内部統制とは、こういうことだったのか: 会社法と金融商品取引法が求めるもの
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2007年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532313173
作品紹介・あらすじ
会社はシステム構築に多額を費やし、社員は文書化で疲れ果てている。自分のアタマで考える内部統制のための"基本の書"。内部統制パニックから抜けだそう-頭を冷やせ!本当に役に立つ内部統制にする-オーダーメイドの内部統制を!自信の持てる内部統制を実現しよう-ここまでやれば大丈夫!の三つの切り口からアプローチ。
感想・レビュー・書評
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内部統制の本質は「リスク・マネジメント」。
「急がば回れ」という言葉が何度も出てくる通り、
「なんのために」内部統制が必要なのか、という点に重点が置かれ、
金融商品取引法だけでなく、会社法の観点、取締役の観点などからも、内部統制が対談形式で語られる。
詳細なマニュアルではないので、具体的な手順などはほとんど載っていないが、単なる作業で終わらせないためにも必読だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本質的な所を説明している。
内部統制とコーポレートガバナンスの違いとか分かりやすい。 -
この本を読んで、制度を知ろうとするときの態度について意識することができた。そもそもの目的が何であり、なぜ導入されることになり、そして、なぜ今のタイミングなのか、ということを疎かにしては制度の表面的な部分しか知ることができない。それでは、制度を守ることにのみ意識が向けられ、それによって私たちが得られる利益に意識を向けることが難しくなり、制度に対して受動的になってしまう。主体的に取り組まなければ、企業にとって費用にしかならないことには注意する必要があるだろう。
また、専門用語は、他人とイメージを共有しやすく、話の成立を容易にする。しかし、専門用語は厳密な使われ方をしない場合も多く、お互いが意味する内容を常に確認していく必要があると思った。
経営をしていくにあたっては、法律を守ればそれで良いという考えではなく、いかにリスク管理していくかという考えが必要だろう。また、ただ制度をつくるだけではなく、現場に合わせた制度設計を行い、現場に浸透させ、現場を支援していく必要があるだろう。現場が主体的に動こうと思えなければ、制度は企業にとって足枷にしかならないのだから。 -
【読了レビュー】弁護士が著者ということだけあって、内部統制とは何のために必要で、そのルールを定めている法律にはどのようなものがあって、どうして制定されたのかなどの基本原理に立ち返って説明されていた。
そのために概念はよく理解できたが、じゃあ実際どんな手段でそれを効果的に実現していくかという点について、もう少し突っ込んだ例が示されていると更に嬉しいなぁと思った。
すみません、欲張りかもしれません。 -
多くの会社が内部統制システムを誤解しているのかもしれません。
経営判断の原則で保護されるための2要件のひとつとして、事実の認識に不注意な誤りがなかったことというのがあげられています。誤りを回避するには、判断に必要な情報が収集され、分析、検討されているかということが重要。取締役・取締役会が情報を収集するためのひとつの重要な手段がモニタリング機能である内部監査の監査報告というのは、いまや常識かもしれませんが、こういう視点で考えたら、監査報告のあり方も変わってくるのかもしれません。
そして、取締役会での討議資料が証拠能力を発揮するためには、案件のメリットだけでなく、リスクの記載とその分析・評価、さらにはリスク回避方法も記載されている必要がある。取締役会がこうした議論をする場になると、主管部門は、厳しく叩かれる経験を持つことになりますが、こうした経験がなければ、バラ色の計画しか提案しないように、流れちゃうのかもしれません。人間は弱いですしね。楽したいです。
裁判沙汰になるようなケースが起きないなんて思っていると、この内部統制システムの本質を理解する機会をみすみす逃しているのかもしれません。
COSOが新しくなって、また内部統制が少し脚光を浴びるかもしれません。ちょいと昔の本を読むと、いまさらながらの発見があり、新鮮です。
ただ1点、致し方ないけど、「内部監査部門が摘発に動く」という記述あり、少しがっかり。
ま、これはリスク情報を把握するうえで、いきなり内部監査部門が現場にインタビューするよりかは、コンプラ部門やリスク管理部門といった主管部門が各地をまわるほうがいいですねという文脈でしたが、ここは監査部門としての立ち位置にいつも悩むところです。 -
企業の内部統制整備担当者のAさんの疑問に弁護士が答えるという、対話形式で話が進んでいきます。
Aさんの投げかける疑問も、実務をやってる我々と近い感覚があり、それに対する弁護士の回答も、杓子定規に法律を説明しているわけではなく、実務を踏まえたわかりやすい解説になっています。
内部統制=文書化、を真っ向から批判してるあたりが良いですね~。
実務でお困りの方、かなりおすすめです☆ -
2008年6月7日読了
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そもそもJ−SOXなんてないっていうところからスタートしているのが実に痛快である。日本独自の内部統制というものがあってしかるべきだし、また、そういうものがないとグローバリズムの進展した今の国際社会にあっては、日本企業は生き残れないという観点からかかれた、目からウロコ本。
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彼が読んでたのを拝借。
誰にでもわかるようにJ−SOXについて解説してます。