死体は嘘をつかない (全米トップ検死医が語る死と真実) (創元ライブラリ)
- 東京創元社 (2021年1月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488070809
作品紹介・あらすじ
男は黒人少年を射殺した犯罪者なのか、正当防衛で発砲した無実の市民なのか。それは死体の傷口から一目瞭然である――。オバマ大統領が声明を出すほどに全米を揺るがした大事件の真相とは? 男児三人は悪魔崇拝者に殺されたのか? 四十五年、九千以上の事件を検証してきた練達の検死医が語る、知られざる検死の世界。法医学的に鮮やかに明かされる数々の事件の意外な真相から目が離せない、傑作ノンフィクションが文庫化!
感想・レビュー・書評
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ノンフィクションはあまり好まないのだが、ゴッホの死の真相を知りたくて手に取った一冊。その章だけでも読む価値はあると思う。
実際に手がけた案件+自伝的な要素も少しあり。
ドラマのような劇的な展開や、すっきりした結末とはほど遠い現実が描かれていた。アメリカの制度の問題、検死官と検死医(病理医)の違いなども書かれていて興味深かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ヴィンセント・ディ・マイオ&ロン・フランセル『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』創元ライブラリ。
45年にわたり9,000件以上の事件を検証してきたという検死医が扱った幾つかの事件を描いたノンフィクションらしい。アメリカ版の上野正彦といったところなのだろうか。
読んでみると本当につまらない。事件の結末に正義を感じられなかったり、非論理的なアプローチで事件に決着が着いたり、何故今さらオズワルドやゴッホの遺体を解剖するのかなど疑問符だらけのトンデモな内容。上野正彦の著作のレベルを期待したら大間違い。著者の父親と自身の経歴やら略奪愛でモノにした女性と結婚したとのだとか自慢話と要らぬことばかりが仔細に描かれている。読んでみると、アメリカが如何に非常識で野蛮な国なのかがよく解る。
コンビニに買い物に行った黒人少年が正義感の強い白人男性に射殺された事件。最初に激しい暴力を振るったのは黒人少年で、白人男性は正当防衛を主張し、検死医もその状況に矛盾が無いことを立証したことから無罪となる。日本だったら白人は最低でも過剰防衛で間違いなく有罪になるだろう。未だに銃社会を正当化し続けるアメリカの病んだ一面が垣間見える事件だ。
乳幼児の連続変死事件の顛末。女性を犯人だと示す法医学的なアプローチが何も描かれておらず、犯人である確率がかなり高いことを示したところで、それが証拠になるのだろうか。全くアメリカという国は解らぬ。
本体価格1,200円
★★ -
これまで幾冊か読んできた法医・検死関係の書物を超えることなく、感新たにすることなく読了。著者の、自分も一族も皆んな凄い優秀なんだぞ、という鼻もちならない感が溢れ、文章も読みにくかった。
凄惨な事件も起きているとはいえ、酷い人種差別も銃も無い日本に生きていて良かったとつくづく思う。 -
犯罪を扱う媒体では今やお馴染みの存在。
それにしても科学技術が進歩する前の警察官は大変だっただろうなぁとしみじみ思ったり。
女性の看護師さんが嬰児を殺していくという話は聞いたことがあったなぁ。その時は恐ろしいと思ったけど。
ただ、この作者は死体から検出された薬物があった事実で犯人を決めつけている気がするけどどうなのかな、それは。結局は状況証拠だし。その女性の周りに不審死がありすぎるのは確かにそうなのかもしれないけれど…本当に?と思わなくもないな~。
最初の黒人の少年が殺された事件も、不幸な出会いだった、という結論で片付けるのはちょっと乱暴なような。銃を所持していたから白人男性は少年を追いかけたのだろうし。それを正当防衛というのはちょっとなぁ…。
という訳で随所に作者の特権意識というか、差別意識みたいなものを垣間見えて途中で飽きてしまいました。こんなひどい殺人犯が、しかもその残虐な犯罪を犯したのは女だった、みたいなね。まぁ女性の殺人者の方が統計的に少ないから記憶に残っているのかもしれないけど。という訳で半分ぐらいまで読んで読み切る気力がなくなってしまいました。
今は防犯カメラが捜査の一番のお役立ちグッズな気がします。Big brother is watching youが当たり前になってきたのも時代なんだろうなぁ。