資生堂インパクト: 子育てを聖域にしない経営
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2016年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532320768
感想・レビュー・書評
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育児は大変だからきちんと休みをあげよう、という段階から、次の段階に進もうとする企業の歩みがよくわかります。
「仕事と子育て、両方やろうとするから却って大変なんだ」というオジサン世代の意見に抗えないままでいたら、あっと言う間にこどもを育てにくい、そして仕事をしにくい世の中になってしまったように感じます。
何のために企業が存在するのか。
社会の中でその企業は誰のためにあるのか。
さらに社員はそこで何をするために集っているのか。
それぞれの存在意義を考える上で、資生堂の歩んだ道は指針になるはずです。
売る側も買う側も女性が多い、という点だけをとってみても象徴的な事例ではないかと感じます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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資生堂のトップ陣が、交代しても絶え間無く「女性の活用と成長」を掲げ努力してきたことが伺え、女性として涙が出そうになる。政府が唱える女性活用とは数段レベルの違う、本質的な活かし方と管理職への登用など。自分が、男女差なく活用する外資系企業から、古い体質の日本企業に転職し、こんなにも日本のおじさま達は古い考え方なのかと絶望していたところで、一層心に響いた。我が社のリーダークラスの必読書としたい。
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資生堂は女性社員が多いだけあって、日本の多くの大手企業の数歩先行く施策の様子がよくわかる一冊。
いかに「粘土層管理職」と制度に甘える/ぶら下がる社員の意識改革を行うか。資生堂が示した経営トップの覚悟と一貫したリーダーシップ、人事部門のコミットメントとリーダーシップは、子育てにやさしいと言われる多くの企業の次ステージへの参考となるのでは。 -
女性のキャリア、ダイバーシティのために資生堂の改革が必要だったと分かりやすく説明してくれる。
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資生堂が、それまで早番勤務が基本であった美容部員(ビューティコンサルタント、BC)に対して、遅番や休日シフトにも入るように要請したことは、賛否両論を呼び、資生堂ショックとも呼ばれた。
本書は、そのあたりの経緯、および、広く資生堂の女性活躍推進策について触れた本。
冒頭の美容部員に対する会社の要請が、批判的な意見を呼んだのは、子育て中の女性に冷たいのではないか、とか、それまで女性活躍先進企業と言われた資生堂が、考え方を変えたのでは、といったものであった。
実情は、少し異なるようだ。
資生堂は、BCに対して、遅番や休日シフトに入ることを強制はしていない。一人一人の実情を、全て上司が面談で確認をして、可能な範囲で、という要請をしている。
また、デパートなどの化粧品売り場が活況を呈するのは、夕方や休日であり、早番だけを繰り返していると、そういった時間帯も働く社員に対して、育成上のハンディを負うことになるようであり、また、早番だけの社員がいることは、忙しく働く、遅番や休日シフトもこなす社員のモチベーションに決して良い影響は与えない。
資生堂のBCは、約1万人。
資生堂は、国内での売り上げの多くを、このBCに負っているわけであり、BCの活性化は、資生堂にとっては、非常に重要な経営課題である。
この要請は、脈拍なく行なわれたものではなく、BCの働き方改革の一環として行なわれたものでもある。 -
政府の女性活躍社会を目指す方針はさて置き、圧倒的に従業員女性比率の高い資生堂が政府に先駆けて取り組んできた事をまとめた一冊
読みやすい文章です -
我が社の女性活躍推進は進んでいる方だと言われているが、資生堂の方がはるかに先を行く。そう意味ではベンチマークとしてふさわしい。
専業主婦の夫が管理職になると、子育て女子社員に甘くなるというのは、うなずける。
甘くすることは、決して本人のためにはならないのだ、ということが、よくわかったが、マタハラと烙印押されないよう気をつけねばならない。
世の男性管理職必読かと思う。