- Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488187125
作品紹介・あらすじ
2002年、シエラレオネで5人の女性が殺害された。元少年兵3人が起訴されるが、記者コニーはイギリス人のマッケンジーを疑っていた。2年後、バグダッドで彼に遭遇したコニーは拉致監禁されてしまう。解放時、彼女はほぼ無傷なうえ曖昧な証言ばかりで監禁中の出来事を警察に話さない。何を隠しているのか? 圧巻の心理描写と謎解きの妙味を堪能できる、英国ミステリの女王による渾身のサスペンス。解説=松浦正人
感想・レビュー・書評
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大好きなミネット・ウォルターズも本作含めて残りあと2冊となってしまいました
次がラストってことですな
うーん、なんとかならんかね?
未訳作品がまだ残っておるのだよ
創元社さん頼むよほんと
今作はちょっとごちゃごちゃし過ぎかな?って思いました
またいつものミネット作品にある終わり方の爽快感も少し控えめ
なのでちょっと不満
だけどやっぱり魅力的な女性を描かせたら当代随一!これは間違いない!(ビシィッ)
この魅力的な女性が恐怖と向き合い勝利を収めるってのがミネット作品ですと言い切ってもいいくらい
だから、むしろ男子に読んでもらいたい
もしわいが「委員長」ってあだ名の中二女子だったら、学級会とかで「ちょっと男子がうるさくて会が始められませ〜ん。男子は静かにしてくださ〜い。あとミネット・ウォルターズ読んでくださ〜い」って言っていたと思う
良かったな、中二女子じゃなくて -
英国ミステリの女王ミネット・ウォルターズの作品。
誘拐された女性記者が立ち向かったのは‥?!
コニー・バーンズはロイター通信の記者。
アフリカのシエラレオネで連続暴行殺人事件が起き、犯人は逮捕されたが、コニーは傭兵のマッケンジーに疑いを抱く。
後に、コニーは何者かに誘拐される。
当時、記者が誘拐される事件は相次いでいて、解放された後にマスコミに多くを語る女性もいた。
コニーはほとんど語らずに帰国し、不審に思われながら田舎の村に身を潜める。
国際的な状況を背景に、実はアフリカ生まれの女性であったりと、これまでになく視野を広げた設定。
後半は小さな村の古い屋敷の中に、事件が収束していきます。
何一つ証拠がなく、おそらく脅迫もあったために、コニーは一切を語らず、マスコミや警察にさらにボロボロにされることを避けたのでしょう。
借りた屋敷は予想よりも村はずれにあり、ネットさえ繋ぎにくい。その無防備さは、ほとんどホラー。(いずれ傭兵マッケンジーが来ることを思うと‥)
隣の敷地で農園を営む女性ジェスが、何かと様子を見に来てくれる。
中性的で年齢不詳な外見で、村人からはほとんど相手にされていない変わり者。
屋敷の持ち主の老婦人リリーの面倒も見ていたらしいのだが‥?
