奇談蒐集家 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 1232
感想 : 139
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488490096

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった!
    短編はあまり得意ではないのだが、この作品は読んでいて楽しかった。
    最後の結末に驚かされる。

  • 【求む奇談!自分が体験した不可思議な話をしてくれた方に高額報酬進呈。ただし審査あり】
    この広告を見た人々が自分の奇談を話し、それを聞いた助手(奇談収集家ではないw)がその場でその奇談のタネを解き明かす……という連作短編集。解決はその場で行われるので、安楽探偵椅子ものなのかな?すごく面白かったです。
    だいたい連作短編ってひとつひとつが独立して読んでしまうんですが、これはそうしてはいけない作品なのだと最後を読んで知りました。確かにシャンソン歌手とか、全体的に時代設定はいつなのだろう……結構古いのかな~とぼんやり思っていたはいたんですけれど、甘かったです(笑)それこそがフックだったのですね。お見事です。
    謎を解き明かした人たちの中で、解き明かされたからこそ不幸になってしまった人もいたこと。この辺は好みの問題でしょうが、私は微妙でした。ただまあ、そうする事で「奇談」(世にも怖い系)にすることが出来たのかもしれません。

  • 読み始めて失敗したと思った。
    読み進めて一遍が終わるころには少しほっとして二編、三篇と読み進めていてもしかして、この恵美酒さん集める必要ないのでは?と思っているところ・・・ (途中)
     読了・・・すみませんでした!
    なんか今お釈迦様の掌の上ってこんな感じなのかなという気分です。
    なんかこれ先読めるなー失敗したーと思っていたら読ませられていたというか読ませられていた。最後の主人こうは自分だった。
     H氏は どうしても脳内であの執事さんになってしまったのはやはり仕方がないことでE氏こそが奇談が必要だった。全ては奇談のために。
     やはり信頼と安心の創元社

  • 奇談蒐集家 恵美酒とその傍らに控える 氷坂。古びたバー「strawberry hill」へ奇譚が持ち込まれる連作短編集。

    最後にどんでん返しということだったけど、結構最初からそういうイメージで読んでいたので普通に読み終わったかな。

  • 分類が良く判らないが……。

    奇談を収集する収集家の出した広告に、応募して話をする人達の、その奇妙な実体験の話?
    ――は長い前振りで、実はその奇談収集家の方が……というラストどんでん返しの話。

    この物語の面白いのは、広告には多額の報酬が着いてくるのだが、話をしに来る人間の殆どが、その報酬を求めていない、ということだろう。
    奇談の内容そのものは、じっくり読んでみるとあまり奇談とは思えないことが判る。話の最後に必ず謎解きがあるのだが、解かれる前に大体予測が出来る。最初から疑ってかかれば。
    問題は、最後の奇談。
    盛大な前振りとも言って良い奇談達のラストに、本当の奇談があったんだよ、と。

    短編のように見えて、ラストに全てが繋がっているというところが、どっかの推理小説に似ているな、という構造だけども、面白かった。
    ただ、最後に「なるほどねー」だけで終わってしまう自分の感性はいかがなものか。

  • 「奇談蒐集家の元に持ち込まれた奇談を助手の麗人が現実的に解く」というスタンスの話。ざっくり説明するとエピローグがない安楽椅子・化石少女なので、真相ははっきりしないのだけれど、それが今作のテーマ上あるべき姿であり、幻想と現実の境界が判らなくなってしまった人々を書くために必要なのではないかな、とも思った。
     奇談蒐集家というタイトルに恥じず、集められた奇談は魅力的なものばかりでとてもよい。「自分の影に刺された男」「古道具屋の姫君」等タイトルだけでもう素敵。そんでエピローグが今作の連作短編集としての価値を極限まで挙げていて素晴らしい。これぞ百物語の最終話よね。
     ミステリ好きより怪奇・幻想小説好きに読んで欲しい本ですね(解説も井上雅彦だし)。というのも謎自体は大したものじゃないのでそれ目当てに読むと絶対に落胆しますもん。間違いない。乱歩で見た、とか某作で見た、とかうーん、在り来りなんだろうか。
     小品の中で一番好きなのは泉鏡花っぽい「古道具屋の姫君」。ただ蒐集家の紳士が矢鱈スコッチを推してくるから呑みたくなるのがマイナス点ですね…舞台もバー(カッコイイ)だし、ずるい

  • 太田忠司『奇談蒐集家』を読了。

    7つの連作短篇集。「奇談求む!」と書かれた新聞の広告を目にした客たちが、奇談蒐集家・恵美酒のもとを訪れる。

    客たちが体験した、一見奇談としか思えない不可思議な話の謎を、恵美酒の助手・氷坂が解き明かしていく。

    短篇らしく、少し考えれば解るようなシンプルな謎が多い(もちろんそうでない謎もある)。
    しかし最後の一篇は別格。そこまでに読者の中で創られた作品世界を覆してしまう面白さがある。まったく見事だったと思う。

    太田忠司の作品はこれが初めてだったが、なかなか読みやすく、また、他作品も面白そうである。機会があれば読んでみたい。

  • 個人的には「古道具屋の姫君」と「金眼銀眼邪眼」の二作が頭一つ抜き出て好きでした。
    最後の「全ては奇談のために」はほんとに考えてもいなかった結末で驚かされました。
    全ての話が押し並べて良い完成度であり、それに驚きの秀逸なラスト。短編で読み易さもあり大満足です。

  • 「奇談蒐集家」太田忠司◆「求む奇談!」の広告を見た客は奇談蒐集家・恵美酒に自慢の話を披露するが、恵美酒の助手・氷坂は…。奇談っぽい話も氷坂によって謎解きがされてしまうので奇談集というよりミステリ。文庫解説を読んで、一見興醒めに思えるその形式こそがミソだということは分かったけれど。

  • 2015/01/10

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著者プロフィール

1959年名古屋市生まれ。名古屋工業大学電気工学科卒業。81年「星新一ショート・ショートコンテスト」で「帰郷」が優秀作に選ばれる。その後、会社勤めをしながら「ショートショートランド」「IN★POCKET」にショートショートを掲載。1990年、長編ミステリー『僕の殺人』を上梓してデビュー。2022年『麻倉玲一は信頼できない語り手』が徳間文庫大賞2022に選ばれる。

「2022年 『喪を明ける』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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