- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488427214
作品紹介・あらすじ
大阪で鷹匠として働く夏目代助。ある日彼の元に訃報が届く。12年前に行方不明になった幼い義弟・翔一郎が、遺体で発見されたと。孤児だった代助は、日本海沿いの魚ノ宮町の名家・千田家の跡継ぎとして引き取られた。初めての家族や、千田家と共に町を守る鷹櫛神社の巫女・真琴という恋人ができ、幸せに暮らしていた。しかし義弟の失踪が原因で、家族に拒絶され、真琴と引き裂かれ、町を出て行くことになったのだ。葬儀に出ようと故郷に戻った代助は、町の人々の冷たい仕打ちに耐えながら、事件の真相を探るが……。第1回未来屋小説大賞を受賞した、長編ミステリ!
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
大阪で鷹匠として働く夏目代助。ある日彼の元に訃報が届く。
12年前に行方不明になった幼い義弟・翔一郎が、遺体で発見されたと。
孤児だった代助は、日本海沿いの魚ノ宮町(おのみやまち)の名家・千田家の跡継ぎとして引き取られた。
初めての家族や、千田家と共に町を守る鷹櫛神社の巫女・真琴という恋人ができ、幸せに暮らしていた。
しかし義弟の失踪が原因で、家族に拒絶され、真琴と引き裂かれ、町を出て行くことになったのだ。
葬儀に出ようと故郷に戻った代助は、町の人々の冷たい仕打ちに耐えながら、事件の真相を探るが……。
遠田先生独特の走り出し。
周りが何も分からないまま、今起きている事件の様子だけが分かる。
代助の過去の回想から、次第に全貌が浮き上がってくる。
この人が、こう繋がるのではないか!?真相はこうなのではないか!?
新事実が判明する度、頭の中は妄想の渦(笑)
雪の鉄樹ほどではなかったが、十分楽しめる物語だった。
読みだすと止まらくなってしまうのは、さすがの筆力。 -
遠田潤子『冬雷』創元推理文庫。
遠田潤子もハズレの無い作家の一人。相変わらずのストーリーの上手さに唸らされた。
重く暗い雰囲気に冒頭から圧倒されていくミステリー。まるで横溝正史のミステリーを読むかのような忌まわしい町の伝承や旧家の因縁などが渦巻き、全く救いの無い結末を予想し、鬱々とした気持ちで読み進むが……
かつて孤児だった夏目代助は日本海沿いの魚ノ宮町名家・千田家の跡取りとして引き取られる。千田家の跡取りとしての厳しい躾と千田家と共に町を守る鷹櫛神社との因縁……いつまでも誠実に生きる代助は鷹櫛神社の娘・真琴と恋人関係になり、全てが上手く行くと思われていた時、事件は起きる。千田家に産まれた代助の弟・翔一郎が何者かに連れ去られた……信じていた義理の親にも、町の住人にも疑われ、恋人の真琴にも裏切られた代助は町を去る。
12年後、大阪に暮らす代助に失踪した翔一郎が遺体で発見されたと知らせが届き、代助の中で一度止まった歯車が再び動き出す。
後半、一気に畳み掛けるように多くの謎が明らかになり、鬱々としていた気持ちは晴れやかになり、感動の結末を迎える。
第1回未来屋小説大賞受賞作。
本体価格780円
★★★★★ -
遠田潤子は期待を裏切らない。
この作品もよく練られたストーリー、プロットにいろいろな愛を絡ませた秀作だった。
古い習慣に縛られた町の閉塞感の中、もがく若者達の姿がいたいたしいほどに描かれていて、早く先を読みたい衝動に駆られる作品だった。 -
大阪で鷹匠として働く夏目代助。ある日彼の元に訃報が届く。12年前に行方不明になった幼い義弟・翔一郎が、遺体で発見されたと。孤児だった代助は、日本海沿いの魚ノ宮町の名家・千田家の跡継ぎとして引き取られた。初めての家族や、千田家と共に町を守る鷹櫛神社の巫女・真琴という恋人ができ、幸せに暮らしていた。しかし義弟の失踪が原因で、家族に拒絶され、真琴と引き裂かれ、町を出て行くことになったのだ。葬儀に出ようと故郷に戻った代助は、町の人々の冷たい仕打ちに耐えながら、事件の真相を探るが……。第1回未来屋小説大賞を受賞した、長編ミステリ!
町人がよってたかって冤罪でっち上げはあかんだろう。 -
先が気になり一気に読みました。
それぞれの人間模様が凄く描かれてて
凄く面白かった。
最近読んだなかでは、一番面白かったです。 -
昔の因習が残る港町が舞台というだけでおどろおどろしい設定だが、作者が描く暗くてどんよりした空気が全編に広がる。そんなに背負い込まなくてもいいのにと思いながらも抜け出せない、振り切れない人々の心情が哀しい。ちょっと強引なストーリー展開もあるが終章でほっとする話に纏まったのは悪くない。