ジェスを煙ったく思いながら、だんだんと心を通わせるコニー。
リリーとその娘、ジェスとの間に何があったかも次第に明らかに。
コニーは事情を解明していく過程で、恐怖に打ちひしがれていた状態から回復していきます。
平凡な村で起きた誤解や無関心の恐ろしさ。
アフリカでの事件とはまったく異質な‥この対比がすごいです。
いや人間の起こす事件としては、通じるものがあるのかも。
新鮮な切り口ですが、ミネット・ウォルターズの過去の作品のモチーフも、長年の読者の目にはちらほら散見します。
抑えているようで実は熱っぽい。
最後はたたみかけるような怒涛の展開に。
結末は明快にはしませんが、何が起きたかは十分わかります。
うねるような勢いが魅力的で、面白かったです☆ -
中編集『養鶏場の殺人・火口箱』を読んでから、少しこの作家への見方がぼくの方で変わった。≪新ミステリの女王≫と誰が呼んでいるのか知らないが、この女流作家はミステリの女王という王道をゆく作家ではなく、むしろ多彩な変化球で打者ならぬ読者を幻惑してくるタイプの語り部であるように思う。
事件そのものは『遮断地区』特に強く感じられるのだが、時代性と社会性を背景にした骨太のものながら、庶民的な個の感情をベースに人間ドラマをひねり出し、心理の深層を描くことにおいて特に叙述力に秀でた作家なのだと思う。
本書はミネット・ウォルターズとしては最もページ数を費やした大作長篇であるのだが、種火は西アフリカ、シエラレオネでの連続女性暴行殺人事件。ヒロインはそれを取材していた英国人女性。さらに舞台は米軍兵士によるイラク人捕虜虐待の映像が世界中に衝撃をもたらしている渦中のバグダッドに移り、ヒロインはいきなり連続誘拐事件の被害者の一人となる。
しかしここで誘拐の実態は語られることがない。ヒロインはいち早く三日間で釈放され、本人は英国ドーセット州の田舎町に隠遁者のように居を移しそこでの生活を語り始める。
そして連続殺人鬼と目される戦時暴力の申し子であり、傭兵として歪んだ生きざまを歩いているらしき一兵士の足音が刻々と彼女に迫る。誘拐事件の真相は何だったのか? 誰に誘拐され、何故に釈放されたのか、そして彼女の沈黙の意味は? こうした謎を引きずりつつ、ドーセット州での家主や隣人のもう一つの田舎の事件を彼女は探偵のように探ってゆく。
個性ある人物の配置はいつもながらであるが、田舎町そのものの個性を描くこともこの作家は得手としているように思う。隣人や村社会のなかで描かれる距離感や、噂話が持つ地に足のつかない心理的な枷が彼女や隣人を真綿のように締めつける。
そして圧巻であるはずのクライマックス・シーンに到達すると同時に、そのシーンの描写は、誘拐事件と同じようにまたしても割愛される。既に聴取室にいるヒロインと懐疑で徹底的に武装した取調官との対決。この小説中最も重要と思われる部分を描かないことによりこの著者らしいミステリー小説がより完成度を増している、といった皮肉な世界構築をミネットは成功させているのだ。
作家だったらきっと手に唾をつけて熱のあるペンをふるいたくなる場所にだけ暗黒のフェイドアウトを入れて、思わせぶりでじれったい描写により、読者の想像に結論を委ねる。ミステリー作家らしくはあるものの、やはりこの人は女王というよりもひねくれ者のアーティストにしかぼくには見えてこない。 -
前回読んだ中編の感触がよかったので、久々に長編にトライしてみた。結果はビミョー。
上記のあらすじは序盤。解放後、身を隠すために移り住んだ農村での人間関係が、もうひとつの軸となる。相手の出方を窺いながら徐々に心を通わせる偽名の生活と、記者コニーとしてのメールのやりとりからくる緊迫感の対比が興味深い。でも中盤はちょっと退屈したかも。
後半は、インパクト大の出来事から一気に展開する。前半はサスペンスで、後半は本格ミステリかな。追及する者とされる者。そこに心理描写の上塗りが加わり、前半とはまた違った緊張感で読ませる。
ミステリとしては非常によくできていると思う。伏線を回収し、心理戦を仕掛け、ロジックで追い詰める。余韻と満足感を味わえる読後感なのだろうが、私にはまだ長編は早かった…。 -
イギリスの作家「ミネット・ウォルターズ」の長篇ミステリ作品『悪魔の羽根(原題:The Devil's Feather)』を読みました。
『養鶏場の殺人/火口箱』に続き、「ミネット・ウォルターズ」の作品です。
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2002年、シエラレオネで5人の女性が殺害された。
元少年兵3人が起訴されるが、記者「コニー」はイギリス人の「マッケンジー」を疑っていた。
2年後、バグダッドで彼に遭遇した「コニー」は拉致監禁されてしまう。
解放時、彼女はほぼ無傷なうえ曖昧な証言ばかりで監禁中の出来事を警察に話さない。
何を隠しているのか?
