Chatter(チャッター): 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法
- 東洋経済新報社 (2022年11月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492047200
作品紹介・あらすじ
全米ベストセラー、世界40ヵ国以上で刊行!
「なぜ昨日はあんなことを言ってしまったのか」「明日のプレゼンはうまくいくだろうか」
私たちはつねに頭のなかで、自分自身と話をしている。
このような声は、過去から学び、未来への計画を立て、自分が何者かを知るために不可欠な、進化がもたらした人類ならではの能力だ。
しかし、ときとして、この「頭の中のひとりごと(チャッター)」は、暴走し、私たちの思考を乗っ取ってしまう。その結果、私たちは「考えすぎ」に陥り、ストレスに飲み込まれ、集中力を失い、正しい判断ができなくなる。
では、どうしたらこの「チャッター」を制御し、より良い人生を送ることができるのだろうか?
世界的な心理学者が提示する、「チャッター」をコントロールするための、誰もが使える26のツール。
各界著名人、各紙誌絶賛!
「新鮮で刺激的な、人間の本質についての考え方を変える画期的な名著。すべての人の必読書だ」
――アンジェラ・ダックワース(『やり抜く力』)
「本書はあなたの人生で最も重要な会話、つまり、自分自身との会話を、根本的に変えるであろう」
――アダム・グラント(『THINK AGAIN』)
「実に説得力のある、価値のある本だ」
――キャロル・ドゥエック(『マインドセット』)
「本書でクロスは、私たちの内なる声がなぜ必要不可欠なのか、そしてどうすればその声を使いこなすことができるのかを明らかにする。緊急性が高く、明晰で、説得力のある本書は、世界が今必要としている、画期的で変革的な書である」
――スーザン・ケイン(『内向型人間の時代』)
「私たちが何者であり、何を考えているのかを気づかせてくれる私たちの内なる声には、なにか深く神秘的で、素晴らしいものが秘められている。クロスはこの声をどのように管理し、コントロールするのかについて、すばらしいアイデアを持っている」
――『ニューヨーカー』
「重要な作品である」
――『ウォール・ストリート・ジャーナル』
「自分自身とのコミュニケーションに、正しい方法や間違った方法はあるのだろうか。内なる声が大きすぎる人に有効なテクニックはあるのだろうか。クロスはすべてではないにしても、これらの疑問に対する答えを見つけた」
――『ガーディアン』
「軽妙さとウィットをもって、脳とその働きや、私たちのしばし執拗なおしゃべりをどうすれば静められるかについて、容易に理解できる作品をものにしている」
――『USAトゥデイ』
「沈黙のうちに私たちが自分自身と交わす会話を通して、ポジティブ思考やネガティブ思考を操る私たちの力を検証し、最高の自分を受け入れるための、私たちがすでにもっている驚くべき力を検証する」
――CNN
アマゾン・ベスト・ノンフィクション・ブック・オブ・2021
感想・レビュー・書評
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自分へ内省を促す頭の中のしゃべり声(チャッター)への対策法と、それを導き出した豊富な研究結果や人々のドラマなどが語られる一冊。
心のコントロールに関する世界的な第一人者であり、ミシガン大学に創設した「感情と自制研究所」所長である著者。冒頭はそんな著者自身が陥ってしまったマイナス思考のループから幕を開ける。自分の思考へ注意を向ける──それが牙を剥いた時にどうするか。実例や研究を基にして丁寧に解説されている。最後に26の方法がコンパクトにまとめられているけれど、理屈を納得することこそ重要なので全部読んでみてほしい。
ぼくは全般性不安障害があり、不安が不安を呼ぶ思考に悩まされている。自責の言葉が脳内を飛び交うことも多く、タイトルを見てピッタリの本だ!と買ったら大正解。メンタル本は数多く読んできたけど、このシンプルな方法は盲点だった。また、環境に秩序を持たせることで心を安定させる方法も実践していきたい。
以下、ぼくが心に残った部分をメモしておきます。興味が出たらぜひ買って読んでみてほしい。理由を知ることが大事なので。
・苦痛を感じている時に内省を実行しても有害無益。感情的苦痛にニューロンを割いてしまい、対処できるタスク容量を圧迫してしまう。
・人の気分は、何をしたかではなく、何を考えたかによって決まる。
・感情から距離をとる=回避という考えが主流になり、思考を眺めて感覚に集中するマインドフルネスが流行しているが、距離をとった視点から関わることが大事。それは回避ではない。
・10年後にそれについてどう感じるかを考える。思考を戦略的にタイムトラベルする。
・自分自身を一人称ではなく、名前、二人称、三人称を使って語りかけるだけで感情から距離をとれる。
・愛情がこもった身体的接触にとどまらず、テディベアなど安らぎをもたらす無生物に触るだけでも安らぎを得られる。
・自然に触れることも大事。これは写真やビデオでも効果がある。
・部屋を片付ける、物を決まった順番に置く、好きなもので揃えるなど、物理的空間に秩序を作り出すことで内面的な秩序も得られる。ただし求めすぎると強迫性障害や陰謀論などに陥る可能性もあるので注意。
・プラセボ効果の背景にある科学を知ることは、脳の予測を利用して健康に役立てることができる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
チャッターに支配されてその事で頭がいっぱいになり、何も手につかず始終ネガティブに振り回される。そして更にチャッターを裏付けるような出来事が起こると、ほらやっぱり!だから駄目なんだ!とネガティブ速度が増してゆき、最後に壊れて志半ばで派手に転び、静かに幕引きを迎える…。
