亜愛一郎の狼狽 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M あ 1-4)

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  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488402143

感想・レビュー・書評

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  • とりあえずミステリの有名どころは押さえていきたい\(^^)/

    というわけで、絵師でありマジシャンでもある泡坂妻夫先生の、亜愛一郎シリーズです。
    冒頭の「DL2号機事件」がデビュー作で代表作の一つでもあるようなんですが、個人的にはちょーっと、いえ、正直ものすごく物足りなかった(汗

    DL2号機よりは、上空の熱気球内で芸人が殺される「右腕山上空」、傾いた団地で殺人事件が発生する「曲った部屋」、巨大仏像の掌の上で起こった奇妙な事件を描く「掌上の黄金仮面」、未開の地の首長が謎の死を遂げる「ホロボの神」が面白かった。

  •  泡坂さんのデビュー作を収めた亜愛一郎シリーズの1作目。
     亜さんがこういうキャラである必要性がよく分からないけど、まぁ謎解きがおもしろかったからいっか。
     結構突拍子もない推理…というか、そもそもの発端が突拍子もない感じはするけど、読み物としてはおもしろい。

     ただ、感じ悪いキャラ(特に警官)が多くてしんどいのと、第6話の一荷さんの異様な執着心が気持ち悪かった。
     あそこまでそうしないといけなかったのかな。
     第8話の匡子さんも。
     悪いほうにキャラが立ってる。
     それで★-1です。

  • デビュー作の6号でなく『DL2号機事件』を含む同一探偵の短編集
    8話のどれについてもミステリの謎たる部分が独特のものあって面白い
    付き合う探偵も自然変わったキャラクタ造形になるが
    むしろ探偵はふつうであって方が謎の不可思議さが立ったのではないかと思う
    関連リンクをみればわかるとおり昭和なふいんきも一種の味か

  • きれいにまとめられてるミステリー短編集。

  • 泡坂妻夫『亜愛一郎の狼狽』(創元推理文庫、1994年)
    泡坂妻夫『亜愛一郎の転倒』(角川書店、1982年)
    泡坂妻夫『亜愛一郎の狼狽』(角川書店、1984年)

    泡坂妻夫という名前は知っていたものの一度も読んだことがありませんでした。
    キッカケは、日経の有栖川有栖氏のミステリーに関する連載で紹介されたから。

    亜愛一郎なんていうふざけた名前。有栖川氏によれば日本の名探偵紳士録が作られる際に一番初めに項目がくることを目論んだネーミングだといいます。まずここからして遊びすぎ。

    そして全部で24本のミステリーが『亜愛一郎の狼狽』『――転倒』『――逃走』の3冊の短編集に収録されているというので、3冊を古本屋で入手して読んでみました(いずれも初版)。

    どうやらこのシリーズでもっとも有名なのが第1作「DL2号機事件」だそうです。
    有栖川氏のあらすじを紹介すると…

     1年前の震災の爪痕が残る宮前市にプロペラ機(これがDL2号機)が着陸するシーンで幕が上がる。雨の中、その様子見守るのは羽田刑事。同機に爆破予告の電話があったのだ。
     この地に工場を移し、東京から引っ越してくる実業家の柴は、降りてくるなり警備体制の不備を羽田に毒づく。翌日、警察への抗議に答えるため羽田が柴の邸宅を訪ねると、血だらけになった柴の運転手と斧(おの)を振りかざす柴が飛び出してきた。
     何故、柴は運転手を襲ったのか、という動機が読者に提示される謎だ。その答えは、意外な形で地震や爆破予告犯の正体にも結びつく。謎を解くのは前日から羽田と居合わせたカメラマンの亜(あ)愛一郎(あいいちろう)である。
     「背が高く、整った端麗な顔だちであった。年は(中略)三十五ぐらいだろうか。色が白く、貴族の秀才とでもいいたかった。目は学者のように知的で、身体には詩人のようにロマンチックな風情があり、しかも口元はスポーツマンのようにきりっとしまっていた」
     黙っていればイケメン(当節の言葉を使うなら)だ。しかし、この男、言動には落ち着きがなく、思わぬ事態に遭うと激しく動揺するから、〈おかしな人〉、あるいはこれも当節風に言えば〈残念な人〉の部類に属する。
     『DL2号機事件』の何に私が驚いたのかというと、まずは作中で亜が披露する奇妙な論理だ。犯人はこのように考えたからあのような行動をとったのです、という説明は「筋は通っているが、そんなことがあり得るか?」「そんなことはありそうもないが、筋は通る」という不思議な領域に読者を導く。[日本経済新聞、2016年5月8日付朝刊]