圧巻の心理描写と謎解きの妙味を堪能できる、英国ミステリの女王による渾身のサスペンス。
解説=「松浦正人」
*第3位『ミステリが読みたい!2016年版』海外篇
*第5位『IN★POCKET』「2015年文庫翻訳ミステリー・ベスト10」総合部門
*第5位『IN★POCKET』「2015年文庫翻訳ミステリー・ベスト10」作家部門
*第6位『このミステリーがすごい!2016年版』海外編ベスト10
*第6位『IN★POCKET』「2015年文庫翻訳ミステリー・ベスト10」読者部門
*第6位『IN★POCKET』「2015年文庫翻訳ミステリー・ベスト10」翻訳家&評論家部門
*第8位『〈週刊文春〉2015年ミステリーベスト10』/海外部門
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2005年(平成17年)に発表された「ミネット・ウォルターズ」の11作目にあたる長篇作品… 翻訳されたのは10年後の2015年(平成27年)のようですね、、、
全体で約550ページ… 中盤の展開が緩やかで、やや冗長な感じなので、集中力が欠けてしまった部分があり、消化不良の印象が残る作品でした。
アフリカの紛争地でかつて発生した拉致事件で、ロイター通信社の記者「コニー・バーンズ」は、この事件の真犯人ではないかと、流れ者の傭兵「キース・マッケンジー(ケネス・オコンネル/ジョン・ハーウッド)」を疑い、調査する… しかし、「コニー」は、治安の悪化しているバクダッドで「マッケンジー」に拉致、監禁される、、、
三日後に無傷で解放された「コニー」は、拉致事件に関しては一切口を閉ざし、両親の住むイギリスへと帰り、絵に描いたような田園地帯の古屋敷に隠棲する… 彼女の身に、いったい何が起きたのか、そしてなにが起きようとしているのか?
ここまでの緊張感のある展開が序盤の40ページで濃密に描かれるのですが… その後の展開が冗長で、集中力を保って読むのが難しかったですね、、、
イギリスの片田舎に「マッケンジー」の魔の手が少しずつ近付いてくる… 「コニー」は、農場経営者の「ジェス・ダービシャー」や医師の「ピーター・コールマン」と協力して、「マッケンジー」と対峙していく。
そして、並行して「コニー」の住むバートン・ハウスの所有者「リリー・ライト」や、その娘「マデリーン・ハリスン-ライト」と、その夫である「ナサニエル・ハリスン」のドロドロした関係や秘密が暴かれる… という展開、、、
悪くはない要素が詰まっているのですが、もう少しスピーディーな展開の方が読みやすかったし、「コニー」と「ジェス」の二人が、「マッケンジー」をどう扱ったのかが、明示されずに終わったので、物足りない感じが残りました。
以下、主な登場人物です。
「コニー・バーンズ」
ロイター通信社の記者
「ブライアン・バーンズ」
コニーの父
「マリアンヌ・バーンズ」
コニーの母
「ダン・フライ」
ロイター通信社イラク支局長
「アラン・コリンズ」
マンチェスター警察警部補
「ビル・フレイザー」
警部補
「キース・マッケンジー(ケネス・オコンネル/ジョン・ハーウッド)」
傭兵
「アラステア・サーティーズ」
警備会社のスポークスマン
「アデリア・ビアンカ」
イタリアのテレビレポーター
「ジェス・ダービシャー」
農場経営者
「ピーター・コールマン」
医師
「リリー・ライト」
バートン・ハウスの所有者
「マデリーン・ハリスン-ライト」
リリーの娘
「ナサニエル・ハリスン」
マデリーンの夫
「ニック・バグリー」
ドーセット警察警部補 -
※半分読了の途中感想(なんだそりゃ)
なぜかというと今の気持ちを記録しておこうと思ったから。
主人公とご近所さんとかのやり取りとかがずっと続くけどこれ必要なんかいな、本筋に関わるのかな〜? いい加減読むのが面倒になってきた。
それと、海外小説苦手理由によく挙げられる(?)『登場人物の名前が覚えられない』で登場人物の紹介ページを何度見直したか…。お前は誰だよ、普通に喋ってるけどどこから出てきたよ?
