資生堂インパクト: 子育てを聖域にしない経営

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532320768

感想・レビュー・書評

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  • 育児は大変だからきちんと休みをあげよう、という段階から、次の段階に進もうとする企業の歩みがよくわかります。
    「仕事と子育て、両方やろうとするから却って大変なんだ」というオジサン世代の意見に抗えないままでいたら、あっと言う間にこどもを育てにくい、そして仕事をしにくい世の中になってしまったように感じます。
    何のために企業が存在するのか。
    社会の中でその企業は誰のためにあるのか。
    さらに社員はそこで何をするために集っているのか。
    それぞれの存在意義を考える上で、資生堂の歩んだ道は指針になるはずです。

    売る側も買う側も女性が多い、という点だけをとってみても象徴的な事例ではないかと感じます。

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  • 資生堂のトップ陣が、交代しても絶え間無く「女性の活用と成長」を掲げ努力してきたことが伺え、女性として涙が出そうになる。政府が唱える女性活用とは数段レベルの違う、本質的な活かし方と管理職への登用など。自分が、男女差なく活用する外資系企業から、古い体質の日本企業に転職し、こんなにも日本のおじさま達は古い考え方なのかと絶望していたところで、一層心に響いた。我が社のリーダークラスの必読書としたい。

  • 資生堂は女性社員が多いだけあって、日本の多くの大手企業の数歩先行く施策の様子がよくわかる一冊。
    いかに「粘土層管理職」と制度に甘える/ぶら下がる社員の意識改革を行うか。資生堂が示した経営トップの覚悟と一貫したリーダーシップ、人事部門のコミットメントとリーダーシップは、子育てにやさしいと言われる多くの企業の次ステージへの参考となるのでは。

  • 女性のキャリア、ダイバーシティのために資生堂の改革が必要だったと分かりやすく説明してくれる。

  • ・「資生堂ショック」とは、子育てのために短時間制度を利用する全国の美容部員に早番だけでなく、遅番や休日シフトにも入るように会社が要請したこと。「子育て中の社員に冷たい」「女性を敵に回すのか」と資生堂はやり玉にあげられたが、女性管理職比率30%に迫り、妊娠・出産をきっかけに女性に退職を迫るブラック企業とは一線を画す存在・資生堂は、日本を代表する女性活躍推進企業である事実。「資生堂ショック」と呼ばれる働き方改革の取り組みに検証したのがこの本である。

    ・資生堂の考える「女性活躍の3ステージ」
    第1ステージ…子どもができたら多くは退職
    第2ステージ…女性は育児をしながら仕事を継続
    第3ステージ…男女ともにしっかりキャリアアップ
    →資生堂は第3ステージがはじまっている。今回の改革の目的は「働きやすい会社」から「働きがい」を追求する会社への進化にあると強調。

    ・子育て期は最短距離でゴールを目指さないと仕事は回せない。効率的に働くタイムマネジメントとリスクマネジメントの能力が育児時間中にぐっと高まった。子育て期だからこそ培われる仕事の脳力がある。

    ・女性活躍推進の象徴として政府は2020年までに管理職など指導的な立場に占める女性比率を30%に高めると数値目標を掲げている。いわゆる「202030(ニイマルニイマル・サンマル)」だ。

    ・女性管理職を育てる工夫…資生堂は登用で女性は優遇しないと断言し、昇進・昇格はあくまでも実力本位で決めている。だが、登用では優遇はしないが、女性の育成は急ぐ。女性の管理職比率の数値目標を設けて無理やりに実現することが良いとは考えていない。大切なことはフィフティ・フィフティのレベルで均等な機会が設けられているかだ。

    ・従業員の男性管理職の約8割が既婚・子持ち、一方、女性管理職はシングルが多数派で約4割を占める。既婚・子持ちは3割にすぎない。結婚するかしないか、子どもを持つか持たないかは個人の選択だ。ただ同じ管理職でありながら、男女差はあまりにも大きい。厳しい出世争いに勝ち残るためには女性だけが家庭生活を断念せざるを得ない現状が透けて見える。

    1)子育て支援はゴールではない
    2)女性活躍は女性の問題ではない
    3)結果はすぐに出ない

    →資生堂の取り組みを振り返ると、10年、20年はあっという間。社員の意識改革や職場の風土改革などは一朝一夕に実現できない。有効な手立てを早く打たないと同業他社に取り残されてしまうかもしれない。

  • 資生堂が、それまで早番勤務が基本であった美容部員(ビューティコンサルタント、BC)に対して、遅番や休日シフトにも入るように要請したことは、賛否両論を呼び、資生堂ショックとも呼ばれた。
    本書は、そのあたりの経緯、および、広く資生堂の女性活躍推進策について触れた本。

    冒頭の美容部員に対する会社の要請が、批判的な意見を呼んだのは、子育て中の女性に冷たいのではないか、とか、それまで女性活躍先進企業と言われた資生堂が、考え方を変えたのでは、といったものであった。

    実情は、少し異なるようだ。
    資生堂は、BCに対して、遅番や休日シフトに入ることを強制はしていない。一人一人の実情を、全て上司が面談で確認をして、可能な範囲で、という要請をしている。
    また、デパートなどの化粧品売り場が活況を呈するのは、夕方や休日であり、早番だけを繰り返していると、そういった時間帯も働く社員に対して、育成上のハンディを負うことになるようであり、また、早番だけの社員がいることは、忙しく働く、遅番や休日シフトもこなす社員のモチベーションに決して良い影響は与えない。

    資生堂のBCは、約1万人。
    資生堂は、国内での売り上げの多くを、このBCに負っているわけであり、BCの活性化は、資生堂にとっては、非常に重要な経営課題である。
    この要請は、脈拍なく行なわれたものではなく、BCの働き方改革の一環として行なわれたものでもある。

  • 政府の女性活躍社会を目指す方針はさて置き、圧倒的に従業員女性比率の高い資生堂が政府に先駆けて取り組んできた事をまとめた一冊
    読みやすい文章です

  • 我が社の女性活躍推進は進んでいる方だと言われているが、資生堂の方がはるかに先を行く。そう意味ではベンチマークとしてふさわしい。

    専業主婦の夫が管理職になると、子育て女子社員に甘くなるというのは、うなずける。

    甘くすることは、決して本人のためにはならないのだ、ということが、よくわかったが、マタハラと烙印押されないよう気をつけねばならない。

    世の男性管理職必読かと思う。

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著者プロフィール

東京・編集局経済解説部編集委員
1964年新潟県生まれ。早稲田大学卒。1988年日本経済新聞社入社。少子高齢化や女性のライフスタイル、企業の人事制度などを主に取材・執筆。2015年法政大学大学院MBA(経営学修士)取得、修士論文のテーマは女性管理職のキャリア意識とその形成要因。女性面編集長を経て現職。

「2019年 『味の素 「残業ゼロ」改革』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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