    まさに「筋は通っているが、そんなことがあり得るか?」的内容のストーリーばかりで、『そんなばかな!』の連続。
    でも、それがいい。
    しかも、「DL2号機事件」のような、ある意味、大がかりなものから、何のことはない日常で起こる事件まで、舞台設定も『そんなばかな!』と思えるようなものばかり。

    有栖川氏は翌週も亜愛一郎を紹介していて(5月15日付日経朝刊)、そこでは、「三角形の顔をした老婦人」の存在をクローズアップしていました。『三角形の顔をした老婦人だと?』と思わされながらも俄然興味がわいて、結局3冊を読んでしまった次第。たしかに、一見、亜愛一郎とは無関係な三角形の顔をした老婦人がしばしば登場します。この短編集は、この「三角形の顔をした老婦人」の存在を知っているかどうかで面白さが俄然違ってくると思います。

    さて物語は、いずれも何となく謎を解いていく亜愛一郎。
    その正体は最後の最後で明かされます。そして老夫人の正体も最後の最後で明かされます。ですが、これがまた噴飯もの。(笑)

    とにかく、面白かったです。
    もし若いときに読んでおけば、もっともっと楽しめたと思います。今でも大いに楽しめたのですが、感性豊かな(?)若い時代に読んだならば、きっと快哉を叫んだに違いありません。

  • おもしろい。殺人事件が絡むシリアスな事件ばかりなのに、探偵役の亜をはじめ、登場人物のちょっとしたセリフ回しがコミカルでなかなか笑える。冷静に考えるとトリック自体は大したものではないし、ミスディレクションなどもないので結末を知っても意外性はあまりないかもしれないが、真相を解決する鮮やかさと端的かつリズミカルに物語が進展するのでサクサク読み進められる手軽さが魅力的。続編もあるので、また暇ができたら読み進めたい作品。

  • マジシャンが身につけている論理的なだましの技術が、コンパクトに短編小説に組み込まれていて、楽しい。

  • 推理力だけが並外れている主人公がおかしい。
    続編も読んでみるか?
    日経新聞で紹介されていたので図書館で借りてみた。
    三角顔のおばあさんは毎回登場している。

  • 奇妙な名の、奇妙な男による、絶妙な推理
     女性を虜にする美貌の持ち主ですが、間が抜けた発言や言動が目立ち、苗字が「亜」という何とも奇妙な探偵。しかし、その推理力は折り紙付き。マジシャンの経歴を持つ著者ならではの、観察眼に基づく論理の組み立てが面白いです。
     一番好きなのは「G戦上の鼬」。逆説的なロジックが光り、巧妙に配置された伏線が何ともいじらしい。次点は「掌上の黄金仮面」。思い切った発想の転換で、複数の謎が一気に解決します。一方で「黒い霧」は、推論が飛躍しすぎた印象です。
     ミステリに読み慣れてきた私ですが、謎解きの愉しさを再認識することが出来ました。

  • 何気ない習性や無意識な言動がポイントになったりしていて、なかなか興味深かった。少し間を置いて続編も読もうと思うし、著者の他の作品もいずれ読んでみようという気になりました。

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著者プロフィール

泡坂妻夫(あわさか つまお)
1933~2009年。小説家・奇術師。代表作に「亜愛一郎シリーズ」など。『乱れからくり』で第31回日本推理作家協会賞。『折鶴』で第16回泉鏡花文学賞。『蔭桔梗』で第103回直木賞。

「2020年 『秘文字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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