地球の静止する日 (創元SF文庫)

制作 : 中村 融 
  • 東京創元社
3.37
  • (2)
  • (17)
  • (27)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 197
感想 : 20
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488715021

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 蔵書整理で手放すので、再び出会い読む日もあるか

  • 今となっては古典となった、B級SF映画の原作小説のアンソロジーという発想が面白い。数多ある中でも、原作の面白さと大きく乖離していない映画をチョイスしているところが、選者のセンスを感じさせると同時に、捨てるところが無い珠玉のアンソロジーである。個人的に特にオススメなのは、以下の三作。

    「殺人ブルドーザー」
    映画の方は、スタージョン原作というだけで知名度が高く実際観たら「あぅうぁ」なマニアックなC級SFであったが、原作の方が遥かに面白いし良く出来ている。絶海の孤島で土木労働者を襲うブルドーザーという骨子は同じなのだが、モンスターとしてのブルドーザーの設定や描きこみがやはりちゃんとしているのだ。クトゥルー神話を思わせる冒頭だけで、十分に幸せな気持ちになれる。

    「ロト」
    映画「性本能と原爆戦」の方は、一時期、深夜枠で集中して放映していたので見た事がある人も多いと思う。あんまり面白いと思ったことが無い映画であった。が、小説の方は映画を遥かに上回る面白さ。破滅テーマなのだが、その前哨戦ともいう緊急時避難の模様をジリジリと神経を逆なでするように描写している。
    そして、「ヒッチコック劇場」のようなラストへと。アメリカ人というのは何時いかなるときも、女房への殺意を忘れないんだなぁ。

    「月世界征服」
    同名映画は1950年製作。原作者ハインライン自ら脚本に参加している。人類最初の有人月ロケットをインターセプトして勝手に発進してしまう、月旅行計画首脳の老人たちの姿を描く、宇宙旅行テーマのハードSFである。ソ連のスプートニクが打ち上げられる三年前に作られている事に注目してもらいたい。望遠鏡観測と計算だけで算出したデータを元に月旅行の緻密な描写を練り上げたハインラインは流石。一方、フロンティアスピリッツ溢れる不良爺さん達を、卓越したユーモアで描いているので、小説としての面白さは今もって全く色褪せる事が無い。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×