帝国ホテルの不思議

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532167622

感想・レビュー・書評

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  • 931室もある世界最大規模のホテルという垂直統合型の一種の「装置産業」。
    細分化された役割の職人が、芸で、もてなす。

    靴磨き職人、食肉管理職人、エレベータ案内人、VIP対応専任・・・

    氷彫刻職人。
     小さな料理店で食材を削っていた。氷を削ってみたら、うまくできた。
     コンテストで優勝がきっかけで帝国ホテルへ。
     作品は残らない。だから、後々、そのすごさへのイメージが膨らむ。

    世界最大規模のパン屋。
     五つ星のレストランではパンは一日せいぜい200個程度。パン職人は雇えない。
     パンとは、テーブルの上においてある、料理の間をつなぐ程度のもの。
     帝国ホテルの規模だから、ホテル内で成立する。
     最高級の小麦粉ではなく、そのパンに最適な小麦粉を使う。
     
    裏を支える設備担当役員。
     小学生のとき姉の教科書を見て中学の数学をマスターし、
     中二で高校生の家庭教師を複数こなす。
     その後、高専にはいるが、大学受験費を稼ぐために
     新幹線ウエイター募集をアルバイト募集と勘違いして受け、合格。
     しかし配属はなぜか設備部門。
     ホテル内の設備クレームや要望を実現してく。

     ホテルでの結婚式、バイキング、サービス料を発案したのは帝国ホテル。

  • 村松氏が、帝国ホテルに働く人々を通じて、帝国ホテルのあり様を描いた秀作。帝国ホテルは多くのレジェンドを持ったエキスパートたちによって成り立っている、稀有のホテルだと言う事がよくわかる。

    本書には出てこないが、私は帝国ホテルのメインダイニング「レセゾン」の伝説のメートル・ド・テルに感動して、身分不相応ながら当レストランを繰り返し利用しているが、彼以外にも多くの素晴らしい匠の人達がいるんですね。

    特に興味深かったのは裏方の人達の超絶の匠たち。客室係の小池さん、ブッチャーの古澤さん、施設部長の佐藤さん、ランドリーの栗林さん、そして最高の究極たる施設・情報システム担当役員の椎名さん、

    皆さん、凄すぎます。

    合わせて犬丸元社長の「帝国ホテルの流儀」も読むと、更に帝国ホテルの凄さが良くわかると思います。

  • 創業100年を越える帝国ホテルを、そこで働く人々へのインタビューを通して紹介している。

    国賓を迎えることが多いホテルなだけに、各セクションで働く方もその道のプロフェッショナルであり、その言葉には重みがあるように感じられる。

    以前帝国ホテルに泊まった事があるが、もう一度宿泊して、その心配りを感じてみたいと思いました。

  • 資料ID:21102739
    請求記号:

  • 見えないところのお話。ホテルの裏ってきれいなもんじゃない。

  • 帝国ホテルはスペシャリストの集団が集まる場所だった。みなさんの矛先はお客さま。帝国ホテルの舞台を担う様々な立役者が出てきたが、主人公はお客様。エレベーターの一輪を挿す仕事に想いを馳せながら宿泊してみたくなった。

  •  先に,同じような内容の本で『加賀屋の流儀』というのを読んでいたので,この本も気になったというわけです。年末の新聞紙の書評欄でこの本のことを知りました。
     村松氏は帝国ホテルで働いているいろいろな職業の人にインタビューをして,帝国ホテルの魅力を明らかにしています。その職業は,実にさまざま。ドアマンやフロントはもちろんのこと,氷彫刻の職人さんや宴会のチーフ,さらにはランドリーの係の人まで…帝国ホテルに興味がなくても,この仕事ぶりを覗くだけでおもしろいと思います。
     実際,わたしは帝国ホテルなんて見たこともありませんが(^^ゞ
     わたしがこの本のことをある集まりで紹介したら,実際に泊まりに行った夫妻がいました。物好きだなあ。

  • 30人の社員との会話を通して「帝国ホテルとは・・・」を描き出している。

    社員はそれぞれに個性的で、仕事へのこだわりや見えないところでも工夫を重ねているのがうかがい知れておもしろかった。ところどころにカラー写真も散りばめられていてGood。ホテルっていろんな職種の人が働いていたんだなぁ、と純粋に楽しく読めました。

    帝国ホテルに泊まる機会はあまりないだろうけど、一度は行ってみたいと思わされてしまった^^;

  • いってみれば、どうということのない、インタビュー集。けれども、それぞれの人に著者は寄り添い、相手に合わせて自分の位置を調整しているので、人とその背景が浮かび上がる。名のある人のインタビューでは実は珍しいことなんじゃないだろうか。

  • 2011.10.15読了。

    ここを利用できるような五十路になりたいと思っている。昨今流行のディズニーランド的啓発本に比べて、格段に勉強になりました。

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著者プロフィール

1940年東京生まれ。慶応大学文学部卒。『時代屋の女房』で直木賞、『鎌倉のおばさん』で泉鏡花賞受賞。著書に『アブサン物語』『北の富士流』『アリと猪木のものがたり』『猪木流』『老人の極意』『老人流』等。

「2022年 『ゆれる階』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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