- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488577155
感想・レビュー・書評
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相変わらずの面白さ、と変わり映えのないコメントしか出来ないわけです。
シリーズものの感想は難しいなー。
しっかりと確立された世界観に基づいた、がっちりと骨太なストーリィと、魅力的な登場人物たち。
ヴァルデマール年代記を読み続けていると、<a href="http://mediamarker.net/u/ikedas/?asin=4488577016" target="_blank">女神の誓い</a>が、初めの作品としていかに優れていたかがしみじみと分かります。
ほかのシリーズ作品も、<a href="http://mediamarker.net/u/ikedas/?asin=4488577016" target="_blank">女神の誓い</a>に並ぶとも劣らない作品であることは間違いないです。
けれど、「初めの作品」としては、<a href="http://mediamarker.net/u/ikedas/?asin=4488577016" target="_blank">女神の誓い</a>に収められた「剣の誓い」に勝るものは無いと思います。
コンパクトな掌編ながら、「剣の誓い」にはヴァルデマール年代記のエッセンスが余すところ無く収められています。
コンパクトであるからこそ、作品は抜群の疾走感を備え、読者を瞬く間に作品世界へと誘ってくれるのです。
そして、続く「女神の誓い」と<a href="http://mediamarker.net/u/ikedas/?asin=4488577024" target="_blank">裁きの門</a>、そして<a href="http://mediamarker.net/u/ikedas/?asin=4488577032" target="_blank">誓いのとき</a>と読み進み、読了したときには、読者は完全にヴァルデマール年代記の虜になっているのです。
見事、というほか無い、素晴らしい流れだと改めて思うのです。
日本では、<a href="http://mediamarker.net/u/ikedas/?asin=4488577016" target="_blank">女神の誓い</a>の前に<a href="http://mediamarker.net/u/ikedas/?asin=4390113682" target="_blank">女王の矢</a>が刊行されていますが、これはノーカウント、ということで・・・。
一巻のみで、その後の続刊が無かったのは、たぶんチョイスをミスった、ということなんじゃないかな、と思ったり。
とはいえ、その後に<a href="http://mediamarker.net/u/ikedas/?asin=4125009996" target="_blank">新訳という形で中央公論新社から続刊が出た</a>ので良かったです。
創元さんは山口氏と細美氏の2ライン編成となり、中公さんからは澤田氏のライン。
そして、まだまだ未訳な作品たち。
さらに、なんといっても、作者のラッキー氏が健在であること。
ヴァルデマール年代記の新作を読むことが出来る幸せな日々は、まだまだ続くのです。
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再読ー。「タシールは母親の兄に似ている」「タシールがタイレンデルに似てる」がまあ、そうなるかあ…ということに。
<死>がやさしい…ほんとにやさしいといいのに。 -
ヴァニエルは自分の喪失感を越えて、伝説の魔法使者へと成長しました。
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上・下巻をまとめて書きます。内容紹介を、表紙裏から転載します。
『最愛のタイレンデルを失って十年以上がたった。その間に隣国カースとの激しい戦いで多くの〈使者〉が亡くなり、生き残ったヴァニエルは孤独を埋めてくれる恋人が出来るどころか、休む暇もないほどの忙しさで戦いにかり出されていた。そんな彼が、避け続けていた故郷フォルスト・リーチに里帰りすることになった。折り合いが悪かった父も少しずつだがヴァニエルを認め、頼りにするようになってきたのだ。どうやら堺を接している小国リニアとベアーズがきな臭いことになっているらしい。
真夜中にヴァニエルを襲った悪夢。〈共に歩むもの〉イファンデスに導かれるようにして駆けつけた先は、リニアの都だった。そこでヴァニエルが見たものは、半狂乱になった〈共に歩むもの〉と追い詰められておびえるタイレンデルそっくりの少年の姿だった。少年を追い詰めているのはヴァルデマールの特使。少年がリニア王宮の人々を皆殺しにしたというのだ。〈共に歩むもの〉に選ばれた少年にそんなことができるのか?ヴァニエルは少年を保護したが、相手は心を閉ざしたまま。いったいなにがあったのか?』
〈最後の魔法使者〉は年代記では一番昔の出来事です。そもそも〈使者〉とか〈共に歩むもの〉などの不思議な存在があるのに、ヴァルデマールの地ではなぜ魔法が拒否されているのか、その原因がこの方だったわけで。まだこの第二部では魔法が使われています。
だんだん謎が明かされていきますが、今回は繋ぎの巻かな。
伯母サヴィルと姉リサ以外の親族とうまくいかず、父や母のことを考えただけで気持ちが沈んでしまうヴァニエルが里帰りして、何とか皆と折り合いをつけることが出来るようになるという、目出度い話でした。
ヴァニエルが疲れ果てているところから始まり、波乱に富んだ出来事ばかりでしたが。
お父さんとお母さんは結局本質は変わってないので、ヴァニエルのほうが大人になったということかなあ。でも弟はしっかりしてきましたね。弟も大人になったんだわ。二人は良い関係が築けそうです。
他にもいろいろな人との関係が変わってきて、最終章に向けての期待を高めてくれてます。
ヴァニエルが精神的に成長していく過程を知ることが出来て、読んでいて気持ちが良かったです。
すでに伝説の英雄として現代編に出てくるヴァニエルなので、行き着く先は分かっているのですがやっぱり面白いです。