もう少し頑張る。報われますように。
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凶悪犯に拉致監禁された女性の一人称形式で話が進むのだが、これがなんとも疑わしい。
真実を隠しているのであっても、読者には理解しようがないからだ。
そんなモヤモヤした気分を抱きながら、しかも、隠棲先の奇妙な人間関係も不可解なことばかり。
最後まで判然としなかった。 -
本作では、人生における危機や悲劇を乗り越えた人たちの「その後」を心理的に解き明かしていく。
冒頭、英国系ジンバブエ人の主人公がアフリカで取材中に拉致され、3日後に解放される。普通のミステリーならそれだけで1冊終わってしまいそうだが、本書ではこれは、言うならば起承転結の「起」だ。
しかも、ここから端を発する事件は「転」が足早にやってくる。ところがこのシーンを迎えてもまだ、物語はどんどん続いていく。
そう、だって、それが人生だからだ。大きな危機を乗り越えて命は救われた、めでたしめでたし、で終わるなんて、現実は許さない。
一人称によって語られる物語だが、なにせこの「わたし」が信用ならない語り手なので、読む者は「わたし」の手の上で転がされているかのような、釈然としない心持ちで「結」までゆっくりと進まされる。
その他の登場人物も、みな「その後」にいる人たちである。「その時」を振り返っては歯がみし、自分や他人を呪い、地団駄を踏みながら今を生きている。
そんな中、ふとした時に主人公が目を開き、自分の強さに目覚める瞬間はすがすがしい(しかし当然、そのあとも物語=人生は続く)。
謎解きあり、アクションあり、心理戦あり、ミステリーの要素が満載で飽きさせない。お見事。 -
南アフリカで犯罪者に拘束された過去を持つ女性ジャーナリストが、隠遁したイギリスの片田舎で新たな恐怖に遭遇する。弱者の立場にいた者が復讐劇の渦中に置かれる過程、そしてその意外な顛末と豊かな余韻も楽しめる。主人公をはじめとして逞しい隣人や母親まで、とにかく女性の力強さが印象的。
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コニーは取材中に拉致監禁される。
無傷で帰ってきた彼女はあいまいな証言を繰り返し、犬を恐れ、自分を精神的に追い詰めた男の影に常に怯えている。
何があったのか。
そして彼女はどうするのか。
マッケンジーと対決する場面は緊迫感がある。
彼女が彼に対してハッタリをかますシーンはドキドキする。
コニーは彼をとても恐れていた。
人格を破壊される直前まで辱めを受けたのだから。
しかしその一方で彼女は彼に復讐したいとも思っていた。
相反する二つの気持ち。
この気持ちのどちらが打ち勝つのか。
ある意味で彼女は千載一遇のチャンスをものにしたのだ。
そして。
マッケンジーはどうなったのかわからない。
おそらくそうだろう、という希望的観測を読者は得るが、それでも確定的なことは本文中では描かれない。
また、結末も同じように。
本作の象徴的な言葉がある。
<em>深淵をのぞきこむ者は、深淵からも覗き込まれている
</em>
深淵とは何か。
それは見えない何かではなく、見えている何かなのだ。
それに気づくか気づかないか。その違いだけで。
本作は二つの事件が絡まり合っている。
上記の事件に関してはかなり面白いのだが、もう一つの事件は私にとってはわかりにくかった。
どうしても外国人の名前というのに慣れない。
これだけ本を読んでいても、人物が増えすぎるとごちゃごちゃになってしまう。
(だからきっとロシア文学は無理だ)
途中で読むのに飽きてしまった部分もあった。
「でたでた!また委員長のミネット推しが始まったぞw」
「委員長、いつも休み時間にミネットばっかり読んでるし!」
「...
「でたでた!また委員長のミネット推しが始まったぞw」
「委員長、いつも休み時間にミネットばっかり読んでるし!」
「ミネット!ミネット!うるさいぞ!」
って言われますよ…