晩夏に捧ぐ (成風堂書店事件メモ(出張編)) (創元推理文庫) (創元推理文庫 M お 5-2 成風堂書店事件メモ 出張編)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 202
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488487027

感想・レビュー・書評

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  • まさかの長編に嬉しい誤算。結構スケールも大きい話だったけど、本屋からははみ出てしまっているのも確か。

  • なるほどと思う内容だったかな。
    主人公が読んだ本の内容とも少しリンクしてて、でも比較的こっちは納得のいくところに落とされてるって言う。
    本屋は好きだけど、あまりディスプレイとか興味を持ってなかったな。
    でも、思えば平積みから買うことがほとんどだったり。
    どうか面白い本を平積みしてください。

  • 本格書店ミステリー、シリーズ第2弾(番外編?)にして初の長編。
    今回は出張編とのことで、二人は信州へ赴き、老舗書店で起きた幽霊騒動の捜査に乗り出す。しかしどうやらこの一件、27年前に地元であった凄惨な事件とつながっているらしく――!?

    やっぱ長編だと読みごたえがある♪
    でも、長年待ちわびた真相が明かされる!って場面にしては、あっけなかったなぁと思う。犯人、言い訳も抵抗もせずにあっさり認めちゃうんだ!?みたいな。普通こんなもんなのかな?笑

    多絵ちゃんによる小松秋郎という人間像の分析が、なんとも深いなと思った。曰く、彼が土地を離れる理由は全部“逃げ”である~と。(276頁)
    人はいろんな人と出会うことで、良い方にも悪い方にも道が開けていくものだと思うけれど、彼はそれに気づく機会が終ぞ得られなかったのかもしれないなって考えたら、なんだかやるせない気持ちになった。…って言うと、やたら同情的に聞こえるかもしれないけれど、もしも店主に託した原稿の内容が彼の真実なんだとしたら、垣間見えた部分だけを切り取って彼を語ることは、やっぱり間違っているなと思う。

    後味が悪いってわけじゃないけど、なんとなく感傷的な気持ちにさせるラストだった。
    それでもみんな、今日も本に囲まれ向き合っていくのね…。

  • 【あらすじ】
    駅ビルの書店で働く杏子のもとに、長野に住む元同僚・美保から手紙が届いた。彼女の勤める地元の老舗書店に幽霊が出るようになり、おかげで店が存亡の危機にあると知らされた杏子は、アルバイトの多絵と共に信州へ赴いた。だが幽霊騒ぎだけでなく、二十七年前に老大作家が弟子に殺された事件をめぐる謎までもが二人を待っていて…。人気の本格書店ミステリ、シリーズ初長編。

    【感想】

  • 駅ビルの書店で働く杏子のもとに、長野に住む元同僚・美保から手紙が届いた。彼女の勤める地元の老舗書店に幽霊が出るようになり、おかげで店が存亡の危機にあると知らされた杏子は、アルバイトの多絵と共に信州へ赴いた。だが幽霊騒ぎだけでなく、二十七年前に老大作家が弟子に殺された事件をめぐる謎までもが二人を待っていて…。人気の本格書店ミステリ、シリーズ初長編。

  • よみにくい。登場人物の人物像や各自の心情等、細かい部分が雑で最後まで誰が誰だかイメージし難い。

  • 元同僚・美保から依頼された幽霊騒動を解決しようと信州にやってきた杏子たち。
    ところが二十七年前の殺人事件まで絡んできて・・・。
    作家・嘉多山成治が自宅の離れで殺され、翌朝遺体の側に立ち尽くしていた住み込みの書生・小松秋郎が逮捕される。
    彼はそのまま有罪が確定し、獄中で亡くなっていた。
    老舗書店に突然起きた幽霊騒動。
    そしてすでに時効も成立し、犯人と思われる男性も亡くなっている過去の殺人事件。
    ふたつの出来事が絡み合い、真犯人の思惑と事件の真相が暴かれていく。
    作家になりたいと夢をみる人たち。
    だが、どこかで読んだけれど作家として名を成す人たちは作家になりたくてなるのではない・・・と。
    書かずにはいられないから、結果として作家になるのだと。
    彼らはなるべくして作家になっていくのだと思う。
    真犯人がわかったとしても、過去に戻ることはもう出来ない。
    果たして犯人の汚名と引き換えにするくらい強い理由だったのかと疑問を感じた。
    心の内に抱えた闇はそれほどまでに深かったのだろうか。
    作家とは、物語を書くということは、どれだけ業の深いものなのだろう。

    ただひとつ、嬉しかったのは杏子の書店や本に対する愛情の強さと書店員としての誇りだ。
    亜矢子との会話からそれが伺える。
    インターネット上で物語が読めるようになっても、人と物語を結ぶ存在。
    それが書店なのだと思う。

