殺人者の顔 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M マ 13-1)
- 東京創元社 (2001年1月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488209025
感想・レビュー・書評
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不勉強でスウェーデンに深刻な移民問題があることを知らなかったけど、警察小説として楽しく読めた。
主人公のクルトは仕事はできるものの、妻とは離婚、娘にも見放され、父親は認知症の症状が出始めている。
おまけに気になる美人検察官は既婚者で酒を飲んだ挙句に大失敗もしてしまうのだけど、そのダメっぷりが人間くさくて良かった。
翻訳の文章が少し固いのが気になるけど、キャラは好きだから続きも読んでみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミステリとしてはそこそこ。
けれども、主人公の造形が気に入った。
父親の介護問題を抱え、別れた妻に未練たらたら、年頃の娘とはしっくりいかない、旧友との仲もぎくしゃく。思いつめて(?)、魅力的な女性検事についセクハラに及ぶ中年刑事。
そんな等身大(ただし最近お腹が出ている)のアンチ・ヒーローにもただひとつ残されたものがあって、それは正義心。
憂鬱な北欧の冬空の下、人生には倦みつつも、正義感に衝き動かされ、陰惨な殺人事件の捜査に(中年男の人生のしがらみに寄り道を余儀なくされながら)邁進する。
脇役刑事たちの個性も光っているし、なにより、主人公と同僚刑事たちのチームワークがいい。
一大シリーズだそうな。続編も楽しみ。 -
読み終えるまで随分と時間が掛かった。
移民問題を抱えたスウェーデン社会を背景に、老夫婦の殺害事件を捜査するくたびれた刑事を描いたストレートな警察小説ではあるのだが、いかんせん地味過ぎる。真犯人に辿りつく切っ掛けが、ある特殊能力を持った人間のおかげであることも釈然としないし、何よりも冴えない主人公に魅力を感じられなかった。
テーマの掘り下げ、刑事群像、主人公身辺のドラマ、中途のサスペンス、クライマックスに向けての盛り上がり方、味わい深い文体、など全てに於いて物足りなさを感じた。
そもそも、なぜ老夫婦は残虐に殺されなければならなかったのか。
第1作以降、どんな成長を遂げているかは知らないが、続けて読む気は起こらない。
流石に、マルティン・ベックシリーズと比べるのは酷でしょう。 -
舞台のもたらす空気が凄い
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重苦しくて陰鬱な雰囲気はスウェーデンのサスペンスらしくて良かった。
ただ犯人がちょっと拍子抜けだったような。。。
スウェーデン国内で人気のあったシリーズらしいので、次作以降に期待。
これも十分面白かったけど。 -
<クルト・ヴァランダー>シリーズ1作目。 冴えない中年の刑事がズタボロになりながら犯人に向かっていく…ダイ・ハードのジョン・マクレーンを彷彿させるような展開に(スケールは随分違いますが)つい夜更かしして読了。事件そのものは少し肩すかしだが、主人公の魅力(?)で読ませてしまうのかな。シリーズ読んでみます。
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テレビ化されたので、原作を読んでみた。奥さんと離婚して未練タラタラ、その上酒に逃げたり。。。でも、警官としての腕は確か。ただ、捜査の展開がちょっとスピードに欠けて、途中で中だるみ。クライマックスもなんか呆気なく犯人が見つかったりで、ちょっと残念。
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スウェーデンの社会問題を痛烈に批判したミステリー小説。
主人公は、世にいうヒーローとはかけ離れた失敗ばかりの冴えない中年の刑事であり、読んでいて不安でしかない。
またクライマックスも、盛り上げりに欠けていて非常に後味が悪い。 -
ケネス・ブラナーでドラマ化した刑事ヴァランダーの一作目。ヴァランダーが相当かっこ悪くてダメで、とても心優しくて、でもダメで、超人的でもなんでもないところにすごく感情移入をしてしまう。やっぱり刑事役ってかっこよかったりすごい美人だったり頭がすごく良かったりで、とてもかけ離れていることが多いから。こういうどうしようもない題材を扱う時は、やっぱり等身大の主人公がいい。北欧ミステリブームにやや遅れて読んでいるけれども、やっぱり出来がいいと思う。
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スウェーデンの警察小説。主人公のクルト・ヴァランダーが離婚されるわ、酒で失敗するわ、怪我だらけになるわで、とにかく格好悪い(^^;;。その格好悪さがつい応援したくなるような。。。事件はスウェーデンの移民政策がややこしく複雑なものにしている。難民をほとんど受け入れない日本もある意味問題だけれど、誰かまわずどんどん受け入れる国も問題を抱えている。そんな背景が知ることができる社会派な面もあり面白く読めました。