統計学を拓いた異才たち: 経験則から科学へ進展した一世紀
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2006年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532351946
作品紹介・あらすじ
百年に一度の大洪水が起きる確率は?喫煙とがんの因果関係は?ピアソン、フィッシャーの二大巨頭を中心に華々しく繰り広げられる才人たちの知恵比べを、多くのエピソードとともに綴るおもしろ統計学史。
感想・レビュー・書評
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統計学の歴史がわかる。ピアソンとフィッシャー。数式がなく、それでいて統計学史がわかるのでとても良い本。
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この本を読んで各統計学者の具体的な貢献内容やフィッシャーとネイマンの統計学の違いを理解できる人はまずいないでしょう。エピソード集のようなもの。
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統計学の発展を支えた多くの数学者達の短編伝記集ともいうべき一冊。途中まで退屈な本と思いながら読み進めていたが、最後の数章で急に重要な本に感じてきた。
統計学は数学の中でも最も実用的な分野だと常々考えていたが、数学における統計学の扱いは科学の他分野におけるそれとは必ずしも一致しないようだ。本書は 19世紀後半から21世紀の始まりまでの一世紀あまりにこの分野がきわめて急速に発展し、科学のあらゆる分野を大きく変えてしまったという、「統計革命」の進展を描いている。
19世紀までの科学において、測定結果のばらつきは器具の精度や測定者の技量が不足していることによって生じる誤差、つまりミスに過ぎないとみなされていた。つまり測定されるべき結果の「真の値」が存在すると考えていた。それを大きく変えたのがフィッシャーやピアソンらによって始まった「統計革命」であるという。
真の値などというものは存在せず、ばらつきのあるデータ群の分布こそが実在する対象と捉える。測定されるのは個々のデータの真値ではなく、分布を表現する母数であるという。その結果、決定論的な将来予測は不可能となり、すべて確率的に求められることになる。
ここまでは、ある程度数学や科学を学んだ人なら納得のいく話だろう。しかし本書の最後では、現時点における一般人のイメージする統計や確率のあり方に疑問を投げ掛ける。それはいまだ解明されていない疑問だという。
確率とは一体何なのか? 発生する確率が閾値以下となる仮定は棄却されるという推定方法は合理的と言えるのか?
現代人が漠然と抱いている「確率」に対するイメージは、ひょっとすると100年後には愚かな迷信になってしまうのかもしれない。それは恐ろしいことであると同時にわくわくするような話でもある。 -
未読了
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統計学初心者向けの分野セミナー本。英語版もあり、セミナー参加者の言語が揃わなくても使えて便利。RY
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なかなか面白かった
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最後の章を読んでから、読み始めるのをオススメします。
統計を扱う上での、注意点が極めて明快な例を交えて書いてあります。
内容は非常に面白いんだけど、ちょっと、ん?!!となる文章が多いです。
なので分からない用語などがある場合、その都度に別の文献で調べつつ読み進めることをお勧めします。
ある方の記事(http://d.hatena.ne.jp/takeda25/20130330/1364620887)によれば、「この本を読んでも、科学データの統計解析に従事できるようになるほど十分な知識を身につけることはないだろう。」と訳すべきところを、
「本書の読者は科学データの統計解析に対する十分な知識は持っていないだろう。」と書いていると述べています。
また、第9章の中心極限定理とは何か。の部分で中心極限定理のことを「元のデータのがどのように得られたかにかかわらず、この平均の分布は正規確率分布で近似できるというものだ。とあります。
しかし、実際に調べたところ、中心極限定理とは、標本平均と真の平均の差(誤差)を論じるもので、その誤差が(サンプルサイズが大きい時)近似的に正規分布に従うというものです。
訳者の方を見たところ、お二人とも統計学者で、私自身の理解が細かい部分に終始してしまっていることのほうが考えられるのですが、
やはり誤訳も多いとの評判でしたので、調べつつ読み進めることをお勧めします。 -
人物像を描きながら統計学の歴史がわかり易く説明さている良書