戦争中。開戦はしているが終戦の調印がなされていない。
    【都留正毅/つる・まさたけ】「週刊深層」の記者。フリーライターになっているマチがコーディネーターとして一緒に仕事をすることになった。
    【ディペンドラ】王子。王宮での殺人事件の犯人とされるが解せないところが多い。恋人のデブヤニ・ラナとの結婚を王や王妃から反対されていた。
    【東京の緑】《街路樹は非常に多かったが、その緑には安らぎよりも、どうしても緑色が必要なのだという強迫観念のような印象を受けたものだ。》10メートルp.196
    【東洋新聞】「真実の10メートル手前」でマチが所属する新聞社。おそらく『王とサーカス』以前。
    【時】二〇〇一年。『王とサーカス』は『さよなら妖精』から十年後。太刀洗万智二十八歳。
    【戸田/とだ】都留と顔見知りの雑誌記者。
    【戸波夫妻】長野県南部の大雨による土砂崩れから救出された。夫婦ともに七十歳を超えている。
    【ナラヤンヒティ王宮事件】現実に発生した事件。この物語の背景。犯人とされるディペンドラは自殺にしては不自然だし弟王子のギャネンドラは他の場所にたまたまいっていたしその息子のパラスはじめギャネンドラ一家は誰も死ななかったらしいしいろいろ謎は多いが謎のまま結局ネパール王制は終焉を迎えることになったようだ。ロブいわく《ちくしょう。こいつは家のソファでみていたかったな。面白くなってきたのに……近すぎる!》サーカスp.150
    【額田広安/ぬかた・ひろやす】路行の友人。弓道部員。陽気なタイプ。
    【パシュパティナート寺院】ネパール最大のヒンドゥー教寺院。誰もが人生の最期にやって来る。
    【場所】カトマンズ。ネパールの首都。ヒマラヤ登山の入り口として有名。元は湖の底だったが水不足に苦しんでいる。英語が通じる。ネパールでは食事は朝の十時頃と夜の七時頃の二回なのだとか。
    【早坂一太/はやさか・いちた】フューチャーステア社長。
    【早坂真理/はやさか・まり】フューチャーステアの美人すぎる広報として露出度が高かった。社長の早坂一太の妹。
    【早坂弓美/はやさか・ゆみ】一太、真理の妹。名古屋のアパレルメーカー勤務。
    【バラン】刑事。チャンドラとともにマチのボディガードにつく。人に命令することに慣れている感じ。
    【春橋誠/はるはし・まこと】三重県立中勢高校物理教諭。心中したとされる桑岡高伸と上條茉莉の部活(天文部)顧問だった。にやにや笑いの軽い調子でインタビューを受けた。
    【悲劇】ラジェスワルいわく《お前の心づもりの問題ではない。悲劇は楽しまれるという宿命について話しているのだ。》サーカスp.200
    【檜原京介/ひのはら・きょうすけ】中学三年生。田上良造の遺体の発見者。父親は檜原孝正(たかまさ)で彼が警察に連絡した。
    【ビレンドラ】国王。ディペンドラ王子に殺された(とされている)。民主化を進め国民からは好感を持たれていたようだ。
    【藤沢吉成/ふじさわ・よしなり】東洋新聞大垣支局のカメラマン。新人なので記者修行もしている。
    【藤柴市】『さよなら妖精』の舞台。
    【普段】マーヤいわく「まちさん、わたしたちはいつも、普段の姿を見たいと思います」妖精p.87
    【文原竹彦/ふみはら・たけひこ】弓道部員。落ち着いている。いくらかストイックな雰囲気。よけいなことをあまり考えない。《結局は身体だ》妖精p.185
    【フューチャーステア】ベンチャー企業。「真実の10メートル手前」開始時の四日前に経営破綻し社長の早坂一太と妹で広報だった早坂真理が姿を消した。
    【ポピュラー】《ごく単純で素直に納得できるからポピュラーと呼ばれる。》妖精p.19
    【マーヤ】『さよなら妖精』のヒロイン。守屋、白河、太刀洗、文原の共通の友人。ユーゴスラヴィアの人らしい。好奇心旺盛。「哲学的意味がありますか?」。『王とサーカス』で名前は出てこないが記述はある。
    【マーヤの友人】マーヤの兄と思われる人物ヨヴァノヴィチがマーヤと思われる妹の言葉を思い出す。《日本に友人ができた。純真な者や正直な者、優しい者が彼女の友になった。そして、センドーと呼ばれていた少女は、とても恥ずかしがり屋だったという。》10メートルp.249
    【牧野】「月刊深層」の『王とサーカス』時点での編集長。
    【マチ】→太刀洗万智
    【街】サガルいわく《子供と歩けば子供の街、坊主と歩けば坊主の街さ。どこでもそうじゃないのか。》サーカスp.79
    【間違い】「最初は間違いでも、だんだん本当になったのよ」妖精p.167
    【松山花凛/まつやま・かりん】殺されたとされる三歳の少女。母は松山良子(よしこ)、二十歳。殺したとされているのは十六歳の松山良和(よしかず)、良子の弟。
    【馬淵/まぶち】弓道部員。
    【守屋路行/もりや・みちゆき】『さよなら妖精』の主人公。当時太刀洗万智も含め高校生。弓道部員。人づきあいは悪くなく友人はそれなりにいるが、休日に一緒に出かけるというほどではない。文原いわく《お前がなにかに打ち込んだり夢中になったりしているところが、想像できないってことだよ》妖精p.92。『王とサーカス』では名前も記述も出てこないがいつかマチと対峙することがあるのだろうか?
    【八津田源信/やつだ・げんしん】同じ宿の客。僧侶の姿。最初は日本人とは思っていなかった。すでに長い間カトマンズにいるらしい。五十九歳。
    【宿】カトマンズでマチが宿泊した宿はトーキョーロッジ二百二号室。四階建ての古い安宿だがそれなりに清潔できっちり管理されている。
    【ユーゴスラヴィア】マーヤの国。六つの国が集まって七つ目の国をつくろうとしている。
    【ヨヴァノヴィチ】明確な記述はないがほぼ確実にマーヤの兄と思われる。政府機関に属していたが今はイタリア系企業のために働いている。仕事の合間ではあるがマチに会いに来た。
    【吉田】カトマンズで天ぷら屋を営んでいる。八津田は常連。
    【ラジェスワル】准尉。サガルによるとチャメリを口説いているとかインドのスパイなんだとか。
    【歴史個人】雑誌のようだ。田上良造が読んでいたかもしれない。
    【ロバート・フォックスウェル】『王とサーカス』でマチと同じ宿の客。通称ロブ。アメリカ人。二十歳。ある時点から部屋に引きこもっている。