  • 成風堂書店の出張編。このシリーズを読んでいると、本屋さんで働きたくなる。

  • 書店が舞台の日常ミステリーシリーズ、2作目にして早くも番外編(笑、の長編

    ミステリー長編で日常モンは難しいんやろなぁ。緊張が持続しないというか、相当の筆力をもってないとストーリーに張りがなくなるというか…

    この作品も日常ミステリーシリーズとは言い難い。有名作家に絡んだ殺人事件となってくると普通の推理小説、しかも信州の老舗書店の幽霊騒ぎから物語が始まるとなると、古き良き横溝の系譜ともいえる王道系やん。

    物語自体はそれなりに読ませるものの、ちょっと後味悪い上に、収束の仕方もなんだか残念、途中の間の持たせ方に対して「えーこれなん?」って不満が残ってしまうねんなぁ。

    安物の2時間TVドラマやないんやし、清風堂の美女書店員コンビには、こういう長編殺人事件物は似合わへんと思う。短編から中編で、現代書店が舞台の日常ミステリーこそ活躍の場でしょう。

  • 〇 概要
     「成風堂」という駅ビルの書店で働く木下杏子と大学生アルバイトの名探偵,西巻多絵が活躍する日常の謎系ミステリの番外編的位置付けの作品。かつて,成風堂で働いていた有田美保から届いた手紙に,「噂の名探偵を連れてきて,長野にある老舗書店,まるう堂の幽霊騒動の謎を解いてほしい」と書かれていた。杏子と多絵は,長野県に行き,まるう堂の幽霊騒ぎの謎を解明する最中,27年前に起こった老大作家が弟子に殺された事件をめぐる謎を知る。多絵は,ゆうれい騒ぎと27年前の殺人事件の二つの謎を解明することができるのか…。

    〇 総合評価 ★★★☆☆
     人間が魅力的に描かれており,トリッキーな謎や意表をつくプロットなどはないが,丁寧で分かりやすくすっきりした作品として仕上がっている。まさに,ミステリの教科書と言えるようなよくできたミステリ。ミステリ初心者にこういう作品をお勧めすべきなのだろう。好みの作風という訳ではないが十分楽しめた。

    〇 サプライズ ★☆☆☆☆
     27年前の老大作家嘉多山成治を殺害した真犯人は,現在,公立中学校の教頭をしている野沢裕一だった。まるう堂に現れた幽霊の正体も野沢裕一。ただし,有田美保が経験した幽霊騒ぎは,噂を聞きつけてまるう堂に忍び込んだ小松秋郎のかつての恋人壱橋亜也子の仕業だった。ミスディレクションらしいミスディレクションはなく,野沢裕一が真犯人と分かっても,ほとんどサプライズはなかった。サプライズについては厳しい点をつけざるを得ない。

    〇 熱中度 ★☆☆☆☆
     作者の大崎梢は,小説巧者という印象。文章は味があるのだが,先が気になる!熱中する!というような作品ではなかった。そもそも,まるう堂の幽霊騒ぎにしても,27年前の殺人事件にしても,読者を引っ張る謎としては,そこまで魅力的な謎ではない。捜査手法も,杏子と多絵が,美保と一緒に,27年前の事件の関係者の話を聞くというワンパターンの展開。たんたんと進んでいく印象で,そこまで熱中できる内容ではなかった。

    〇 キャラクター ★★★★☆
     やや一本調子ではあるが,杏子,多絵,美保を始めとして登場するキャラクターには魅力がある。杏子は清楚な本屋さんの店員という感じだし,多絵は,元気で聡明な女子大生。美保は,元気いっぱいのおばさんで,ほかの登場人物も,生き生き描かれている。犯人の野沢教頭ですら,嫌悪感を感じる人物というより,悲しい存在の人物と描かれている。大崎梢が小説巧者と感じるのは,人間が描けているからだろう。

    〇 読後感 ★★★☆☆
     27年前の老大作家の殺人事件の犯人が小松秋郎ではなく,服役中で死んでいたので冤罪にはならなかったとは言え,真犯人がずっと罪にさいなまされて生きていた…という,あらすじだけ見れば悲しい話だが,不思議とそれほど読後感は悪くない。多絵と杏子の魅力的な人物描写がそうさせているのかもしれない。

    〇 インパクト ★★★☆☆
     物語全体の構成がすっきりしていて分かりやすいので,サプライズはないが,不思議と印象に残る。凄惨な殺人も,意表をつく真犯人もないが,野沢教頭が犯人であるという図式と,話の展開などは忘れなさそうな,妙なインパクトがある作品である。やはり,人間が描けているというのは小説として強いということかな。

    〇 希少価値 ☆☆☆☆☆
     人気作家,大崎梢の人気シリーズの作品ということで,希少価値はなさそう。

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著者プロフィール

大崎梢
東京都生まれ。書店勤務を経て、二〇〇六年『配達あかずきん』でデビュー。主な著書に『片耳うさぎ』『夏のくじら』『スノーフレーク』『プリティが多すぎる』『クローバー・レイン』『めぐりんと私。』『バスクル新宿』など。また編著書に『大崎梢リクエスト! 本屋さんのアンソロジー』がある。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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