未来のイヴ (創元ライブラリ) (創元ライブラリ L ウ 1-1)

  • 東京創元社
3.79
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本棚登録 : 857
感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488070045

感想・レビュー・書評

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  • この本はSF小説でありながらも「恋とは何か?」について真剣に問いている作品であり、美しい見た目をしているのに中身が残念すぎる「黙っていれば百日紅」な人を見ると「自分ならもっと綺麗に彼女を演じることが出来るのにな」と思うところに深く共感した。
    現代でリメイクされるのだとしたらE郷とナタリーとほのぼのとした二次創作が多く産まれるのではないかと思うほどに切ない終わりかただった。

    エジソン...とんでもないもん作りやがって...

  • だいぶ前に読んだ。エジソンなどが登場していた記憶がある。

  • 3.77/779
    『輝くばかりに美しく、ヴィナスのような肉体をもつ美貌のアリシヤ。しかし彼女の魂はあまりに卑俗で、恋人である青年貴族エワルドは苦悩し、絶望していた。自殺まで考える彼のために、科学者エディソンは人造人間ハダリーを創造したが……。ヴィリエ・ド・リラダンの文学世界を鏤骨の名訳で贈る。正漢字・歴史的仮名遣い。解説=窪田般彌』(「東京創元社」サイトより)


    原書名:『L'Ève future』
    著者:オーギュスト・ヴィリエ・ド・リラダン (Auguste Villiers de l'Isle-Adam)
    訳者:齋藤 磯雄
    出版社 ‏: ‎東京創元社
    文庫 ‏: ‎492ページ

    メモ:
    松岡正剛の千夜千冊 953 夜

  • 19世紀にアンドロイドを題材にしたSFの先駆であると同時に、格調高いフランスの恋愛小説でもあるといえる名作。
    正漢字・歴史的仮名遣いは調べないとわからない漢字も多いがじきに慣れる。古臭い文体はかえって本作の雰囲気を香り高いものにしており、『読みにくい、だがそれがいい!』という感じで味わい深かった。
    アンドロイドは理想の女性たりうるか、という命題は今やリアルに迫りつつある。科学は恋愛を救うのだろうか?これからの時代人々は、自分自身も含めて、本作を何度も紐解いては考え続けるに違いない。

  • 4年越しに読了した本。いやー長かった……。

    「アンドロイドの女性とキャッキャウフフする」話だと思っていたが、実際は「アンドロイドの女性を創る」話だった。
    昔の男性にありがちな、女性に知性を認めない感じが一貫していてやや気になるが、その点で一々めくじらを立てていても仕方がないのでとりあえず放っておく。……いや、この点はこの作品の本質にかかわる部分だとは思うが……。

    エディソンの言う「証明」を尽くした先にできたものが証明できないものを含んだアンドロイドだったことは、示唆に富む。
    一方で、作品全体に流れる「神への信仰」が、科学主義(科学崇拝)に対する揶揄の拠り所だと読み取るならば、人間というものは何か超人的なものにすがっていないと生きていられないという普遍的な話に着地するのかもしれない。

    私としては、ハダリーには最初から一貫して彼女固有の魂があったと思いたい。
    エディソンはハダリーは自由に話せない、予めプログラムしたことしか話せないというようなことを言っていたが、実際にはハダリーはプログラミング以外のことを話していたように思える。また、ソワナの意思が干渉しているが、この程度は分からない。
    いずれにしろ、ハダリーを創りあげたのはエディソンだが、ハダリーはエディソンの意図を超えたものとなったのだと思う。それがまさにアダムとイヴで、彼らと同じく、創造主の意図を超えて知恵をつけてしまったのだ(創造主の意図を「超えて」などというと怒られそうだけど)。楽園追放の代わりに海の藻屑と化したハダリーは、ただただかわいそうだが。

    この作品は、19世紀のヨーロッパを舞台にした、キリスト教的な思想の下に、男性が書いたもので、それを読む私は時代も舞台も宗教的も性別も何から何まで異なる(ついでに私は没落貴族でもない庶民の子)。
    作者リラダンがハダリーの魂についてどう考えていたかは分からないが、私は、ハダリーに魂があったと思う。人間と同じような魂があったかは分からないけど、アンドロイド固有の在り方の魂が、あったと思う。同じように、ミス・アリシヤ・クラリーにも魂はあったのだから、あの世で楽しくおしゃべりしていたらいいなと思う。

  • 美貌のGFの魂の非俗さに絶望して理想的なアンドロイドを作る。この手のSFの原型。作るのがエジソンって?

  • 未来のイヴ (創元ライブラリ)

  • ハダリー「人間ごっこを続ければいいわ!」

    に、人間ごっこ……!

  • 恋人アリシヤのヴィナスのような肉体、耀くばかりの美貌、しかしその魂のあまりの卑俗さに英国青年貴族エワルドは苦悩する。自殺まで考える彼のために、科学の英雄エディソンはアリシヤの肉体から魂を取除くことを引受け、人造人間ハダリーを創造する。
    齋藤磯雄による鏤骨の名訳。正漢字・歴史的仮名遣い。


    なかなか読み切ることが出来なかった最大の要因は…正漢字・歴史的仮名遣い
    慣れてしまえばどうということはないのですが、最初はついていくのがやっとでした。
    この作品が発表されたのは1886年…つまり、今から125年前なのですよ。
    それでも決して色あせない魅力があるからこそ、攻殻機動隊の「イノセンス」に多数の影響を及ぼしたのでしょうね。

    「イノセンス」で原因不明の暴走をした少女型の愛玩用アンドロイドが「ロクス・ソルス社製 Type2052 “ハダリ(HADALY)”」。
    この“ハダリ(HADALY)”こそが、本書で発明家エディソンの手によって作られた人造人間であり、古代ペルシャ語で「理想」を意味するものです。


    エワルド卿が追い求めた理想、エディソンの探究心、そしてなんとも不可思議なハダリー。
    現実世界において、効率的であることや当世風であること以上に大事なことがあり、それは人間の魂の根源に大きく関わっているものだと思います。

  • SF

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