  • 記者である大刀洗を中心にした短編集。
    とても読みやすく面白い。
    ドキドキハラハラするというよりはじっくり謎を追いかけていく面白さ。

  • = 真実の10メートル手前

    急成長したベンチャー企業の経営が破綻し,その責任を問われた創業者の姉(?)が失踪。
    新聞社の記者,太刀洗万智がその妹から依頼されて,失踪した姉の所在を探る。
    少ない手がかりから居場所を特定し,前夜に食事をした店まで突き止めるも,
    その夜の内に店近くの路上の車内で,排気ガス引き込みによる自殺をしているのを発見する。

    = 正義漢

    電車内で迷惑行為をしていた男がホームから突き落とされて死亡。
    太刀洗万智が,犯人の正義漢を利用して,犯人をおびき出す

    = 恋累心中

    高校生の男女が遺書を残して心中を図る。しかし,死体の発見場所が離れていることから
    単純な心中ではないことを見抜き,背景にある親族による強姦事件と
    政治家への爆弾送付事件とを結びつける
    真相は,高校教師が黄燐による発火装置を作成して送りつけたものの,
    黄燐の管理の監査が入ることを恐れ,心中をしたい高校生に黄燐を自殺のための
    薬物として使わせた。
    黄燐は毒性が強いが,即効性がなく,死に至るまで苦しむことになった。

    = 名を刻む死

    一人暮らしの老人が死んでいるのが発見された。
    老人は近所とのトラブルの耐えない人物だった。
    発見者は近所の高校生で,老人が自分の父親に雇用を懇願していたにもかかわらず
    父が断ったことが,死に繋がったと考えて悩む。
    それは単に老人が,無職のまま死にたくないという,
    勝手な思いによるものだった。

    = ナイフを失われた思い出の中に

    姉の娘を刺殺した罪で,男が逮捕される。
    実は男は姉が殺したと思い込み,それを庇うために自分がやったと主張していた。
    しかし,真相は,ロクデナシの姉弟の父親が金をあさりに来た時に殺したものだった。
    ユーゴスラビアから訪れた男へ,太刀洗万智が事件を説明する形で話が進む

    = 綱渡りの成功例

    土砂崩れの中から救出された老夫婦。せっかく助けられたのになぜか悩んでいるふうなのは,生き延びるために,死亡した隣家の冷蔵庫を利用していた罪悪感による
    ものだった。
    僅かな手がかりからそれに気付いた太刀洗万智が,老夫婦から告白を引き出す。
    それは,真実を話したいと望んでいた老夫婦の願いに沿うものだった。

  • 事件記者のミステリー短編集
    謎解きの展開が早いので飽きることがない
    事件記者の設定でシリーズ化されているので、ルポを読む感覚で楽しんだ

    ◆ 真実の10メートル手前
    企業広報の責任者として顔が良く知られていたベンチャー企業の創業者の妹
    会社の経営が頓挫し、行方不明になっていた
    残された会話の謎解きで跡を追うと10メートル手前で追いつけず、自殺していた

    ◆ 正義漢
    朝の通勤時間帯、中央線 吉祥寺駅で飛込み自殺
    電車の運行は見合わせ
    乗り合わせていた記者が、自殺ではなく、突き落とした犯人がいるはずと、犯人を誘き出す

    ◆ 恋累心中
    高校生の心中は、実は他の事件とも関連した殺害だった

    ◆ 名を刻む死
    孤独死した男が求めていたのは、 肩書きだった
    そして息子はその父を見殺しにしていた

    ◆ ナイフを失われた思い出の中に
    アイザック・アシモフの「黒後家蜘蛛の会」を源流とする、暗号ミステリー

    姉の幼い子供を殺害したとして逮捕されたのは未成年の弟だった
    謎解きを進めると殺害したのは、殺された幼な子の祖父だった

    ◆ 綱渡りの成功例
    集中豪雨で山間部の家が崩落で潰され、一軒の老夫婦が取り残されていた
    救助の成功までをテレビで連日報道されていた
    記者が謎解きをするのは、この二人の心に引っかかっていたものだった


  • ジャーナリスト、大刀洗万智が出会った事件の活動記録。収められている6つの短編のどれもがあまり気持ちの良い事件ではないけれど、読みつないでいくと大刀洗の記者という仕事の重さ、誇り、仕事との向き合い方などがずしんとくる。話それぞれは短くて読みやすいのに読後感は決して軽くない。彼女が主人公の話もまた読みたい。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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