もういい加減、楽に生きたい!!と思っている自分にはわかりやすい本でした。
結局、読んだだけで満足した気になり忘れがちですが、実際に実践することが大事なので出来ることから取り組んでみようと思います。 -
読みながら「まさに私が読みたかった本」と思いました。
「頭の中のひとりごと」についての解説は素晴らしい
私が長い事かかえている問題
おっしゃるとおりだったのです、お見事。
自分が特別おかしな人だったわけではなく
じつに標準だったのですね。
〈人間には内なる会話による痛みがときどき必要なのだ。
肝心なのは、ネガティブな精神状態を完全に避けることではない。
その状態に押しつぶされないことなのだ〉
私はしばしば押しつぶされているように思います。
この本をいろいろ参考にします。
〈愛する人とひどい喧嘩をしたあとで、本を読もうとしたり、集中力を要する仕事を終わらせようとしたりした経験はあるだろうか?それはほぼ不可能である。その種の事態から生じるあらゆるネガティブな思考は実行機能を消費する。あなたの内なる批判者とそのわめき声が企業本部を乗っ取り、ニューロン資源を強奪するからだ。
しかし、多くの人にとって問題なのは、私たちは通常、本から情報を得るよりもあるかに大切な活動に携わっている点だ。仕事をし、夢を追い、他人と交流し、評価を受けているのである〉
私がこのたび深く考えさせられたのは、
最近おこった博多駅前女性殺害事件
被害者から相談された警察は頑張ってくれていたけど
事件を防ぐことはできませんでした。
ストーカーについては、この著者イーサン・クロスさんのような「意識する心のコントロールに関する世界的な第一人者。ミシガン大学とロス・スクールオブビジネスの受賞歴のある教授であり、感情と自制研究所の所長」といった人に、徹底的に分析究明して対策をたててもらったらいいのではと、この本を読んで思いました。 -
自分の心の声と向き合う。
向き合うというのは、ひたすらにその物事について感情を巡らせるということではなくて、その感情に自分が壊されてしまわないように対応するということ。
自分以外の視点を持つ。
未来は今の感情についてどう思うかを考える。
ストレスのかかる感情というのはこれからに向けての挑戦だと考える。
自分を蝕んでいるのは自分。
だからこそ、うちなる声と付き合っていく術が必要である。 -
第三者になったつもりで、自分に問いかけるって
素晴らしい、冷静になれそう。
心にとめて試したい。 -
頭のなかにネガティブな言葉が渦巻いたとき、それの鎮め方を教えてくれます。
自分の名前で呼び掛けたり、大自然に出かけたり、いろんな方法があるようです。 -
自分との対話の質を上げたいと思って手に取った本。
読んで、過去の辛かった時、「なんで私が」「私はどうしたらいいんだろう」と「私」ばかりで考えていたから、なかなかネガティブな考えから抜け出せなかったんだなと気付けた。
「○○(自分の名前)は、、、」とか「あなたは」という二人称で考えるだけで、客観視できて視点が変わり、ネガティブな感情から少し離れられることを知れたのはとてもよかった。
全て科学的な根拠があるので、腹に落ちやすく、私に取っては良書でした。子どもにも読ませたいがもう少し簡単な子ども向けの本が出ないかな… -
tosihisa は,ひとたび(色々な)考えがグルグルし始めると,とめどなく続いてしまうので,もしコントールが出来るならと思って一通り読了.
内容としては,これまで(科学的裏付けは無いものの)有用と考えられてきた事が,研究結果としても有用と言う内容で,個人的には参考になりました.
いくつか実践しながら,「頭の中のひとりごと」をコントロールできればと思います. -
ひとりごとぐるぐるしがちだから参考になった
自分の名前で自分に話しかけよう -
「”いま、ここ”を生きる」という言葉に、時折りハッとする。
なぜハッとするのか。それは、僕たちは無意識のうちに、”いま、ここ”を離脱し、過去の出来事や、これから起きるかもしれない想像上のシナリオ、他人が自分に対しどんな感情を持っているかなど、さまざまな内なる声に思考が占拠されているからである。
本書では、このように頭の中で逡巡する内なる声をチャッターと呼ぶ。
内なる声は、希望や勇気、心地よい感情を与えることもあれば、不安や恐れ、怒りといったネガティブな感情を想起させる場合もある。
チャッターによる行動への影響はけして小さくない。科学的ではない不安や恐れ、怒りから、ときに不合理な行動を起こすのが人間だ。
そこで、生きづらさを生むチャッターをいかにコントロールするかという点に焦点を当て、26の具体的な方法を紹介する。
自分との対話がネガティブなチャッターを強化するという話は印象的だった。
たとえば、うまくいかなかったことを思い出し、“私はダメな人間だ”“次もきっとうまくいかない”というチャッターが出てきたとき、自分に向き合うと、その意識がより強化され、自己否定や失敗イメージが強くなってしまう。
この場合の対策は「自分と距離をおき、客観視すること」
具体的には、“私“を“あなた”に置き換えると瞬時に視点が変わり、効果的だ。
先の例の「私はダメな人間だ。次もきっとうまくいかない」を「あなた」に変えると、おそらくダメな人間だとは言わずに、こう言うだろう。
「あなたは失敗した。でも人間としては素晴らしい。次はきっとうまくいく」
こうして内なる声をコントロールするのだ。
マネジャーは孤独だとよく言われる。
実際、立場的に孤独を感じることも多い。
孤独を感じている時には、たくさんのチャッターに苛まれる。
そんなときには、この本を思い出して、「今のこの負の感情はチャッターから生まれているのではないか」と考えてみよう。
そして、この本に載っているいくつかの方法を試し、チャッターをコントロールできるようにしていきたい。